東京都江東区の団地1階で営業中!日本人の飲み方に合った“ブリュー居酒屋”ガハハビールの挑戦 | サスティナブル&ローカル 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

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2024.09.05

東京都江東区の団地1階で営業中!日本人の飲み方に合った“ブリュー居酒屋”ガハハビールの挑戦

ガハハビールの定番。左から「空旅IPA」(アメリカンIPA)、「シャルウィートダンス」(セゾンウィートIPA)、「ダンチエール」(エクストラ・スペシャル・ビター)、「マーシーIPA」(セッションIPA)、「ガハハのポーター」(ポーター)。

東京都江東区。東京メトロ東陽町駅の近くに建つ南砂住宅の団地群。その1号棟の1階にクラフトビールブルワリーがある。「ビールはガハハ! と笑って飲むもの」というコンセプトで、店の名はガハハビール。代表の馬場哲生さんにインタビューした。

造りたてのビールがおいしい居酒屋

ブルワリーのすぐ隣にある飲食店は、ブリューバー(ブルーバー)あるいはブルーレストラン、タップルームなどと呼ばれる。しかしガハハビールの店は、ブリュー居酒屋と呼ぶのがふさわしい。2017年、南砂住宅1号棟の1階にオープンした。

団地の1階が商店街になっている南砂住宅。その一角に出店したガハハビール。ランチタイムも営業。

なぜ南砂の団地に? 代表の馬場哲生さんに訊ねると、生まれが東陽町だという。学区は違ったが、子どもの頃はよく友だちと団地まで遊びに来たそうだ。

「当時は文房具屋さんやおもちゃ屋さんもあって、買い物もよくしました」

南砂住宅は今も商店街を有する。スーパー、クリーニング店、自転車店、理髪店、中国食材店、居酒屋、ハンバーガーショップなどなどが軒を連ねる。

団地を選んだ一番の理由は、賃料の安さだと話す。東京の都市部でクラフトビールを造るのに、地元かつランニングコストが抑えられるというのは大きな魅力だ。

馬場さんはもともと調理師である。10年以上、東京の高円寺の居酒屋などで料理の腕を振るってきた。将来は自分の店を開くという夢を持ちながら。独立するには「単に居酒屋だけだと埋もれてしまう。何かもう一つ、引きがほしい」と考えていた。ちょうどその頃、高円寺に小さなクラフトビールブルワリーが開店した。麦酒工房という。マイクロといえどもブルワリーはそれなりのスペースを要するのだが、麦酒工房は3坪ほどのスペースで、醸造釜の代わりに寸胴鍋を使いこなしてビールを造っていた。ここでビール造りを身につけた馬場さんが目指したのが、ブリュー居酒屋だ。団地の1階という限られたスペースに居酒屋と醸造の設備を入れる。ミニマルなビール造りを修得していたからこそできた選択だと言えるだろう。

ビールラベルのガハハ顔そのままの馬場哲生代表。

ちなみに現在は、同じ1号棟内にもう1店舗借りて、ブルワリー機能を移している。なんといっても住宅地ゆえ、商店や飲食店ではなく工場として使用するには数々のハードルがあり、営業許可をとりつけるまでに少々時間がかかったと話す。

2021年にブルワリーを拡充。同じ1号棟内で、ガハハビールから徒歩20秒。奥のシャッターの向こう側は団地内の商店街に面している。

団地でゆるゆる飲みたい「ダンチエール」

団地の商店街を抜けて行くと、緑色の屋根とガハハビールの横断幕。外観からして居酒屋らしい。中に入ると、やっぱり居酒屋だ。カウンターの向こうで作業する馬場さんの雰囲気も居酒屋のおっちゃんである。

ガハハビールのカウンター。見上げればクラフトビールのラインナップ。

メニューも、もちろん居酒屋である。「本日のおすすめ」とクラフトビールのラインナップが違和感なく並んでいる。

居酒屋なのでアルコール類は日本酒、ジン、ウイスキーなどが揃う。フードメニューには、ポテサラ、コロッケ、よだれ鶏、カツオ竜田揚げから海鮮まで、ザ・居酒屋の手書きがまぶしい。ランチ営業もする。

長年、飲食店で仕事してきた馬場さんは、日本人のビールの飲み方には居酒屋がよく合っていると話す。

「外国の人だとビールだけ飲む。つまみはナッツとか簡単なものだけ、という飲み方が多いかもしれない。でも日本人は料理といっしょに楽しむ。酒もいろいろあって、次はどれ頼もうかとワイワイしながら飲む。それって居酒屋ですよね」

そんな馬場さんが造るガハハビールのイチ推しが「ダンチエール」だ。エクストラ・スペシャル・ビターと呼ばれるスタイルで、つまり特別ビターなペールエール。といっても、IPAのようにホップの香りや苦味が強いわけではなく、麦芽の味わいも楽しめ、色は赤みがかかって美しい。

「料理に合わせられ、何杯でも飲めるビールです」

ラガービールとはひと味違うふくよかな香り。泡が消えてもゆるゆる飲みつづけられるほがらかさ。焼き鳥にも焼き魚にも合ってしまう懐の深さを感じるビールだ。

ガハハ、ガハハ、ガハハと色違いで並ぶ。飲む前から笑えてくる不思議な飲み比べセット。

スタートアップさん、いらっしゃい!

南砂住宅のある江東区には、近年タワマンが建ち並び、新しい住民が増えている。そのわりにはビアバーが少ないとあって、そうした新しい住民や仕事帰りのお客さんが増えているという。クラフトファンも当然やって来る。ガハハビールは江東区でいちばんはじめにオープンしたクラフトビールブルワリーなのだ。 

南砂住宅は東京都住宅供給公社(JKK東京)が運営する団地で、1975年建築、8棟が建つ。リノベーションなどのメンテナスを施しながら、もうすぐ半世紀が経つ。都市部とはいえ、少子化や高齢化の影響は避けられない。特にコロナ禍以降、団地内で開かれるイベントは縮小傾向にあるという。

そんな団地で、ビールを造って売って8年目。すっかり1号棟の風景に溶け込んでいるガハハビール。馬場さんは賃料がアドバンテージになるとして、「スタートアップには向いていると思います」と話す。

実際、2年前にオープンしたハンバーガーショップには、時に行列ができるほど人気店に成長している。馬場さんはオリジナルビールを造って提供し、団地内コラボが実現している。ブルワリーのある団地は日本にいくつもない。ビール好きにはたまらない。

「うちの存在が出店や入居の後押しになってくれたらうれしいです」。

江東区の花になれ! 区民農園に麦芽カスを運ぶ

ガハハビールは醸造工程で出る麦芽カスを、江東区の区民農園に提供している。麦芽カスは乾燥させて肥料に混ぜると栄養価の高い肥料になる。水分を含んで重い麦芽カスを運搬するのは、それなりに労力がかかるが、「捨てるのはもったいないし、産業廃棄物なので処分するのに費用がかかるんですよ。使えるならなるべく使っていただきたいと思って運んでいます」

農園のほかにも、公園や道路の植え込みなどに花を植えたり手入れをしたりしているボランティアの人たちにも喜ばれている。麦芽はおいしいビールになるだけでなく、町の花を咲かせていると思うとほほえましい。

そして今年の春、ガハハビールは東京スカイツリーのお膝元、押上に居酒屋を開いた。その名もガハハウス。東京スカイツリーだけでなく地元の活性化も図りたいという東武グループから出店の打診を受けたという。東京でも、クラフトビールが街の活性化のコンテンツとしてカウントされる時代なのだ。

「押上エール」「白紙の一杯」など、オリジナルのビールもラインナップ。東陽町の本店と同じく、アルコール類はひととおり、フードはポテサラからトンカツまで、ザ・居酒屋メニューが全開だ。

こういう店は、そこまでビール飲みではない人と飲むときにも重宝する。私はクラフトビールが飲みたくても、相手は日本酒好きかもしれないしハイボール好きかもしれない。ガハハビールやガハハウスのような店なら、どちらも好きなものを飲める。馬場さんの言うとおり、ブリュー居酒屋こそ日本にもっとも適したクラフトビールの根づく道なのかもしれない。 

最後に、馬場さんに今後の目標を聞くと、「とにかく店を継続させること」と即答し、ガハハハハ〜!と笑った。

ガハハビールのテーブル席で馬場さんの母上が事務作業中でした。

ガハハと笑って飲むとさらにうまい!

ガハハビール 東京都江東区南砂2-3-1-118
https://gahahabeer.co.jp

 

私が書きました!
ライター
佐藤恵菜

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