ハクチョウの姿に癒される!ユーコンのハクチョウ天国 | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2020.04.02

ハクチョウの姿に癒される!ユーコンのハクチョウ天国

私が書きました!
フォトグラファー&ツアーガイド
杉本淳
カナダ、ユーコン準州ホワイトホース在住。2008年にユーコン川下りで訪れて以来通い始め、2011年に移住。その後もユーコンに生きる野生動物や人々の生活を引き続き撮影中。ユーコンから色々なトピックをお届けします!WEBサイト:www.aplーas.com

ユーコンでは人混みに行かない代わりに自然の中へ

ここカナダ・ユーコン準州ホワイトホースでも遂にコロナウイルスの影響が出始めた。準州政府は準州外から戻って来た人、やって来た人には14日間の自主隔離を強く呼びかけている。この記事を書いている4月頭の時点ではまだ外出禁止令は出ていないものの、できる人は在宅で仕事をすること、10人以上の集会の禁止、レストランは持ち帰りのみの営業、公共の場では他の人から2メートル以上の距離を取ること、商業施設の入店人数の制限、バスの乗車人数の制限などが行われている。もちろん全ての予定されていたイベントもキャンセルに。人口約3万人の小さな街とはいえ、人々の危険に対する意識は高い。感染者が準州内で確認される前から街は自粛モードで静かだ。

カナダでは現在、2メートル以上人と離れれば、気分転換に新鮮な空気を吸いに屋外に出かけたり、ジョギング、自転車、犬の散歩などは問題無いとされている。

自分も家にこもっている時間が増えたので、気晴らしに街とは反対方向に車を走らせた。ユーコンは街を一歩出れば、そこは大自然だらけ。この時期は特に自然の中で人と会う機会は少ないし、誰かとトレイルで会っても人との距離も十分に確保できる。

春の訪れを知らせる、ハクチョウ天国

毎年3月も下旬になると、ホワイトホースの日照時間も随分と長くなったのがわかる。半年近く続いた冬がそろそろ終わろうとする頃、ハクチョウの便りが少しづつ届きはじめる。それを聞くと「今年もまた春が来たな」と嬉しくなる。

ホワイトホースから東へ約30分ほど走ると、ユーコン川へと流れ出す全長約30キロメートルの湖、マーシュレイクに着く。この湖畔にはユーコン準州政府の観察施設「スワンヘブン」がある。この施設はハクチョウの観察にうってつけの場所で、毎年4月の1ヶ月間は一般に公開されている。期間中は専属のスタッフから説明を受けたり、一緒に観察ができたり、多くのイベントが行われる(今年は全てキャンセル)。

この湖にやって来るハクチョウは2種類

ハクチョウはカモ目カモ科ハクチョウ属に分類される。この湖で飛来数が一番多いのはナキハクチョウ。この種類は世界一大きいカモ科の鳥になる。羽を広げると、その幅は230センチメートル以上ある。英語ではトランペッタースワンと呼ばれるだけあって、名前の通りトランペットのような声で鳴く。

そしてコハクチョウも毎年わずかに観察できる。体はナキハクチョウよりも小さいが、それでも両翼を広けた幅は180センチメートルを超える。黒いくちばしの目に近いところが黄色くなっているのが特徴。英語ではツンドラスワンと呼ばれている。

ハクチョウたちは冬の間、カルフォルニアなどのアメリカ西海岸で冬を過ごす。春になると営巣地のアラスカのベーリング海沿岸部や、北極海沿岸部を目指して渡っていく。その途中ユーコンでしばし羽を休める。このマーシュレイク湖畔では毎年4月、多い日には1000羽以上を観察することができる。ハクチョウ以外にも多くの水鳥が観察できる。湖畔に立てられたボードを見れば、その日の数が確認できる。

ハクチョウは一度つがいになると片方が死ぬまで添い遂げる鳥だが、最近の研究では例外があることも分かってきたようだ。

氷の上を歩いて近づいてみる!

4月に入っても湖はまだまだ凍っているので、氷の上を歩いてハクチョウたちに近づくこともできる。水際の氷は薄いので、淵に近づき過ぎないように注意が必要だ。以前大きなレンズを肩に担いだまま片足が氷を突き破ってしまい、右下半身がずぶ濡れになったことがあった。幸いそれ以上氷は割れなかったので、カメラ機材を水に濡らしたり、落として無くさずに済んだ。それからハクチョウに緊張を与えてはいけないので、彼らとの距離にも十二分に気を付けたい。

ハクチョウたちは氷の間に開いた水面に浮かび、1日の大半を水に潜って水草を食べるのに費やす。早朝、夕方には北へ向かって飛び立っていく姿を頻繁に見ることができる。特に飛び立つ姿を近くで観察するのは面白い。

つがいや若い鳥たちの群れのうちの一羽が、パートナーや仲間に首を縦に振って合図を出す。ハクチョウ同士「そろそろ行こうか?」と彼らの会話が聞こえて来るようだ。それに同じようにパートナーや仲間全員が応えると、大きな羽を羽ばたき、水面を走り、飛び立っていく。

氷の上から遠くに見える若い群を観察していると、一羽が仲間たちを誘った。群の何羽かがそれに応えたが、それ以外はどうやら乗り気でなかったみたいだ。盛り上がりかけていた群のムードがだんだんと下がり、結局誰も飛ぼうとしない。なんてこともよく起こる。

飛び立つ気満々だった言い出しっぺのハクチョウに「なんだ、飛ばないのか!?」というなんとも拍子抜けな雰囲気が漂っているように見える。それを見てついついニヤニヤしてしまう。ハクチョウたちの間で交わされるコミュニケーション、実際彼らがどんな内容の会話をしているかは分からないが、それらはいつ見ても面白い。

ハクチョウの飛来は毎年人々に春の訪れを感じさせてくれる。ハクチョウとともに春が訪れ、そしてハクチョウたちは更に北を目指して飛び立っていく。

ハクチョウが全て湖を去る頃には雪も氷もさらに溶けて、本格的に短い春がやってくる。その頃にはこのウイルス騒動も収まって、その後にはいつも通りの山、川、湖で家族、仲間たちと安全に遊べる夏がやってきてほしいと思う。

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