自動車やバイクのみならず、未来のライフスタイルを見据えた次世代のさまざまなコンセプトの乗り物を見ることができる夢のイベントは、国内外からの参加企業・団体が過去最多となる500社以上。今回は10月29日に開催されたプレスデーを取材。キャンピングカーやそのベース車など、気になったモデルを紹介したいと思います。
過去最多の500社以上の企業や団体が参加
キャンピングカーゾーンが登場!

東京ビッグサイトの東・西・南ホールと広大なスペースで開催されているJMSですが、東8ホールすべてを使い、日本RV協会(JRVA)による「キャンピングカーゾーン」が登場。「GO RVing」をテーマに、クルマでの旅の楽しさはもちろんのこと、防災やレンタルキャンピングカーといった活用法など、軽キャンパーからフルコンバージョンまでさまざまなジャンルのキャンピングカーを最新モデル40台が展示されています。
国内大手ビルダーのナッツRVはキャブコンと呼ばれるキャンピングカーのスケルトン仕様を展示し、キャンピングカーの内部がどうなっているかを車外からでも分かるような面白い展示を試みています。


トランポとしても活躍する「Gran Box L3 TP」

ここ数年で国内台数を伸ばしているのが、日本でも正規輸入がされておりメンテナンスも含めてサービスが整っている、フィアット・デュカトをベースにしたキャンピングカー。軽キャンパーで人気の「ミニチュアクルーズ」シリーズを販売する岡モータースは「Gran Box L3 TP」を展示。モデル名のTPはトランスポーターの意味でオートバイや自転車を積んでの旅を想定して製作。写真のように荷室左側にバイクを積んだまま、右側に2段ベッドで快適な就寝が行える設計。また、最後部にはトイレや着替えができるマルチルームも装備しています。

あの映画がキャンピングカーに!「DA VINCI 6.0〈STAR WARS〉EDITION」

ハイエースやデュカトをベースにしたキャンピングカー製造台数で国内首位のトイファクトリーは、オリジナルモデル「DA VINCI 6.0」をベースに、映画「スター・ウォーズ」シリーズ公式ライセンスの「DA VINCI 6.0〈STAR WARS〉EDITION」を初展示。
わずか5台の限定モデルですが、内外装は帝国軍を象徴するキャラクターの「ダース・ベイダー」や、巨大な戦闘基地「デス・スター」を彷彿とさせるダークな世界観を細部にわたって表現されています。超稀少な車両だけに、ぜひとも実車を見に行ってはいかがでしょう?

ピカソとのコラボモデル「PABLO」

キャンピングカーのベース車として定番のハイエースでは、カトーモーターが世界的画家として知られるパブロ・ピカソとコラボした「PABLO」を展示。既発のチップアップをベースにハンドクラフトによるていねいな作りの家具に加え、車内外にはピカソのアートが随所に描かれているのがポイント。ピカソの生誕145周年とカトーモーターの創業70周年という節目の年を記念した、機能とアートが融合された特別な1台です。

往年の名車「ロデオ」

ほかにも、キャンピングカーの歴史がわかる展示として、今から約30年前の1994年に製造されたヨコハマ・モーターセールスのロデオにも注目。ロデオは日本のキャンピングカーシーンにおいて草分け的なモデル。累計販売台数1200台以上を記録した、1980〜90年代を代表するモデルのひとつです。時代を感じさせない美しさはナッツRVによるレストアによるもの。
気になる市販間近&コンセプトモデルたち
ここからは会場で気になった市販モデル&コンセプトカーを見ていきたいと思います。
家電ブランドが自動車業界へ「LDK+」

家電メーカーとして知られるシャープが展示した「LDK+」は自社でクルマを製造するわけでなく、車内環境をトータルで提案。ベース車には台湾の自動車メーカーである鴻海科技集団(フォックスコン)の「Model A」というEVを使用。同社によると、乗用車は駐車している時間が約95%もあり、そうした時間を空間として活用できるのではと考えて製作。
車内はフロントシートに回転シートを採用することで広々とした空間を実現。ルーフにはソーラーパネル、照明やプロジェクターにプラズマクラスターを搭載するなど、家電メーカーらしい装備を満載。さらに、車両自体にAIを搭載することで、検索したり話し相手などに活用できます。今後はより細部を詰めていき、2027年度を目処に市販化が予定されています。


キャンピングカーとして熱視線を集めるKia「PV5」は来年春に発売

ここ最近、デザイン性の高さと合わせ、世界的に評価されている韓国のKia(キア)が「PV5」を初展示。現在、日本では商用車のEVバンにおいて、三菱・ミニキャブEVやホンダ・N-VAN e:といった軽自動車に加えて、日産・e-NV200があります。また、輸入車ではフォルクスワーゲンのID.BuzzがEVとして販売されています。このPV5はミニバンタイプの「パッセンジャー」と貨物用「カーゴ」の2モデルをラインナップ。サイズは全長×全幅×全高:4695×1895×1930mmでハイエースのワイドボディよりも車幅があるものの、長さは標準ボディと同じサイズです。
また、ハイエースと違ってキャブオーバーではなく、乗り降りもしやすい設計。搭載するバッテリーはパッセンジャーで2タイプ、カーゴで3タイプを用意し、航続距離はパッセンジャーで521kmもしくは377kmとなっています。ほかにもV2H(Vehicle to Home)とV2L(Vehicle to Load)機能を備えているため、車中泊する際も車両のバッテリーを用いて車内の家電が使えるほか、安全性についても先進運転支援システムなどを搭載し、抜かりなしの仕様。





会場では上記の2モデルのほかにも、韓国の家電メーカーLGと製作した参考出品のキャンピングカー「LG Spielraum」を展示。Spielraumは「遊びの空間」というドイツ語で、こちらは冷凍・冷蔵庫のほかにも、L字ソファを装備し、優雅なラウンジを演出。キャンピングカーのベース車両としてのポテンシャルを紹介していました。



ちなみに、国内での販売は来春を予定。販売は大手商社の双日が100%出資する新会社、Kia PBVジャパンが担当。Kia PBVジャパンは発売までに全国8か所の正規ディーラーを開設し、サービス拠点約100か所を予定しています。価格はカーゴのほうが589万円、パッセンジャーが679万円とのこと。また、2027年にはPV5にハイルーフモデルが追加される予定になっています。
人気ミニバン「デリカD:5」もマイナーチェンジ

市販モデルというと見逃せないのが三菱自動車が誇るミニバン、デリカD:5もマイナーチェンジを敢行し、ショー会場にて発表されました。こちらもフルモデルチェンジがという期待があったものの、今回はマイナーチェンジで2019年以来の変更となりました。
ブラッシュアップされたポイントとしては前後エクステリアデザインが大きく変わりました。グリルデザインにはじまり、ホイールアーチモールの標準装備化、リアのバンパーやロゴの大型化など今まで以上にスタイリッシかつワイルドさもアップ。インテリアはインパネの細部にメタル調アクセントを施しシート生地も変更。また、メーターには8インチの液晶メーターを採用。
そして一番の変更ポイントは、見えない部分ですが、三菱独自の車両運動統合制御システム「S-AWC」を搭載したこと。これにより悪路走破性や直進安定性が向上。また、下り坂でも車速を一定に保つヒルディセントコントロールを採用するなど、走行性能が高められています。

次期ハイエースを含めた3兄弟のコンセプトに注目
トヨタと子会社であるダイハツのワンボックスカーで、キャンピングカーのベース車としても人気のあるハイエース、そしてダイハツ・グランマックスカーゴ(トヨタのOEM車:タウンエースバン)、ダイハツ・アトレー&ハイゼットの3モデルがありますが、これらの未来を感じさせるモデルも展示されました。
まずは長男ともいえるハイエースコンセプトと次男のカヨイバコから。



前回の2023年のJMSに「KAYOIBAKO(カヨイバコ)」の名で登場したEV商用バンのコンセプトモデルが、さらに進化を遂げてブラッシュアップ。足の不自由な人でも配送する人が座ったまま移動が行える4脚ロボット「walk me(ウォーク・ミー)」が、そのまま車内に入って運転席で固定でき、自動運転・ペダルレスでも運転が可能という想定。こちらはサイズ的にグランマックスカーゴと同程度な感じでした。






そんなカヨイバコのデザインを引き継ぎつつ会場を賑わせたのが「ハイエースコンセプト」。現行の200系と同様のボディサイズである標準ルーフと、300系と同様のハイルーフを展示。カヨイバコのほうはEVが前提でしたが、説明員の方に質問するとハイエースコンセプトのほうはEVだけでなくハイブリッドやエンジン車なども想定しているそう。
現行の200系モデルはキャブオーバーですが、コンセプトのほうは衝突安全基準を踏まえてセミキャブオーバータイプにし、フロントノーズの張り出しとタイヤ位置が前方になり、乗り降りもしやすくなっています。またピラーレスのドアに加え、荷室高が低く荷物の出し入れがしやすいのも特徴です。
気になるのが室内。室内長のゆとりがワンボックス車の魅力のひとつですが、セミキャブオーバーにすることで室内長が短くなってしまう……。それをクリアするために助手席を脱着式にすることで、約2.4mの8尺脚立が余裕で収まる室内長を確保。それでもキャンピングカーのベース車として考えるのであれば、スーパーロングやワイドといったさまざまなボディバリエーションの展開も期待したいところです。




そして末っ子となるのが「KAYOIBAKO-K(カヨイバコK)」。こちらも運送業を想定した軽ワンボックスで、EVのためフラットなフロア下にバッテリーを搭載。荷室サイズなどはハイゼットカーゴ同等で、自動運転に対応したモデルを想定して製作。



どれもコンセプトモデルだけにサイズだけでなく、細かな技術仕様などの発表はありませんでしたが、3兄弟が商用ワンボックスの近い未来を感じさせてくれ、そう遠くはない市販化に大きく期待したいと思いました。
今回紹介したキャンピングカー周辺の車両だけでなく、SUVやセダンをはじめ多くの次世代車両から懐かしの名車たち、さらには最新の技術展示でワクワクできるJMSは11月9日まで開催されているので、ぜひ足を運んでください!








