世界遺産推薦候補地にもなっている自然豊かなやんばるの森をはじめ、リゾート旅だけでは見えてこない魅力が、沖縄にはまだまだある。急ぎ足で通り過ぎるのではなく、ゆっくりと滞在することで見えてくる、新しい沖縄の旅プランをご紹介!
Plan 1<国頭村・伊部岳>
いたる所に
薬草が生える
恵みに溢れた
やんばるの森へ
薬草料理に舌鼓
おばあの知恵に触れる
贅沢な民泊体験
沖縄本島の北部一帯は、深い山並みが続き、やんばるの森と呼ばれている。伊部岳はその中にある標高351mの山。今回は、麓の安田集落に民泊して、翌日に伊部岳を目指す。お世話になる「あだの宿」のヒロコおばあは、薬草料理の名人だという。
集落に着くと、出迎えてくれたおばあが「ちょっと晩ご飯を採って帰りましょうかね」といって先に歩き出す。薬草採りと聞いていたから、てっきり森の中に行くものだとばかり思っていたが、おばあはその辺の道端に生えている草を摘んでいく。
「これはセンダングサ。天麩羅にしても美味しいし、煎じれば、高血圧にも効く。ヨモギは知ってるね? こっちにはチョウメイソウがあるよ。私らはサクナと呼んでる。1回食べれば寿命が10年延びるよ(笑)」
ちょっと歩くだけで、たくさんの薬草が採れることに驚く。効能は、人づてに集落に伝わり続けているという。子供が腎臓を患ったときには、この薬草を使って治したこともある。
「必要な薬は大体まわりに生えているからね」とおばあがなんでもないという風にいう。
その日はおばあと採った薬草をたっぷり使った料理が並んだ。
次の日目覚めると、風邪気味だった体調がすっかり治っていたのは、嘘のような本当の話。