
雨漏りや湿気、車内の結露、思わぬところからの浸水…車中泊用の車は装備が充実している分、意外なトラブルにも見舞われやすいです。特に梅雨のように雨が長引く時期には、ほんの少しの油断が快適な空間を台無しにしてしまうことも。
今回は、私たちが実際に体験した雨の日のトラブルや、そこから学んだ対策をご紹介します。梅雨の時期でも快適に、そして安心して車中泊ライフを楽しむためのヒントになれば嬉しいです。
雨の日も逃げられない!800日以上の車中泊暮らしでわかった“雨の本当の大変さ”

週末や連休を利用して車中泊を楽しむ方であれば、「雨の日は行かない」という選択肢もあるかもしれません。ですが、私たちのように365日フルタイムで車中泊生活をしていると、どんな天気でも移動し、暮らしていく必要があるため、そうはいきません。
特に厄介なのが、雨が何日も続く“梅雨”の季節。まるで試されているかのように、車中泊生活の不便さや盲点が一気に押し寄せ、家に住んでいた頃には気づかなかったような、さまざまなトラブルにも直面してきました。

雨の日に注意すべきこと
天井からの雨漏り
キャンピングカーの天井には、天窓やソーラーパネル、エアコンなど多くの装備が取り付けられており、劣化やヒビ、ゆるみなどのわずかな隙間から雨水が侵入することがあります。侵入した水を放置すると見えない場所で木部を腐らせたり、電気系統に回ってショートや故障を引き起こすことも。最悪の場合、車内の内装全体にダメージが及び、修理に高額な費用がかかるケースもあるため、軽視できないトラブルです。
ソーラーパネルで充電できない
キャンピングカーでは、ソーラーパネルを使って太陽光から電気を作り、車内の照明や家電の電力をまかなっています。ところが、雨の日が続くと太陽光発電の効率が落ちてしまい、電力が足りず、生活に大きな影響が出ることも。特に私たちのようにリモートワークをしながら旅をしている場合、電源が確保できないのは致命的な問題です。
外での行動が制限される
雨のせいで観光や外での活動が思うようにできなくなります。特に、車内にトイレやシャワーがない場合、毎回雨の中で外に出て用を足す必要があるので、非常に大変です。さらに、大雨の日は運転も危険を伴い、安全に移動することが難しくなることもあります。外で過ごす楽しみが減るだけでなく、移動や生活全体に制限がかかるのが車中泊のつらいところです。
湿気・結露によるカビやニオイ
梅雨の時期は、車内の湿気や結露が増え、特に木製の内装や布製のシートにカビが生えやすくなります。湿気が溜まると不快なニオイが発生するだけでなく、カビが健康にも悪影響を与える原因になるため、湿気対策は非常に重要です。
雨音、風音で眠れない
「車の天井にポタポタと落ちる雨音に耳を澄ませながら、ゆっくり眠りにつく」そんな優雅なイメージを持つ方も多いかもしれません。確かに小雨の日なら、雨音が心地よく感じることもあります。しかし実際は、大雨や長時間の雨になると、天井を叩きつける雨音が容赦なく響き渡り、風で車体が揺れることもしばしば。音や揺れが気になって眠れず、寝不足になってしまうこともあります。
わが家の雨対策アイデア&実践例
天気予報をこまめにチェックし、車中泊スポットに注意!

まず気をつけたいのが、「どこに車を停めるか」というポイントです。ぬかるみにタイヤを取られて、最悪の場合、車が抜け出せなくなり、スタックしてしまうこともあります。特に重量のあるキャンピングカーはぬかるみにハマるリスクが高まるため、雨が降っている時や、翌日にまとまった雨予報がある場合は、できる限りアスファルトやコンクリートなど、舗装された場所で車中泊するのが安心です。
また、天気予報は常にチェックし、急な天候の悪化にも対応できるようにしておきましょう。特に雷や豪雨、強風などによって、土砂災害や浸水といった大きな被害に巻き込まれる危険性もあるため、車中泊の場所選びには十分注意が必要です。実際に私たちも一度、天候の急変で雹の嵐に遭遇したことがあり、とても怖い思いをしました。幸いにも雹は小さく、車に被害はありませんでしたが、それ以来、天気予報をこまめに確認し、必要に応じて屋根のある場所に避難するよう心がけています。
雨漏り防止のための、定期的なコーキングのチェックと張り替え

雨漏りのリスクが一番高いのが、外壁の継ぎ目や窓まわり、ソーラーパネルの土台まわり、天井の換気口や天窓などの“コーキング部分”です。コーキングは、キャンピングカーの防水に欠かせない部分ですが、紫外線や気温差の影響で年々劣化していきます。表面がひび割れていたり、めくれていたりすると、そこからじわじわと雨水が侵入してしまいます。
私たちは、梅雨前と梅雨明け後に最低でも2回、目視と手触りでコーキングの状態を確認し、必要があれば張り替えを行っています。
そして忘れてはならないのが、「雨が止んだ後のチェック」です。降っているときは気づかなくても、晴れてからじわっと水がにじみ出ることもあります。長雨の後は車内の天井や壁、収納棚の中などを一通り見て回って、ちょっとした染みや臭いの変化にも注意を払って、早めに対処することが大切です。
湿気&カビ対策

梅雨の車中泊で悩ましいのが、窓が開けられず湿気がこもること。縦や横にスライドする窓では雨が車内に入り込んでしまいますが、「外開きタイプの窓」なら少し開けても雨が入らないのでおすすめです。外側にガラスが突き出す形なので、ガラスそのものが傘のように雨を防いでくれて、強風を伴わない雨であれば、窓を少し開けたままでも雨は入りにくく、しっかり換気ができます。
さらに、除湿剤をクローゼットや棚の奥に配置したり、小型のUSBファンで空気を循環させたりするのも効果的。晴れ間が出た日は、窓を全開にして車内ををしっかり換気し、湿気の溜まりやすい棚の奥などを乾拭きをして湿気をリセット!クッションなどの布製アイテムは日光にあてることで、湿気を飛ばすだけでなく、殺菌効果も期待できます。こうしたちょっとした手間を積み重ねることで、ジメジメ知らずの快適な空間を保つことができます。
レベラーであえて傾斜をつける工夫

「車って水平にしたほうがいいんじゃないの?」と思われるかもしれませんが、実は雨の日や長期間の保管では、あえて少し傾斜をつけたほうがいい場合があります。水平の状態だと天井に雨水がたまりやすくなってしまい、コーキングの劣化やボディの腐敗の原因になってしまうこともあります。そんなときに役立つのが「レベラー」(カースロープ)というアイテム。
タイヤの下に敷いて車を少し持ち上げることで、傾斜をつけたり、逆に地面が傾いている場所では水平に整えたりできる便利グッズです。雨が降りそうなときやしばらく動かさないときには、レベラーを使って車体をほんの少し前下がり、もしくは後ろ下がりになるように調整して、天井に水が溜まらず自然に流れるようにするのがおすすめです。

電力確保のための対策

雨の日はソーラーパネルによる発電量が大幅に減少し、長期間の車中泊では電力不足が悩みのタネになります。そんな時は、外部電源が利用できるRVパークやキャンプ場の活用がおすすめです。こうした施設では、バッテリーの充電はもちろん、冷蔵庫や照明、家電も安定して使用できます。
また、ポータブル発電機を用意しておくのも一つの手です。太陽が出ない日でも、燃料の「ガソリン」を使って電気を発電できるので、悪天候だけでなく災害などの「いざという時」に頼りになるアイテムです。発電機を使用する際は、施設ごとのルールを守り、騒音対策や他のキャンパーへの配慮も忘れないようにしましょう。
雨を味方に。快適な車中泊にしましょう!

梅雨の時期や雨の日の車中泊は、どうしても気が重くなりがちですが、ちょっとした工夫や準備をしておくだけで、不安はぐっと減り、むしろ落ち着いた雨音を楽しめる余裕も出てきます。
些細なことのように思えても、日頃の積み重ねがのちの大きなトラブルを防いでくれます。雨だからといってあきらめず、これらのトラブルと対策を参考に、雨でも安全で楽しいキャンピングカーライフをお過ごしください。