フィラデルフィアで触れた『ロッキー』とアメリカ建国の偉大さ【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.32】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2025.05.28

フィラデルフィアで触れた『ロッキー』とアメリカ建国の偉大さ【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.32】

フィラデルフィアで触れた『ロッキー』とアメリカ建国の偉大さ【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.32】
トレイルの本場であるアメリカには、連邦政府によって認定されたトレイル(ルート)がいくつかあります。そのうち「シーニックトレイル」と呼ばれるものが全11ルートあり、総距離は約17,800マイル(約28,646km)におよびます。

日本で唯一のプロハイカー・斉藤正史さんは、そんなシーニックトレイル全11ルートの踏破に挑戦中です。2024年9月から10月にかけては、アメリカ東部の「ポトマックヘリテージトレイル」と「ニューイングランドトレイル」に挑みました。斉藤さんによるアメリカのトレイルの最新レポートをお届けしているこの連載ですが、今回はロングトレイルを踏破した後にめぐったフィラデルフィアにまつわる番外編です。

ようやくゴール!「ほんとの終点」で思うこと【プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ vol.31】 | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

[The day after the New England Trail(番外編)]

(『ロッキー』だけじゃない)フィラデルフィアの見どころ

ニューイングランド・トレイルを歩き終えた翌日は、フィラデルフィアに移動。フィラデルフィアには正味2日滞在しました。

ニューイングランド・トレイルの起点(ゴール)があるコネチカット州ギルフォードのモーテルとはいろいろと相性が悪く、洗濯機などがなかったので取り急ぎ必要なTシャツなどだけ手洗いしました。そこで、あらためてフィラデルフィアで泊まったバンクハウスで洗濯をし、トレイル関係の道具の整理やメンテナンスをしました。

半日ほどで後片付けは終了。時間に余裕があるので、観光でもしようか…。フィラデルフィアと聞いて僕が真っ先に思い浮かべるのは映画『ロッキー』です。アニメや映画の聖地巡礼(ロケ地めぐり)なんてしたことありませんが、『ロッキー』となると話は別です。

フィラデルフィアは、アメリカ合衆国のペンシルベニア州南東部にある同州最大の都市。ニューヨーク市とワシントンD.C.の中間に位置し、東海岸で2番目、全米で6番目の人口を持つ北アメリカ有数の都市なんだとか。

半日でささっと回れるフィラデルフィアの観光スポットをざっと調べました。僕はハイカーだから、というわけではありませんが、歩いてめぐることができる範囲にしぼってまとめると、以下のような感じになりました。

 ①ロッキーステップ
 ②エドガー・アラン・ポー国立歴史区
 ③自由の鐘・独立記念館
 ④レディング・ターミナル・マーケット
 ⑤フィラデルフィア・イタリアンマーケット

ロッキーステップ
まずは、宿泊先から2マイル(約3.2km)くらい歩いて、美術館などの多く集まるエリアに。別に絵画鑑賞をしたいわけではないので、美術館に用はありません。映画『ロッキー』をご覧になった人なら分かると思いますが、フィラデルフィア美術館の入り口前の階段を、主人公のロッキーが駆け上がる有名なシーンがあるのです。

実際に行ってみると、美術館前の広場ではコンサートかイベントの準備中らしく、音響機材などをセッティングするスタッフや警備員、警官などでごった返していました。そんな人たちの間を抜け、美術館に至る階段に向かって進んでいきます。

階段を駆けあがり、美術館の入り口前にたどり着くと、両手を挙げて「エイドリアーン!」と叫ぶ、映画のシーンを無意識に再現していました。一瞬「恥ずかしい」と思ったのですが、特に周囲から白い目で見られたりしません。僕以外にも、両手を上げたポーズで記念写真を撮ったりしている人が何人かいたのです。

美術館のすぐ近くには、『ロッキー』関連グッズを販売しているショップもあります。この日は残念ながら閉まっていましたが、『ロッキー』の聖地巡礼でフィラデルフィア美術館に足を運ぶ人は多いようです。

『ロッキー』の第1作が公開されたのは1976年。半世紀近くたった現在も多くの人を魅了しているなんて、さすがです(と、ファンの一人としてうれしく思います)。

『ロッキー』の聖地、フィラデルフィア美術館。
『ロッキー』(シルベスター・スタローン?)の足形。

エドガー・アラン・ポー国立歴史地区
フィラデルフィアに6年間暮らしていた、作家のエドガー・アラン・ポー。その間に『告げ口心臓』『モルグ街の殺人』『黄金虫』など、彼の代表作とされる作品のいくつかも執筆、出版しました。

ポーは6年間で3カ所ほど住まいが変わったそうですが、そのうちの1軒が現在も保存されています。それが、1962年に国定歴史建造物に指定された、この建物です。

以前は館内も見学できたようですが、残念ながら現在は改修工事中。外から建物を眺めることしかできませんが、それでも往時の雰囲気を感じることはできます。

エドガー・アラン・ポーが1年間暮らしたという建物。
壁面に描かれた肖像画。

自由の鐘・独立記念館

・自由の鐘
ペンシルベニア州議事堂の鐘は、現在「自由の鐘」として知られていますが、かつてはペンシルベニア州議事堂の塔で鳴らされていました。この鐘は、1776年にアメリカの独立宣言が初めて朗読されたときに打ち鳴らされたものです。「自由の鐘」と呼ばれるようになったのは1830年代で、奴隷制度廃止論者が奴隷解放のシンボルとしてこの名で呼び始めたそうです。

自由の鐘。

・独立記念館
1776年、アメリカ独立宣言がここで署名され、そこから独立記念館(インデペンデンス・ホール)と呼ばれるようになりました。1787年には、ここでアメリカ合衆国憲法も制定されています。アメリカ建国の時期に重要な役割を担った建物で、1979年にはユネスコの世界遺産(文化遺産)として登録されました。

独立記念館。

なお、これらの建物は、インディペンデンス・ナショナル・ヒストリカル・パーク(アメリカ独立国立歴史公園)内にあります。

インディペンデンス・ナショナル・ヒストリカル・パークのビジターセンターにも『ロッキー』コーナーが!

レディング・ターミナル・マーケット
フィラデルフィアという街を築くにあたり、最初に行ったことの一つがマーケットをつくることだったといいます。それ以前はあちこちの集落で商品を売り歩いていた農民、漁師、猟師といった人々が、デラウェア川沿いのハイストリートとして知られていた通りの広場に集められました。それが、現在も続くレディング・ターミナル・マーケットの始まりだそうです。

このマーケットはフィラデルフィアの中心地にあり、先述の自由の鐘や独立記念館と並ぶ人気のある観光地です。80以上の店舗が軒を連ねていますが、特にフードコートが多くの人で賑わっていました。やっぱり、地元の市場を見学するのは面白い!ですね。

レディング・ターミナル・マーケット。

フィラデルフィア・イタリアンマーケット
アメリカ最古といれる屋外マーケットが、サウスフィラデルフィアのベラビスタとパスヤンク・スクエア地区にあります。2つの公園と2つの美しい教会の間のストリートに位置し、軒を連ねる店舗の数は約200。

ここは、観光地化されたマーケットというよりは、地元密着型の市場といった雰囲気です。実際、朝食や夕食の買い出しに来たと思われる地元の人たちが行き交っていますが、活気あふれるマーケットを歩くだけでも楽しい気分になります。

円安に苦しむ日本人(僕)にはうらやましくなるぐらい生鮮食品がみんな安い!
食料品だけでなく、軽食から本格イタリアンまで飲食店もそろっています。

ちょっとした時間の余裕ができたことから始めた、おのぼりさん感覚のフィラデルフィア観光。でも、『ロッキー』関連だけでなく、アメリカ建国にゆかりのある歴史的な場所などもめぐることができ、思いのほか有意義な時間を過ごすことができました。

僕はアメリカを訪れるようになって20年ほどになります。当然、トレイル第一、歩くこと優先なので、ただ通り過ぎるだけの街も少なくありません。

今回たまたまアメリカという国の歴史やフィラデルフィアという街の成り立ちに、ほんのわずかですが触れることができ、こういったことの大切さをあらためて実感しました。

これからも、観光ではなく、ロングトレイルを目的にアメリカに足を運ぶことは変わりありません。そうではあっても、もう少し広い視野や余裕ある心を持てたらなと思ったのでした。

次回はいよいよ「プロハイカー斉藤のナショナルシーニックトレイル踏破レポ」の最終回となります。

ナショナルシーニックトレイル踏破レポのバックナンバーはこちら

斉藤正史さん

プロハイカー

2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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