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松本明子のアポなし軽キャン日記|第17回 従業員の下克上!? 松本明子に物申す!
喧嘩するほど仲がいいってホント
前回、アムズレンタカーの相談役、青倉さんにはじめてご登場いただきました。そうしましたところ、なんでも私への苦情がいい足りないとかで。僭越ながら、今回は松本明子へのクレームをまとめて、職場環境の改善に努めてみようかと思います。
一にお金 二にアナログ
まずは金銭面。青倉さんいわく、まずまず我が社が儲からない原因は私にあるっていうんです。こんなに宣伝活動に勤しんでいるのに!
アムズレンタカーには、“標準コース”と、2,000円プラスした“安心コース”があります。“安心コース”というのは、予約日の変更が2回まで無料。返却時間が遅延した場合も、電話をしていただければ、最大1時間まで超過料金を半額にさせていただいています。
「でもですよ、横で電話を聞いていると、1時間以上経っているのに、無料で大丈夫ですよー、とかいってるんですよ」(突然、業務部長の廣田さんが珍しく声を張る)。どうやら廣田さんにも不満が溜まっているようです。私が電話で話していると、こんなふうに側でイライラカリカリしてるわけです。でも急いでいても、渋滞にハマっちゃったりしますよね? ついつい、いいですよ〜っていっちゃうんです。
「ビジネスなんだから。料金も提示してるし、そのとおりにやってください」
って、青倉さんにもよく怒られます。たしかに、電話に出たのが廣田さんだったら勝手にルールを変えるわけもなく、料金に差が出ちゃうので今後はしっかりもらいたいと思います。
ETC代金も然り。ご自分のカードを持ってくる人は関係ないんですが、持ってない方には、アムズレンタカーで作ったカードを330円でレンタルしています(他社では550円に値上げしてたなぁ、と呟く廣田さん)。車の返却時に、ETCの料金を計算してその場で精算してもらいます。以前、返却が3件重なっちゃったときがあって、私が担当した若い女の子は2,700円だったんですけど、これまたついつい、〝100円単位はサービスで、2,000円でいいですよ〟、なんていっちゃって。お客さんに、“何でですか!? ダメですよ!”って逆にいわれる始末。
「ガソリン代も適当ですよね」廣田さんのチクリが入りました〜。いや、一応、貸し出しのときに、最寄りのガソリンスタンドに印をつけた手書きマップを渡してはいるんです。でも、ガソリンを入れないで返却に来ちゃう人もいて。じゃあ、ひと目盛り500円で、なんていうと、また側で廣田さんがカリカリ、カリカリしだして。
「2目盛りで1,700円かかりました!」
って、お客さんが帰ってから怒られるという。そんなときはアムズの自腹ですからね。
「とにかく、若い子に甘いんですよ。優しすぎるっっ」
と、声を揃えて青倉さん&廣田さん。大学生がテントの屋根を駐車場の天井にこすってバキバキにしたときも、“取り換えると38万円ですよ”、という青倉さんを横目に、“お金はいいです”。でも結局、修理屋さんも、そういう事情でしたら、ということで屋根だけ交換してくれて、1万円ちょいで済みました。結果オーライですよね!
青倉さんの言葉を借りますと、「松本とは商売できんっ! 趣味の延長じゃないか!!」
イタチごっこが日常
私と廣田さんのアナログっぷりも許せないようです。
さっきETCのお話を書きましたけど、青倉さんがパソコンにETCのカード番号を入れると履歴が出て、料金の計算ができるようにしてくれたんです。でも、いまいちよく分からなくて。そうしたらね、いい方法があったんですよ。そのカードを私の自家用車に差し込むとカーナビに履歴が出るので、それをお客さんに見てもらって、計算機で計算すればいいんです。レンタカーの横に自家用車を横付けするという手間はありますけど。廣田さんはね、青倉さん方式をマスターしているので、ここでは一歩リードされてます。
青倉さんは月1回ぐらい事務所に来るんですけど、とにかく事務所がメモ用紙で溢れかえっているんだそうです。いまどき、珍しいんですって。でも、しょうがない。パソコンにきた予約を手帳に書き込んでバックアップをとってますから。そうです、アムズではバックアップが手書きです。メモ用紙は必須です。
それに輪をかけて青倉さんがきれい好きだから、なんでも捨てられちゃうんですよ。
「だって、梱包用のプチプチとか、輪ゴムが大好きで、事務所に溢れかえってるんですよ。どんどんゴミが増えて、もう漫画のような会社」(青倉さん)
青倉さんが来ると、必ず、捨てる捨てないで喧嘩になります。レンタル品も、私と廣田さんは目に見えてないとわからなくなっちゃうから出しておくのに、“また出しっぱなしにして”と片付けられちゃう。出して、片付けてのいたちごっこです。青倉さんの言葉を借りますと、「なんでも溜め込みやがって、お前らはリスや〜〜〜〜!!」
30年前から不変の松本明子
あとは、同じ話を何回もするな、ってよく怒られます。“知ってる知ってる? あそこの山噴火して大変なんだって”“それ、さっき俺がした話じゃん!”青倉さんとはそんな会話がしょっちゅうです。車を拭いている青いスポンジがあって、廣田さんに“これ、ガラス拭くのにいいよ”って教えてあげたら、“いや、何十年も前から自分が使ってるやつです”。なんでも自分の新ネタに変換しちゃうようで、ふたりとも、私とはコミュニケーションがとりづらいらしいです。とはいえ、本当は仲がいいんですよ。この前も3人で夏の慰安旅行に行ってきました。お客さんを朝9時にお見送りして、ちょうど3人だったので、“いまから海行こう!”ってなって。
「いや、松本さんが急に言い出すから、着の身着のままです」(廣田さん)。
沼津から海岸沿いを通って下田へ。7時間ぐらいかかりました。翌日のお客さんの返却に合わせて戻らなければならないので、猛ダッシュで楽しみました。そんなことしょっちゅうなので、3人とも慣れたものです♪

慰安旅行に
行ってきました!

予約や車の情報をバックアップする廣田さんの手帳(一部画像修正)。
アムズの突撃慰安旅行
海が見たくなり急遽伊豆へアポなし慰安旅行に。道中ペラペラしゃべる私に、「うるさい! 旅行も急すぎだよ」とブー垂れる青倉さん。沼津から下田、伊東、熱海と伊豆半島を1周して帰りました。

釣具店を探して、安い釣り道具一式買って朝釣り。釣果はゼロ。

到着したのは夕方で、古い旅館を急いで予約。30畳のだだっ広い宴会場なら、ということで四隅にそれぞれ布団を敷いて、ざこ寝しました。ほとんど学生のノリ!



素泊まりだったので、コンビニでビールとおつまみを買い、乾杯!
●松本明子さんのレンタカー、オフィスアムズはこちら→https://officeams.com/

松本明子さん
まつもと・あきこ 1966年生まれ。香川県出身。 ’83年に歌手デビューし、『DAISUKI!』や『進め! 電波少年』などで元祖バラドルとしての地位を確立。2021年から軽キャンのレンタカー事業(オフィスアムズ)を始める。
※構成/大石裕美 写真提供/オフィス アムズ
(BE-PAL 2025年11月号より)







