天然記念物の
ヤンバルクイナが住む
伊部岳の森を歩く
翌日はあいにくの雨。案内人の中根さんと相談して、行けるところまで行ってみようという話になった。伊部岳は赤土なので雨の日はとても滑りやすいのだ。伊部岳ツアーは、1回6名限定。これは特別鳥獣保護区に指定されている伊部岳の豊かな自然を守るための仕組みだ。この地域は県知事が認める保全利用協定(※1)を締結している。
巨大なゼンマイが生るヒカゲヘゴや、イタジイなど亜熱帯特有の木々がいかにもジャングルな様子だが、この山は安田集落にとっては生活の場だったという。
中根さんが、密生している細い竹を指さしていう。
「このリュウキュウチクは、昔は貴重な財源だったんです。子供達はこれを刈ってから登校するのが日課だったようです」
ここのオキナワウラジロガシは、その昔首里城の建設に使われ、クスノキは防虫剤作りに利用されていた。山と里は密接に繋がり合っていたのだ。もちろん、食べられる薬草もたくさん生えている。中根さんは、おばあたちからその知恵を学んだ。
人と自然が上手に共生していく。現在ないがしろにされがちな、この当たり前のことが、やんばるの森では、おばあの知恵と共に、いまでも残っている。

やんばるエコツーリズム研究所 中根 忍さん。伊部岳のほか、カヌー体験やマリンクラフト体験など、様々な自然体験プログラムも開催。伊部岳トレッキング1人¥4,000。やんばるエコツーリズム研究所TEL:0980(41)7966