モデル・小野りりあんさんが「CO2を出さない旅」で見つけたもの

2020.05.11

マイペースに、続けられる範囲で、自分や周りの人たち、さらには地球環境にもいい塩梅の選択をするーー。“エシカル”といわれる物事をご紹介している『今日からできるエシカル生活』。今回は、そんな日々を楽しむモデルの小野りりあんさんにお話を聞きました。

第8回:地球環境に負荷をなるべくかけない旅で見つけたもの ーINTERVIEW|モデル・小野りりあんさん

雑誌をはじめ、コレクションモデルとしても知られる小野りりあんさんが、モデル業を休み、世界を旅している。しかもそれは、地球環境に負荷をかけない「なるべくCO2を出さない」旅! 興味深い話を聞きつけて、実現した今回のインタビュー。

日本人のお母さまとスコットランド人のお父さまのもと、青森県に生まれ、3歳から北海道で過ごしたりりあんさん。日頃から環境問題に興味をもち、情報発信を行うウェブメディア『スパイラルクラブ(SPIRAL CLUB)』の立ち上げメンバーでもあります。

『スパイラルクラブ』とは、「Let’s Talk About Environment!(環境について話そう!)」をテーマに活動するオープンコミュニティ。http://spiral-club.com/

現在は、モデル業の一方で行なう環境活動を、Instagramなどで発信中。その情熱の源や、旅の様子を伺いました。

「ひとりでストイック」より、「みんなでシェア」がいい

ーーまずは、地球環境に興味をもったきっかけから聞かせてください。

「思い返すと、子どもの頃から休みは家族で少し遠出して、自然の中に住むアイヌの友だち家族の家で過ごしていたんですよね。彼らのダンスや歌、そして生活の仕方で、自然に感謝して生きるという感覚を知りました。

でも、これは、アイヌの人だけではなくて、もともと日本人がもっていた文化とか感覚だったんじゃないかなって思います。それを体感として理解できた環境で育ったことが、ここまで情熱もって行動できる根源なのかもしれません」

ーーそんなりりあんさんが実践している、日頃からできるエシカルなことを教えてください。

「わたしは、ふだんからできたらティッシュ1枚も無駄にしたくないな〜と思っていて。あるものに感謝する、大事にするっていう考えがベースなんです。だから、そもそも捨てないで生活できないか、考えてみるのはどうですか?

たとえばティッシュなら、不要になった服やタオルなどを切って、ティッシュ代わり、掃除用とか、分けて瓶へ入れておきます。使ったら洗濯して、また使う。出先なら、ハンカチを使えばティッシュは不要ですよね。

あとは、あるもので代用できないか、考えてみる。そして、買い替えのタイミングがきたら、長く使えることを重視して選ぶ。発想の転換をしてみると、買わない=我慢じゃなくなるかもしれません」

食料品なら、使い捨てのプラスチック袋やトレーなどを、なるべく使わない方法を考えてみる。

「ただ、ストイックになりがちなので、楽しみながらを意識して」と、続けたりりあんさん。これは自身の経験からくる言葉だそう。

「本当にいま、地球環境は危機的な状況だから。以前は、実情を知れば知るほど、ストイックになってしまって・・・。

たとえば食料は、マイバッグやジャーを持参して買っているんですが、忘れるたびに自分を責めてたんですよね。でも、それは苦しいだけ。できることからやって、できたらいいね! って自分を褒める。柔らかいマインドにシフトして、楽しめるようになりました」

ーーそう思えるようになったきっかけがあったんですか?

環境にまつわる活動をしている友だちと話すなかで、少しずつ変わっていきましたね。

友だちの中には、ごみを出さない工夫である『ゼロウェイスト』をしっかりやってる子もいて、すごく尊敬しています。ただ、一人の力で地球上のCO2をどれだけ減らせるかを考えると、大したものではない。これは、『ゼロウェイスト』を実践している友だちも同じ意見です。一人ひとりの心がけプラス、職場とか企業とか、もっと大きな流れに働きかけていくのも大事だよねと話していて

カフェで働いている別の友だちは、店内利用のお客さまに『マグを使いますか?』と聞いたら、紙カップの消費がひと月に1300カップも減ったんですって。たった一人の発信だけど、職場でひとつ提案するだけで、使わないっていう選択がたくさんの人に生まれたんです。すごくないですか? 

自分の生活も大切。さらに、周囲を巻き込んでいくことで、より大きい変化が生まれると感じました。だから今は、みんながシェアすることを意識できたらもっといいと思っています」

出会いが出会いを繋いでくれた、低炭素の旅

シベリア鉄道では、出発するときに偶然出会った仲間2人と過ごしたそう。各地の食事を楽しみに、9000kmを無事に横断。

ーーCO2をなるべく出さない、低炭素の旅に出たのはなぜですか?

「じつは、大失恋がきっかけなんです(笑)。地球環境に配慮した世界に変えていこうという気持ちをもって同居していたのですが、別れてしまったために、ガラリと生活を変える必要があって。このタイミングで、改めて自分にとって何が大切で何をやっていきたいのか考えた時、気候変動に対して本気で動きたい、学びたいと思いました。

それで、飛行機を使わずに世界の環境活動家や専門家に会いに行く、旅に出ようと決めたんです。飛行機は、便利だけど、さまざまな移動手段の中で断トツにCO2の排出量が多い。わたしの周りにも、飛行機に乗らない移動方法を選ぶ人が増えてきた。それでわたしも、CO2をなるべく出さない旅とはどんなものかを体験してみたかった、というのもありますね」

出発点は東京。東京から鳥取まで夜行バスで行き、そこからフェリーで韓国を経由し、シベリア鉄道で10日間かけて、モスクワまで。ヘルシンキ、ベルリン、ハンブルク、ニース、ヨーロッパ各地を巡り、マドリード、そしてアメリカへ。メキシコからは、2020年1月末に出発する貨物船に乗り、太平洋を渡って帰国したそうです。

サンクトペテルブルクでのワンシーン。街を歩くときはスカート、たくさん歩くアクティブな日はパンツ、と、持っていった服が少なかったから選択もシンプルだったと言います。

ーールートや方法は、どうやって決めたんですか?

「先に出発した友だちを参考に、各地で出会った人に相談したり、SNSで方法を尋ねたりしながら。同じように低炭素の旅をしている人たちとも、旅の途中に出会えたので、一緒に行動したりもしました」

ーー旅を通してもっとも印象に残っていることを教えてください。

どこに行っても共通していたのは、たくさん優しさをもらったこと。人は優しいし、協力したいと思ってくれているし、世界をよくしたいと思っているんだなって実感しました。

ロシアでは『フライデー・フォー・フューチャー(Friday’s For Future)』の環境ストライキを見学したり、マドリードで『グローバル気候マーチ』に参加したり。旅の途中、環境に配慮した生活や活動をしている人たちに出会って、繋がっていったんですけど、みんな優しいんです。

たとえば『フライデー・フォー・フューチャー』の仲間。これは、ヨーロッパで行われている環境ストライキで、金曜に学校を休んで若者たちが発信しているんです。旅に行く前からInstagramでチェックしていたけれど、実際に声をあげている子と繋がって、『別のエリアの活動も見に行きたい』って話したら『その街にこんな人がいるから紹介するよ』とか、『そこにわたしの家があるから泊まっていいよ』とか。彼らの思いやりが、惜しみなくって。うれしかったし、ますます応援しようと思うようになりました」

ロシアに向かうフェリーでは、ドイツやフランスから同じように旅をしてきた仲間にも巡り合ったのだとか。

ーー旅を通して、自分に変化はありましたか?

「バックパック一個で、十分生活できると実感しました。そもそも服は、トップス2つとパンツとスカートしか持って行かなかったんです。それでも問題なくて。

あとは、声をあげることはやっぱり大事だと、より感じるようになりました。InstagramやWEBメディアなどで環境に対する考えや情報をシェアしつつ、大きな流れがつくれるように、わたし自身もっともっと知りたい。だから今は、知識をもつ専門家へ会いに行って、話を直接聞いています」

ーー今後、チャレンジしたいことを聞かせてください。

「まずは、環境活動や社会問題に取り組んでいきたい人が集まれるアクティビストハウスをつくって、そこに住むこと。気候変動に関してできることを、全国各地を巡りながら伝えていきたいですね。そして、各地で環境に対してアクションしてる若い子たちを含む、いろんな方を応援したい。世界では若者のエネルギーに引っ張られて、大人たちが動き出していると聞くんです。なぜなら、若い子が心の原動力になっているんですって。老若男女を、もっと繋げていけたらと考えています

ふわりと穏やかな印象のりりあんさんから発信される、まっすぐな言葉。それは、遠い世界の話ではなく、私たちみんなにの間近に迫った問題に向き合う人のものでした。一人でも、気が付いて、同じ方向を見てくれる人が増えたらーー。りりあんさんはそう願いながら、進んでいます。

りりあんさんの生活必需品

さてここからは、りりあんさんが愛用している道具をご紹介します。

mont-bellのマイ箸

「ペンのように携帯できて、とても気に入っています。持ちやすいのもいい」

Pelaの土に還るスマホケース

亜麻のわらを活用して作られている、カナダ生まれのケースです。売り上げの一部を環境保全に回しているんですよ。色んな色やデザインがあります」

PALLADIUMのスニーカー

「PAMPA ORGANICというモデル。オーガニックコットン素材で、靴紐は土に還るなど、環境に配慮されています。防水スプレーをして、雨の日も履いてます」

PLOFILE|小野りりあん

1988年、青森県生まれ。日本人の母とスコットランド人の父をもつ。3歳から北海道で暮らし、環境活動を行なっていた母の影響もあり、地球環境について身近な生活を送る。https://www.instagram.com/stories/_lillianono_/

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