人生初の熱気球!ピレネー山を見下ろす絶景、そこで見つけた意外な「落とし穴」とは…? | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

海外の旅

2026.07.02

人生初の熱気球!ピレネー山を見下ろす絶景、そこで見つけた意外な「落とし穴」とは…?

人生初の熱気球!ピレネー山を見下ろす絶景、そこで見つけた意外な「落とし穴」とは…?
みなさん、熱気球に乗ったことはありますか? 私は乗りそこなったことが2回あります。涙

でもヨーロッパのアウトドア天国の一つスペイン・カタルーニャ州でとうとう初体験してきました!

どうも、オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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前回はこちら↓

【柳沢有紀夫の世界は愉快!スペイン・カタルーニャ旅編2

今回熱気球に乗るために向かった場所はスペイン・カタルーニャ州のガロッチャ火山地区自然公園。州都バルセロナから車で約1時間半、今回の旅の出発点であるジローナからは約50分のところです。

送迎の車を降りたのはレストランや土産物店がある建物の前の駐車場。その建物の向こう側が離陸地点なのですが…サッカーグラウンドほどの広いスペースだとはいえまわりが森なのが意外でした。熱気球は「まわりにさえぎるものが何もない平原」から飛び立つものだとばかり思っていたからです。

でももしかしたらまわりが森のほうが気球を膨らませる際にも横風を受けないので好都合なのかもしれないです。

さてその熱気球、思った以上に大きいです。

球皮(上部のバルーン部分)の高さは32メートル、直径は28メートルもあるのだとか。
下から見てもかなりの迫力です。

籐製のピクニックボックスを大きくしたような箱に12人が立ち乗りします。箱の中での移動は「なんとかできる」というレベルのすし詰め状態。

私を含めてみんな笑顔ですが…こうやって見ると「捨てネコ感」が漂わないでもないです。涙

尾崎豊さんの「I LOVE YOU」の切ない歌声が聞こえてきました。

このあと私はフライト準備をしているパイロットに「シートベルトはないんですか?」とか「酸素マスクはどこから出てきますか?」とかジョークをかまします。

はい、くだらないギャグを連発するのは緊張している証です。なんたって上空何百メートルへ座席もシートベルトもないどころから、こんなかごに乗って飛び立つわけですから。

とか何とか言っている間にいよいよふわっと離陸。かと思ったら熱気球はグイグイと高度を上げていきます。

別に私が恐怖のあまり幽体離脱したのではなく、先に飛んだ別の熱気球を撮っただけです。笑

こうして人生初めての熱気球の旅が始まりました。

あっというまに離れる地面。

絶景の上空に思わぬ「落とし穴」が!

朝日の中、気球はさらに高度を上げます。
北側には雪をかぶったピレネー山脈。

南東にはサンタマルガリーダ火山などが見えてきます。

「ガロッチャ火山地区自然公園」という名称だけあって火山だらけ。

パイロットによると公園内には41峰の火山があるのだとか。

ここでパイロットが熱気球の操縦について説明してくれます。熱気球は膨らませるときにはずっと炎を出しているけれども、上がり始めてからは出したり出さなかったりして、高度を調節するとのこと。そうやって行きたい方向に風が吹いている高さに気球を移動させはしますが、それ以外は風まかせとのことです。

どうやってやるのか聞き忘れましたが「右回転と左回転もできる」とのことなので、ずっと同じ方角の景色を見ているというわけではありません。

というわけで360度の視界が楽しめます!

特にテンションが上がるのはピレネー山脈の雪を冠った峰々!

ただ…「360度の視界」とはいえほぼ同じ景色がずっと続きます。風まかせの時速18キロメートルという飛行機どころかヘリコプターに比べてもかなりゆっくりのスピードなので仕方がないのですが。

ただここで私はハタと気づきました。いや、「気づいてしまった」というほうが正確でしょう。

自分は「高所恐怖症」ではないのですが「高所に長いこと滞在しているのはあまり好きではない症」だったことに。遊園地のフリーフォール系のライドに乗るのは問題ないですが、何らかの理由でてっぺんで待たされると冷や汗が出てきます。

ジェットコースターのスピードは好きですが、滑降をスタートする地点までゆっくりダラダラと上っていくあの時間は、絞首刑台に向かうような気分になります。

優雅に景色を眺めているように見えますが…。
顔はちょっとひきつっているかもしれません。笑

ちなみにこんな感じでニット帽やらダウンジャケットやらを着こんでいるので、上空でもそんなに冷えることはありません。

スパークリングワインで乾杯はいいけど!

乗り始めて40ほど経ったころでしょうか、パイロットがスパークリングワインとケーキを取り出します。同じ景色が続いて乗客たちも最初のテンションを保てなくなってきたころだったので、このあたりは憎い演出です。

「じゃあ、スパークリングワインを開けますよ~。スリー、ツー、ワン」。ポンッ! スパークリングワインのコルクをそのまま空中に飛ばします。…おいおい、それ、いいのか?笑

ちなみにその3秒後に遠くから聞こえる感じで「アウチッ!(痛いっ!)」というジョークを飛ばしたらウケました。笑

とにかく上空でスパークリングワインを飲むのは優雅にもほどがあります。

ただ注意も必要です。はい、トイレにすぐにはいけないのでガブ飲みしないように!

「もう一杯どう?」と誘われましたが丁重にお断りしました。

さて景色もずいぶん眺めたしスパークリングワインも飲んだので、パイロットにあれこれ聞いてみます。現在は海抜1900メートルくらいで地上からの高さは約500メートル。

ちなみに気球自体は高さ4000メートルくらいまで行くこともできるのですが、酸素が薄くなるので快適ではないのだとか。

そんな感じで2時間の飛行を終えて朝8時半に着陸態勢に入ります。まあ、高度を下げていくだけですが。

地面に写る気球の影です。かわいい。

無事に着陸。あとでパイロットが見せてくれたのは…

飛行は風まかせなので、大まかな着陸場所はその日の風次第です。でも炎を出したり止めたりして高さ調整することで、ぴったり「空き地」に着陸するそうです。

無事着地しました。

どこに着陸したかパイロットが連絡して、送迎車が来てくれるとのこと。ところが…気球をたたむのを待ったりして結局1時間10分ほど着陸地点の空き地にいました。

ただそれも悪いことではなく、型付け作業をしながらあれこれパイロットに聞くことができました。彼によると熱気球の免許は16時間の講習で取れるそうですが、お客さんを乗せる商業パイロットになるには100時間の経験が必要なのだとか。

これが「操縦席」。左にあるボンベの上にトランシーバーなどが置かれています。

熱気球を飛ばすのは毎日朝1回のみ。朝がいちばん風のコンディションが安定しているからだそうです。

まあ、これだけのものをたたむのですから時間はかかりますわな。
ちなみに着陸したのはこんな空き地。

ただ「空き地」とはいえ誰かの所有地です。「土地の所有者に文句は言われないんですか?」と聞いたところ「何も使っていないところだから文句は言われないです」との返事。

たたんだバルーンを箱に入れます。

撮影している場合じゃないと思い、手伝いました。聞いてみたところ私たちが乗った「バスケット」の部分が400キログラムあるのはわかるとして、「バルーン」の部分も300キログラムもあるそう。

まあ、かなり丈夫でないとまずいですからね。

車に乗って出発地点の建物に戻ってからパイロットが見せてくれたのがスマホのデータ。

飛行ルートを見せてくれました。
こちらは飛行データ。

出発地点から東南方向に13キロメートル飛んで、最高時速27キロメートルだったそうです。

最後にパイロットから搭乗証明書をもらいました。

ちなみにパイロットによると今回の場所では「乗れない日はたった2パーセントしかない」とのこと。…と書かれてもどんなにすごいことなのかわかりづらいですよね。

熱気球は飛行機やヘリコプターのように動力はついていないですし、パラグライダーのようなキャノピー(翼)もないというある意味原始的な乗り物。だから強風(離着陸が困難になる)、上昇気流(降下しづらくなる)、雨や雪(バルーンが重くなって落下の可能性が出てくる)、霧(視界が悪いと着陸が難しくなる)、雷の予想がある場合などはフライトが中止になるのです。

私もフライト中止となった経験が2度あるのですが、そのときパイロットに質問してみたところその場所では「天候的に乗れる日が80パーセントで、キャンセルになる日が20パーセント」とのことでした。

つまり「キャンセル率2パーセント」というのはかなりすごいことなのです!

というわけで「2度あることは3度ある」と「3度目の正直」の矛盾対決を見事に制しての人生初の熱気球。やはり一度は体験するべきものですよ!

【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

カタルーニャ州政府観光局(日本語サイト)
https://catalunya.jp/

ATTA (ADVENTURE TRAVEL TRADE ASSOCIATION。アトベンチャートラベルに関する世界的な業界団体。今回のイベントを主催)
https://www.adventuretravel.biz

Outdoor Adventours (今回のカタルーニャでの各アクティビティのツアー催行会社)
https://outdooradventour.com/

著者画像

柳沢有紀夫さん

オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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