街中でネイチャー散策!都会で生き物探しをしてみよう | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2020.08.20

    街中でネイチャー散策!都会で生き物探しをしてみよう

     

    プロ・ナチュラリスト佐々木 洋さん 全国の小学校や幼稚園で自然解説を行ない、独特の表現と口調で自然の魅力を伝える。NHK教育番組やラジオなどで活躍。著書多数。

    気にも留めずに通り過ぎてるいつもの街の風景を、ぺろりと一皮めくってみよう。タヌキ、アナグマ、変形菌…。驚くほど多様な生き物がそこにいるんです。

    佐々木洋さんとひがな一日都会の生き物探し

    コンクリートに囲まれた都会でも、ちょっとした隙間にある緑や土のなかに、たくさんの生き物が生息している。今回は、そんな身近にいながらも、普段は見過ごしがちな生き物探しに出かけることに。

    本日のお道具

    左上から図鑑代わりの生き物バンダナ、折りたたみ傘、双眼鏡、観察用のフタのある透明ケース、シャベル、コウモリ探知機、赤い下敷き、昔ながらの懐中電灯(LEDじゃないもの)。

    「生き物観察は五感を使うのが醍醐味。五感を使うということは、目で見るだけでなく、ときには聴いて、触って、香りを嗅いで、できれば味わって、とにかく自然を感じることですね〜」

    と話すのは、プロ・ナチュラリストの佐々木洋さん。じつは佐々木さん、以前本誌で“オタッキー佐々木”として活躍し、自然観察をエンターテインメントにしたレジェンドである。

    「でもね、なかでもいちばん大切なのは、“いる”と思って探すこと。最初からいるわけない、と思ってしまうと、見つかるものも見つからないんです」

    というわけで、都会っ子のまみちゃんを伴い、東京都心でひがな一日生き物ツアーを開催!

    まずは江戸川区にある葛西海浜公園へ。東京湾沿いに造られた公園で、ふたつの人工干潟がある。

    1 カニの巣穴を探してみよう

    所要時間 約30分@葛西海浜公園

    葛西臨海公園を抜け、葛西渚橋を渡って入園。天気がよければ房総半島や富士山が一望できる。東なぎさは環境保全ゾーンで立ち入り禁止なので西側で観察。

    佐々木さん(以下・佐)「ここでは鳥と海の生き物を観察しましょう。あ、ほらほら、砂浜に穴があいてるでしょ。これカニの仕業」
    まみちゃん(以下・ま)「えーー、こんなに!?」
    佐「違う、違う、それは波の跡。こんなふうに穴の周りに掘った砂が散らばっているのがカニ」

    シャベルで掘ってみると…。

    スナガニの巣穴は、掘った砂が放射状に散らばっているのが特徴。穴をそっとシャベルで掘ってみる。

    ま「ヒィーーーーー!!」

    穴から飛び出し、シャカシャカ動き回るカニに右往左往するまみちゃん。

    20㎝ぐらい掘ったところで飛び出してきたものをケースに入れ観察。左右でハサミの大きさが違うことも特徴のひとつ。

    佐「逃げないで捕まえて!」
    ま「速すぎてムリ〜〜〜」

    波打ち際での攻防の末、スナガニをゲット。ほかにも浜に打ち上げられた、ミズクラゲやアカクラゲを観察できた。

    ついでに漂着生物もチェック

    コウイカの甲

    コウイカの甲で、セキセイインコの餌(カルシウム)になる。

    ミズクラゲ

    4つ目クラゲと呼ばれるミズクラゲ。

    2 傘で鳥の声を集音しよう

    所要時間 約50分

    佐「次は鳥といきましょう」

    と、おもむろに傘を広げだす佐々木さん。

    鳥の声が聞けて 鳥(ちょう)ウレシイ

    折りたたみ傘を使った簡易集音器。パラボラアンテナのように、背中を覆うようにさして後ろの音を聞こえにくくし、鳥の方を向くと、鳥のさえずりが鮮明に聞こえる。今回はヒバリのホバリングを観察できた。

    ま「え、いまさら日除け!?」
    佐「こうやって傘を広げると集音器代わりになるの!!」
    ま「あぁ! ほんとだ、ニャーニャー聞こえる」
    佐「でしょう〜。東京湾の夏といえばウミネコ、冬になるとユリカモメが見られますよ」

    ウミネコ

    ミャー、ミャー 日本では普通に見られるが、極東にしか生息せず、欧米の観光客は大喜びする。名前どおり猫に似た鳴き声と、黒い尾が特徴的。

    東京湾名物のカワウの集団や、東なぎさには、遠目ながらもコアジサシの営巣地が見られた。

    カワウ

    グルル、ルル…

    レインボーブリッジの下で繁殖し、エサを獲るため葛西の海に集団で移動してくる。首が長く、空飛ぶ姿は東京湾のプテラノドン。

    ハシボソカラス

    ガー、ガー   街中に住むハシブトガラスよりひと回り小さく、農耕地や田園地帯に生息する。クルミを車に轢かせて割る頭がいいカラスはこちら。

    足元でトノサマバッタ発見

    温暖化の影響で最近は虫のサイクルが早くなってきているようで、東京では珍しいトノサマバッタを発見。5㎝以上ある大物だった。

    佐「さあ、午後はさらに都心に向かいますよ」

    降り立ったのは、広尾駅から徒歩3分の、港区にある有栖川宮記念公園。

    3 生き物の聖地・公園の池で生き物を見まくる
    @有栖川宮記念公園

    所要時間 約40分

    都心の港区に位置するが、丘があったり、渓谷や大きな池があったりと、変化にとんだ地形を生かした緑の深い公園。さまざまな生き物が生息する。

    佐「水辺の生き物にはじまり、虫ともたくさん出会える!」
    ま「ム、ムシ……」

    虫が苦手なまみちゃんは果たして生き物観察を楽しめるのか。

    西南側の低地にある池。日本庭園を象徴するような中島や石灯篭がある。カモや数種のカメ、水生昆虫、両生類など、さまざまな生き物が豊富に観察できる。

    オオシオカラトンボ

    綺麗な水色カラーはオスでメスは黄色。真水があればどこでも生息する。

    カルガモ

    全国の水辺でほぼ1年中見られる。クチバシの先だけ黄色いのが特徴。

    ウシガエル

    最大20㎝近くにまでなる巨大ガエル。美味でも知られる特定外来生物。

    アメリカザリガニ

    写真は5㎝ほどの子供。成長すると赤みを帯び10㎝以上になることも。

    ミシシッピーアカミミガメ

    別名ミドリガメ。日光浴が好きなので池の岩の上などでよく見られる。

    ※生き物の観察は、各公園などのルールに従って下さい。

    ※構成/大石裕美 撮影/田川哲也 写真協力/佐々木洋、あらいひろし

    (BE-PAL 2020年8月号より)

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