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真昼の天体観測?11月8日、金星が三日月に隠される金星食で太陽系の奥行きを体感しよう

2021.11.06

9年ぶり。金星が三日月に隠される金星食 

昼間、月の陰に隠れる金星の軌跡。(ステラナビゲータ/アストロアーツ)

金星食をご存知ですか。金星が月に隠される現象です。

人の目には、空は常にスクリーンのように2次元的に見えるものですが、金星食は太陽系の奥行きを感じさせてくれる貴重な機会になります。日食のような大きな話題にはなりませんが、天文ファンの間では人気の高い現象です。

月と金星の組み合わせは夜であれば見逃しようがありませんが、今回の金星食は日が高く昇っている白昼で起こります。金星と月が重なる瞬間を楽しむなら双眼鏡がほしいところですが、その前後に金星を見るだけなら肉眼でもいけるかもしれません。今の時期の金星はマイナス4.5等級という明るさ。真昼の青い空に浮かぶ白い月を見た方は多いと思いますが、実は金星も、これだけ明るいと昼間でも見えるものです。

金星食は日食ほど頻繁に起こる天文現象ではありません。前回、日本で見られた金星食は2012年の8月。ロンドンオリンピック中の夜中の3時頃でした。私は見事に寝過ごしてしまいました。今回は昼間なので、敵は雲だけです。

約9年ぶりの金星食は118日。月は月齢3.3です。金星食の始まりは、時間は地域によって異なります。札幌1342分、仙台13時45分、東京1347分、大阪1344分、福岡1352分です。九州南部以南は、今回は残念ながら見られません。日本各地でこれだけの違いが生じるのは、月がとても地球に近いことを示しています。

ところで、金星食は三日月くらいの細い月でしか起きません。なぜかと言いますと、月が満ちているときは地球を挟んで太陽の反対側にある一方、地球の内側を回る金星は常に太陽の方向にあるからです。満月と金星が同じ方向にあることは決してなく、金星食は月が太陽に近く、大きく欠けているときにしか起こりません。

 金星が隠れる瞬間に注目。東京は13時47分

11月8日、月による金星食。東京での見え方。(ステラナビゲータ/アストロアーツ)

金星食のいちばんの見どころは、食の始まる瞬間です。恒星と比べると圧倒的に近くにある金星は、望遠鏡で見るとちゃんと面積を持って丸く見えます。そのため、金星の端が月に接した瞬間がわかります。専門用語ではこの瞬間を第1接触と言います。次に、完全に金星が月の陰に隠れた瞬間が第2接触と言います。日食で言うところの皆既になった瞬間です。真昼の空に金星が消えていく……金星食最大の見どころです。

ここでひとつご注意。双眼鏡や望遠鏡で観察する方は、決して太陽の方にレンズを向けないようにお気をつけください。今回、月と太陽の距離はありますが、くれぐれも、ご注意ください。

食の終わりは月の白い部分から金星が出て来ます。この瞬間は月の白さに金星の明るさが紛れるので、食の始まりほどわかりやすく見えないかもしれません。

食の終わりは、札幌1451分、仙台14時46分、東京14時40分、大阪14時26分、福岡1357分です。

このように食の始まりから終わりまで札幌では70分もありますが、福岡では5分しかありません。

スマホを向けずにいられない三日月と宵の明星

今回の金星食は九州南部以南では観測できませんが、同じ日本でもこれだけ差がある、月と地球の近さを実感できる現象です。ちなみに、太陽が発した光が地球に届くまで、約820秒かかります。これに対して、月から出た光が地球に届く時間はたった1.3秒です。地球と月の距離は平均して約38万キロです。遠いようでいて、宇宙スケールでは圧倒的に近い存在なのです。

日食のように大きな話題になりませんが、月の裏には常に何かしらの天体が隠されています。それは月と地球の近さを物語っています。そして月の裏側に広がる太陽系を感じてください。また、金星食は見られなくても、金星が月の下をギリギリにかすめていくのも珍しい現象です。

11月8日の夕方。宵の明星と細い月が近い!(ステラナビゲータ/アストロアーツ)

最後に、金星食が終わってから日没後に出現する、大接近状態の金星と月にも注目。白い三日月とキラキラ輝く宵の明星。思わずスマホを向けたくなるような絶景が見られると思います。

構成/佐藤恵菜

 

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星空案内人
廣瀬匠
星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」iPhoneAndroid版無料公開中。
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