【ヨーロッパ名峰登山記】クロアチア最高峰・ディナラに夫婦で登頂!絶景の稜線の先で感じた思いとは | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

山・ハイキング・クライミング

2026.05.10

【ヨーロッパ名峰登山記】クロアチア最高峰・ディナラに夫婦で登頂!絶景の稜線の先で感じた思いとは

【ヨーロッパ名峰登山記】クロアチア最高峰・ディナラに夫婦で登頂!絶景の稜線の先で感じた思いとは
ヨーロッパをキャンピングカーで巡りながら、各国の“最高峰”を登る。そんな少しユニークな旅を続けている私たち夫婦。これまでに登頂した国のてっぺんは22カ国。北欧からバルカン半島まで、さまざまな景色の頂に立ってきました。

そして今回向かったのは、美しいアドリア海で知られるクロアチアです。多くの人が海を思い浮かべるこの国にも、しっかりと最高峰が存在します。標高1,831mの「Dinara(ディナラ)」です。その頂に広がっていたのは、透き通る海のイメージとは対照的な、荒々しくも雄大な山の風景でした。

バンライフならではの移動や前泊、そして登山のリアルな様子まで。クロアチア最高峰・ディナラ登頂の記録をお届けします。

クロアチアの最高峰「ディナラ」とは?

広大な大地の先に、どっしりと構えるクロアチア最高峰・ディナラ。

クロアチアといえば、アドリア海や美しい旧市街の風景を思い浮かべる人が多いかもしれません。ヨーロッパ南東部、バルカン半島に位置し、イタリアの対岸に広がる海沿いの国です。

ですが、内陸に目を向けるとダイナミックな山岳地帯も広がっています。その最高峰が、ディナラです。クロアチアとボスニア・ヘルツェゴビナの国境沿いに位置し、周辺一帯はディナラ山脈と呼ばれる山々の一部をなしています。

登山ルートはいくつかあり、往復およそ5~7時間ほど。ヴィア・フェラータと呼ばれる、ワイヤーロープやはしごなどの岩場ルートを通る上級者向けのコースから、技術的に難しい箇所がなく初心者でも挑戦しやすいコースまで、体力や経験に合わせて選ぶことができます。

クロアチア最高峰へ。グラヴァシュルートからのアプローチ

私たちが選んだのは、ディナラの中で最もポピュラーで簡単とされるGlavas(グラヴァス)からのルートです。往復約17km、標高差はおよそ1,300m、コースタイムは6時間ほどとされており、日帰りで登ることができる王道ルートです。

登山口までのアクセス自体は比較的簡単ですが、整備された駐車場のような設備はなく、登山口近くにあるペンションに声をかけて、その前の空きスペースに停めさせてもらうスタイルでした。

ペンション前の駐車スペースは小さめで、駐車できる台数が限られているため、早めの到着がおすすめ。

ただ、周囲の環境的にキャンピングカーでの車中泊は難しそうだったため、前日は登山口から車で約30分の場所にあるKnin(クニン)の街で一泊することにしました。そこで静かな夜を過ごし、翌朝、まだ空気のひんやりとした時間帯に登山口へと向かいました。

環境や状況に合わせて車中泊場所を変えられるのも、バンライフ旅ならではの魅力です。

クロアチア最高峰・ディナラを目指して登山スタート

カラッと晴れた秋の空の下、ディナラ登山がスタート。

ディナラの登山は、序盤からいきなり“クロアチアらしさ”を感じる風景の連続でした。足元に広がるのは、土というよりもゴツゴツとした岩が目立つ乾いた地形。緑豊かなアルプスの山々とは対照的で、どこか荒々しく、バルカンらしい景色が続きます。

崩れかけた石の塔が今も残る、グラヴァシュ要塞。

登山道の序盤は、低木や木々に囲まれた穏やかな道が続きます。そんな中、歩き始めてしばらくすると現れるのが、石造りの小さな塔、グラヴァシュ要塞です。この要塞は15世紀頃に築かれたとされ、かつてはオスマン帝国の防衛要塞として使われていた場所。今では静かに佇むだけの遺構ですが、荒野の中にぽつんと残るその姿には、この土地が歩んできた歴史を感じさせる重みがあります。

ところどころに目印があり、ルートはわかりやすく、安心して歩けます。

標高を上げるにつれて視界が開けていき、広大な大地がどこまでも続くスケールの大きさに圧倒されます。ここからは、日差しを遮る木陰は少なく、じわじわと体力を削られていく感覚です。夏場は日差しがかなりきついルートなので、私たちが登った10月下旬は涼しく、ちょうど良いタイミングだったのかもしれません。

このガレ場の急登が、このルートで一番きつい区間でした。

そしてもうひとつ印象的だったのが、人の少なさ。西ヨーロッパの人気登山地ではハイカーとすれ違うのが当たり前ですが、この日はほとんど人に会うことがなく、静けさの中で自分たちのペースで歩き続ける時間が流れていました。

振り返ると、後ろにはクロアチアらしい乾いた大地が。

バルカン半島の登山道は整備が最小限でワイルドな場所も多い印象がありますが、ディナラのルートは標識がしっかりしていて、安心して歩けるのも魅力のひとつです。

案内標識もしっかり整備されていて、迷う心配はほとんどなさそうな登山道で安心。

【注意】ルートを外れないこと!内陸部に残る地雷のリスク

登山道には、棒状のマーキングや目印がされているので、ルートから外れないようにしましょう。

ディナラ周辺はボスニアとの国境沿いに位置しており、1990年代のユーゴスラビア紛争の影響を受けた地域でもあります。当時、この一帯には地雷(未爆発弾)が広範囲に埋設され、その一部は現在も完全には除去されていません。

とはいえ、登山道や主要ルートは安全が確認されており、通常の登山で過度に心配する必要はありません。ただし、登山道を外れたエリアにはリスクが残っているため、決してルートを外れないことが重要です。

実際に歩いていると、場所によっては注意を促す看板を目にすることもあり、この土地の歴史を感じる瞬間でもありました。

小屋泊まりもOK!ディナラに現れる快適すぎる避難小屋「Drago Grubać」

ルート途中に現れる小さな避難小屋。必要最低限ながら、登山者にとっては心強い拠点となる。

登山道の途中に現れるのが、避難小屋のDrago Grubać Shelter(ドラゴ・グルバチ・シェルター)です。山小屋のように管理人が常駐している施設ではなく、誰でも自由に利用できる無人の避難小屋で、ここで一泊して頂上を目指す人も多いです。

外観はとてもシンプルで、いかにも山の中の小屋といった素朴な造りですが、中に入ってみるとその快適さに驚かされます。小屋の中は思っていた以上に広く、数人が十分に泊まれるスペースが確保されています。トイレもあり、2階部分は寝るためのスペースになっていて、しっかりと休める作りになっているのも印象的でした。

木のぬくもりを感じる内装で、シンプルながらも落ち着いて過ごせそうです。

さらに驚いたのは、ソーラーパネルによる電力が通っていること。簡易的ながら電気が使えるようになっており、携帯の充電も可能です。山の中の避難小屋とは思えない設備に、思わず「ここで一泊するのもありかも」と感じてしまうほどでした。外には草が生えた平らで広めのスペースもあり、テント泊にも良さそうな環境です。

テラスには長いテーブルが設置されており、登山仲間と食事を囲める憩いのスペースになっています。

自然のど真ん中にありながら、無料でここまで設備が整っていることに驚かされると同時に、ディナラの登山の魅力を改めて感じさせてくれる場所でもありました。

頂上へ続く最後の道のりは絶景の稜線歩き

どこまでも見渡せる絶景の稜線ルートが続きます。

避難小屋を抜けると、ここから先は一気に景色が変わり、頂上までは開放感あふれる稜線歩きが続きます。視界を遮るものはほとんどなく、どこまでも広がる大地を感じながら歩く、気持ちのいい区間です。

振り返れば、歩いてきた荒々しい大地が広がり、クロアチアらしい乾いた風景がどこまでも続いています。タイミングや天気が良ければ、遠くにアドリア海がうっすらと見えることもあるそうですが、この日ははっきりと確認することはできませんでした。それでも、海のある方向に視線を向けながら歩く時間は、どこか特別なものがあります。

遠くにぼや〜っと見えるのが、もしかしたらアドリア海?!

景色を楽しみながら歩いていると、遠くにぽつんと見えてくるのが、頂上にある赤いシェルターのような建物です。「あそこがゴールだ」と思えることで、不思議と足取りも軽くなります。

広大な景色の中にぽつんと現れるその小さな赤い目印を目指して、もうひと踏ん張り。

クロアチアのてっぺん、ディナラへ到着!

クロアチアのてっぺんに着いたぞー!

ついに、クロアチア最高峰ディナラの頂上へ到着。標高1,831mの山頂に立つと、「ここがクロアチアのてっぺんなんだ」という実感がじわじわと込み上げてきます。

山頂は視界を遮るものがほとんどなく、360度に広がる大パノラマ。これまで歩いてきた荒々しい大地がどこまでも続き、そのスケールの大きさに思わず立ち尽くしてしまいます。派手さはないものの、この場所にしかない静けさと広がりがあり、ゆっくりと景色を味わいたくなるような空気が流れていました。

山頂を少し進むと、ヨーロッパの山頂ではおなじみの十字架が静かに立っていました。

そして道中ずっと見えていたのが、山頂にぽつんと佇むこの赤い小さなシェルターでした。中は狭く、数人が座れるほどのスペースしかなく、風をしのぐための簡易的な構造。それでも、この場所を象徴する存在でもあり、「ゴールにたどり着いた」という実感をより強くしてくれます。

下山ルートは、来た道をそのまま戻ることもできますが、今回は別ルートを使って周遊することに。帰り道ではまた違った角度からディナラの景色を楽しむことができ、最後まで飽きることのない山行となりました。

下山路では、登りとは違う角度からディナラの風景が広がっていました。

バルカン半島の最高峰を巡る旅を終えて、次の目標へ

キャンピングカーでの山登り旅は続きます。

今回のクロアチア・ディナラへの登頂で、バルカン半島における“各国最高峰チャレンジ”は一つの節目を迎えました。

ブルガリア、ギリシャ、セルビア、北マケドニア、アルバニア、モンテネグロ、そしてクロアチアと、(ボスニアを除く)バルカン半島の最高峰をほぼ巡ることができ、それぞれの山で全く異なる表情に出会うことができました。

アルプスのような整った登山道とは違い、どの山もどこか荒々しく、素朴で、そしてワイルド。整備されすぎていないからこそ味わえる緊張感や、静けさの中にある大自然の存在感は、これまでの山歩きとはまた違った貴重な経験になりました。

これからもキャンピングカーで旅を続けながら、ヨーロッパの山々を巡る旅は続いていきます。次はどんな山に出会えるのか、お楽しみに。

ルアナさん

トラベルライター

2023年1月から夫婦でキャンピングカーに暮らしながらヨーロッパを周遊中!登山、キャンプなどのアウトドアが大好きで、ヨーロッパでもアルプスや色んな地域の山を登っています。夫婦の長年の夢だったキャンピングカー暮らしで旅をして、有名観光地だけでなく、ガイドブックにも載っていないような秘境スポットをどんどん巡り、キャンピングカーライフや海外登山などリアルな体験談をお届けします。

あわせて読みたい

【ヨーロッパ各国の最高峰チャレンジ】ブルガリアの頂上「ムサラ山」へ。白銀のてっぺんにいた“山の主”とは?

【ヨーロッパ各国の最高峰チャレンジ】ブルガリアの頂上「ムサラ山」へ。白銀のてっぺんにいた“山の主”とは?

【ヨーロッパ名峰登山記】モンテネグロの“歴史の浅い最高峰”「ズラ・コラタ」で絶景を独り占め!

【ヨーロッパ名峰登山記】モンテネグロの“歴史の浅い最高峰”「ズラ・コラタ」で絶景を独り占め!

【ヨーロッパ名峰登山記】神々の住処にしてギリシャ最高峰の「オリンポス山」で実感した荘厳さ

【ヨーロッパ名峰登山記】神々の住処にしてギリシャ最高峰の「オリンポス山」で実感した荘厳さ

NEW ARTICLES

『 山・ハイキング・クライミング 』新着編集部記事

休日は軽井沢の「野鳥の森」へ。家族で本物の自然に触れられる特別な時間を楽しもう!

2026.05.04

【2026年】大阪で日帰り登山のおすすめ6選!初心者&ファミリーにおすすめの山に楽しく登ろう

2026.04.17

京都で日帰り登山が楽しめるおすすめ低山はこちら!自然と歴史をWで満喫

2026.04.17

【ヨーロッパ名峰登山記】モンテネグロの“歴史の浅い最高峰”「ズラ・コラタ」で絶景を独り占め!

2026.04.16

登山におすすめの服装&レディースブランドを紹介!山ガールになれるコーデアイディアも!

2026.04.06

【関西】ベストシーズンに登山しよう!初心者にもおすすめ登山スポット15選

2026.04.01

日帰りで標高5,320mへ!南米ボリビア「ピコ・オーストリア」絶景トレッキング

2026.03.31

神奈川のおすすめハイキングコース12選!日帰りで楽しめる眺め抜群のコースはこちら

2026.03.30