その防災ラインアップに、2026年9月、避難生活での「眠り」を支える2つの新アイテムが加わりました。2014年に登場して話題になった人型の寝袋をリニューアルした「着る布団&エアーマット」と、同社初の防災ベッドとなる「折りたためる防災ベッド」です。アウトドアアイテムでも類似アイテムはありますが、防災用ならではの工夫がたくさん詰まった2製品について、開発担当者に話を聞きました。
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初代から12年を経てのアップデートした「着る布団」
2014年に発売された初代「着る布団」は、青い人型の寝袋。ユーモアとインパクトのある見た目で注目を集め、一度販売を中止した後も問い合わせが続いたそうです。


「防災の考え方は、少しずつアップデートされていくもの。その考え方に合わせて着る布団をもう一度リニューアルしたら面白いのでは、というところから商品化しました」
今回チェックに伺った「着る布団&エアマット」と「折りたためる防災ベッド」の開発を担当したキングジム ライフグッズ開発部 ステーショナリー・防災課 防災チームリーダーの柘植史織さんは振り返ります。
柘植さんいわく、「人型であること以外は、ほとんど全部アップデートした」とのこと。まず目を引くのが、青からダークグレーに変わった本体色です。
「男性は青、女性はピンクのように色を分けると、避難所で着たときに女性が犯罪に狙われやすくなるリスクがあります。そこで、性別を問わず手に取りやすい色をあえて採用しました」
柘植さんは防災士の資格も取得し、ヒットした商品を自分の経験と防災士の学びで得た視点で人気の商品を12年ぶりにアップデートしました。例えば、旧モデルは直線的だったシルエットも、脇下や腰回りなどにゆとりがあるモモンガのようなスタイルに進化しています。

着る布団を着用した状態(モデルの身長166㎝)。
足元のファスナーを大きく開けてトイレにも行きやすい仕様に
大きく変わったのが、ファスナーの構造。胴体と足元にそれぞれ独立したファスナーがついていて、足元だけを開けるとスカートのような形になります。裾をたくし上げれば、着たままトイレに行けるわけです。
胴体と足元のファスナーをすべて開けると、魚の開きのように1枚の掛け布団になります。車椅子の人や、座った姿勢で休みたい人がひざ掛けや掛け布団として使うこともできます。

箱のまま保存するのを推奨。

シルエットはムササビのようにゆったりしたドルマン風。いろいろな体型の人が着やすく、股下も浅めにしてあるので、スカートやワイドパンツをはいたままでも上から着られます。推奨身長(目安)は約150〜175cm(最大対応身長約180cm)です。

足元の部分がモモンガのようにワイドになっているのが伝わるでしょうか。

顔の近くにはすぐに吹けるホイッスル、両腕には光が当たると目立つ反射テープ、就寝時に顔まわりを覆う取り外し可能なフードもついています。これらの機能も、防災士の資格を持つ柘植さんなど社員のアイデアから追加されました。


エアーマットで底冷えを防ぐ
セットのエアーマット(約195×70×5cm)は、底冷えを防いでより快適に休むためのもの。ポンプと補修用シールが付属します。耐荷重は100kgです。
「あくまで着る布団がメインで、マットは快適さを足すプラスアルファ。開発中に着る布団だけで床に寝転がってみたりもしましたが、マットはあったほうがいいと感じました」(開発担当者)


エアーマットの耐荷重は100㎏。

ジャバラ式で一人でも設営できる「折りたためる防災ベッド」
キングジムとして初めての防災ベッドが「折りたためる防災ベッド」です。避難所で広く使われている段ボールベッドには、「保管にスペースが必要」「設営や撤収に時間がかかる」という課題があります。そこに着目して開発されました。

「折りたためる防災ベッド」1万4300円(税込み)
「避難所では、1台だけでなく何台も並べて設営することを想定しました。ワンタッチとまでは言いませんが、ただ広げて押せば完了する。設営のしやすさを重視して、この形を選びました」(開発担当者)
工具は不要で、重さは約5kg。力に自信のない人でも一人で運び、設営できます。
2本付属するベルトは、畳んだベッドを締めてコンパクトにするためのもの。でも実は、ベッドを広げたときにマットを固定する役割もあります。ベッドの上にマットを敷くとより快適ですが、寝ている間にずれやすいのが悩み。そのずれを防ぐ2WAY仕様のベルトは、市販のベッドにはあまりない機能だそうです。



災害時、短時間に何台もベッドを並べる必要があることを想定して作られているので、とってもスムーズです。
防災時を意識した動きをサポートし、使い勝手の良い機能を装備
アウトドア用のベッドとして販売されているものは「コット」という荷物置きや複数人座れる椅子と併用するようなものが多く、シンプルな構造のものも多いです。
こちらの防災用ベッドは、頭側には少し傾斜がついているので、枕がなくても普段と近い姿勢で眠れます。ベッドの左右には、医療機関向けの簡易ベッドにも採用されている持ち手があり、寝た状態から持ち手を引けば、腹筋の力に頼らず上体を起こせます。筋力に自信のない人にも、寝るだけでなく起き上がりやすさまで考えた設計です。

サイドに垂れ下がる小物用ポケットは面ファスナー(マジックテープ)で取り付けるタイプで、左右どちらにも付け替えられます。避難所のレイアウトや利き手に合わせて使い分けられます。

サイズは展開時約185×67×37cm、折りたたみ時約105×15.5×23cm。耐荷重は200kgです。この種のベッドの耐荷重はおよそ80kg~250kgまで幅があり、中間くらいの数値とのこと。ただし、ベッドの端だけに勢いよく座ると傾くことがあるので注意しましょう。
想定されている利用シーンは、企業のオフィスや自治体の避難所などの屋内。実際の購買層もこのゾーンが多いそうですが、もちろん個人での購入も可能です。アウトドアシーンでの利用は想定されていないので、防水機能などは付いていません。
最近は大雨の頻度も高く、帰宅困難になる場面も増えています。人数分すべてではなくとも、可能な限りの備えを揃えることは大切ではないでしょうか。




