福岡で発見!シンプル材料&プロセスのおいしいパン屋さん | ナチュラルライフ 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

ナチュラルライフ

2022.11.29

福岡で発見!シンプル材料&プロセスのおいしいパン屋さん

パン屋の棚

忘れられない味ってありますか?

パン好きの友人からいただいたのは、レーズン酵母のサワーブレッド。小麦とレーズン酵母から生まれるそのパンは、シンプルなのに滋味深く、噛みしめるほどにうまみが口中に広がります。これまでも天然酵母パンは食べたことがあり、自分で酵母を育ててパンを作ったこともあるのですが、友人がくれたパンは格別でした。

酸味だけではない力強い味わいと、モッチリモチモチの食感に感動し、記憶に残る味となりました。

また、あのパンが食べたい!

どんなパン屋さんなんだろう?

こみ上げる思いを抑えられずに、福岡県糸島市前原にある奥添製パン「OKUZOE SEIPAN」に行ってきました。

神社の前の一軒家にあるパン屋さん

J R筑肥線、「筑前前原」駅から徒歩7分ほどのところに、OKUZOE SEIPANはあります。福岡県糸島市の中でも線路沿いに位置する前原エリアは、車を持っていなくても訪れやすい場所です。車で訪れる際には、福岡市内から有料道路を使って40分程、「老松神社」の斜め向かいにある一軒家の一階にお店があります。お店の前にあるベンチの上の小さな看板が目印です。

パン屋

秋晴れの気持ちいい昼下がり。筆者が訪問したときは、ティナさんとバゲットを毎日買いにくる常連さんがベンチでお話しされていました。お店の前に置いてあるベンチは、ある映画に登場するお豆腐屋さんの外に置いてあるベンチをイメージして作ったそうです。

お店の前にある神社

お店の斜め向かいには「老松神社」があります。神社の前のパン屋さん、覚えやすいです。

小麦・塩・水だけで作られたシンプルなパン

「奥添製パン」で提供されているのは小麦粉+塩+水のシンプルな素材で作られたパンです。

九州、アメリカで育てられた有機小麦を使い、ゆっくりと発酵させたシンプルなパンは、尊敬する生産者からの小麦を信頼する製粉会社で小麦粉にしてもらったものを使っています。

基本メニューは7種類。その日お店に並ぶパンのラインアップをお店のインスタでチェックするのも筆者の楽しみになっています。メニュー札にはパンの説明と使用した小麦粉や塩の産地が明記されています。大きく焼き上げられたパンを1/2、1/4など注文に合わせてカットして販売してくれます。

パンが並ぶ棚

フランスで出会った伝統的なパンに心を動かされて

2013年、店主のトモさんは石窯でパンを作りたいとの想いから、リュック一つ背負ってアポなしでフランス・パリへ渡りました。パリのブーランジェリーでは門前払いとなりますが、それでも諦めずに歩いて回る中、出会った人からフランス西部の街に、“石窯でパンを焼いているお店がある”と聞き、現地に向かいます。

そうして、トモさんの故郷、熊本県天草にも似たフランス西部の海沿いの街ブレストの、オーガニック小麦を石窯で焼く店で修業することが叶いました。トモさんが目にしたのは、「直接農家から仕入れたオーガニックの小麦でパンを焼き、街の市場でパンを販売、それを街の人が買いに来る」という、”顔が見えるつながり”が日常にある風景でした。

「顔が見える人から仕入れて、顔が見える人に販売する」

このシンプルなプロセスがしっくりときたトモさんは、海の近くの街でパン屋を開くことを決めたそうです。帰国後も東京や広島などで修行を積み、出店場所を探す中で出会った糸島へ移住。物件の都合もあり石窯は導入できなかったそうですが、2021年3月に晴れてお店をオープンしました。

オーガニックパン

(左)RYE BREADと(右)COUNTRY SOUR

いつもの暮らしの中にあるパン屋さん

筆者がお店を訪れて一番驚いたのは、生地を捏ねてから焼き上げまで全てが見渡せる店内です。売り場は1組入ればいっぱいくらいのコンパクトなスペースですが、その分、作り手とお客さんとの距離が近く、お互いの顔が見える安心感があります。

「昔ながらのお豆腐屋さんのようなお店にしたかったんです。特別な空間じゃなくて、街の暮らしに馴染むような。地元の人が朝、パンを買いに来てくれるのが嬉しいんです。」とトモさんは語ってくれました。

実は、お店の扉が“ガラスの引き戸”というのも、昔ながらのお豆腐屋さんからヒントを得た、風景のじゃまをしないデザインなんだそうです。お店を作る際に、内装や建築設計を生業とする友人からアドバイスをもらって取り入れたといいます。

売場の前の工房で朝焼き上げられたパンが棚に並び、一組ずつお店に入るお客さんと作り手の間に、ちょっとした会話が生まれます。それは、まさに昔ながらのお豆腐屋さんのような、「顔」が見えるコミュニケーションなのです。

お店の中にあるパン工房

売場の奥はパンを作る工房です。小麦粉の大きな紙袋やボウル、パンナイフなど、本当にシンプルな材料や器具でパンが作られているんだなと感じます。

昔お豆腐屋さんでその日に食べる分をボウルに入れてもらったように、奥添製パンではお客さんが持参した布や紙袋に入れて持ち帰ります。こういった昔ながらのお店のスタイルを懐かしく思う人もいるのではないでしょうか。

「今の子どもたちは、コンビニやスーパー、オンラインで買い物をすることが主流の時代だからこそ、“作り手から直接買えるお店のあり方”を残していきたいんです。たまに、近所の小学一年生のお子さんが勇気を出して買いに来てくれたりするんですよ。あと、お客さんが、楽しんで布や袋を家から選んで持ってきてくれるのも嬉しいですね。」と、奥様のティナさん。

筆者が初めて訪れた日はエコバックを持っておらず、10円で購入できる紙袋にパンを詰めてもらいました。環境に配慮して、できるだけプラスチックを使わないようにとお店とお客さんが協力できるのも素敵ですね。

紙袋に入ったバゲット

2度目にお店を訪れる際には、家にあった紙袋と布とを持って出かけました。昔パリでバゲットを2本買った時にも、小さな長方形の紙でバゲット2本の真ん中だけをくるりと巻いて束ねてくれたことを思い出しました。スーパーでの買い物後にトレーやポリ袋を廃棄することが多い筆者は、このシンプルな買い物の流れに心地好さを感じました。

山登りのリュックにそのまま詰めこんで!

ティナさんにお話しを伺う中で、BE-PALということでアウトドアに関する話もしてくれました(笑)。

「山登りをしている人たちが全粒粉のパンをよく買ってくれます。1週間くらいの登山に、リュックにそのままパンをガサっと詰めて持っていくそうなんです。真夏じゃなければ常温で2週間くらいもつので、忘れた頃に固いパンのかけらが出てきても美味しいという話しを聞きます(笑)。

パンをちょっとスライスして、ハチミツをつけて食べるのもオススメです。昨日も二丈(福岡県糸島)の山に登る友人が来てくれて、全粒粉パンをお土産に買っていきました。

あとは、ランニングやサイクリングをしている人たちも買いに来てくれますね。福岡市内や遠い所から、自転車や走ってここを目指して来てくれるんです。カントリーサワーやバケットを買って、家に帰り着いたらランチしますと。そのまま食べてもいいし、サンドイッチにしたりハチミツとかつけてもいいし。ちゃんとお腹がいっぱいになる、栄養が摂れる感じがいいみたいです。油とかお砂糖を使っていなくて、天然酵母の力も大きいのかなと。」

ハチミツを垂らしたパン

ティナさんのおすすめ、パンをスライスしてハチミツを垂らしていただいてみました。冷凍していたサワーブレッドを焼き戻してカット。モチモチの食感に、ほのかな酸味とハチミツの甘み。噛みしめるたびに美味しいです。

忙しい朝に、いつものランチに、一日の終わりの食卓に

シンプルな材料、シンプルなプロセスで、ゆっくりと発酵させて作られたパン。ごまかしがきかないからこそ、ダイレクトに素材の旨味や作り手の想いを受けとることができます。噛みしめるほどに味わい深く、わたしたちの暮らしを豊かにしてくれるシンプルなパンを、ぜひ味わってください。

パン屋の前で記念撮影する筆者

パンを購入できた喜びと、試食にいただいたレーズン酵母パン(サワーブレッド)の余韻が口の中に残っていて、しあわせ気分の筆者です。

奥添製パン「OKUZOE SEIPAN」

  • OPEN: 水曜〜金曜 8:00-13:00/土曜 8:00-15:00
  • 住所:糸島市前原中央1-5-43(老松神社前)
  • 駐車場: 店舗前2台・店舗右 1台。老松神社の裏のコインパーキングも便利です。
  • 支払いは現金のみです。
  • オンライン販売やイベント情報、お店に並ぶパンのラインナップは、お店のインスタグラムをご確認ください。

 ※この記事は公開時点での情報です。

(写真提供/Tomohiko Hosoi)

ふるやさおり
私が書きました!
寄り道ライター
ふるや さおり
福岡在住、1児の母。福岡をはじめ九州のローカル情報や自然、アウトドア、スローライフに関する情報をお届けし、皆さんの人生に「ワクワクの種」を撒くお手伝いができれば嬉しいです。18年半の会社員生活を経て、2021年10月からフリーランス。「正しい道より、楽しい道を。最短距離より、寄り道を楽しんで」がモットー。noteにて「寄り道な日々」を発信中! https://note.com/sao7878

 

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