ポルトガル観光のハイライトの1つ「ペーナ国立宮殿(Palácio Nacional da Pena)」は、世界遺産の街、シントラの丘の上に立つカラフルなお城です。この宮殿の公園(Parque)を「お城にたどり着くまでのやっかいな道中」として捉える人も少なくないようです。
ところが、実は園内には美しい庭や湖、洞窟に展望台など見どころが散らばっており、散策にぴったりなのです!
ロマン主義的美意識の結晶、ペーナ宮殿と公園

丘の上に立つ赤や黄色のおもちゃのようなお城、ペーナ宮殿は、「芸術家王」と呼ばれたドイツ出身の王様、フェルナンド2世が19世紀に造りました。
ガイドブックやSNSなどでは、インパクトの強い宮殿ばかりが目を惹きますが、その宮殿を取り囲む約85ヘクタール、東京ドーム約18個分の広大な公園にも、王のロマン主義的な美意識が存分に反映されています。

自然愛好家でもあったフェルナンド2世は、世界中の植物を集めて、人工と自然が調和する空間を作り上げることに情熱を注ぎました。その結果、シダの森、湖、噴水、展望台、神殿などが点在するドラマチックで神秘的な公園が誕生。今も、そんな王のビジョンを静かに堪能できる穴場スポットになっています!
湖の谷と椿庭園

この公園で見逃せないスポットのひとつが「湖の谷(Vale dos Lagos)」という水をテーマにしたエリアです。
ペーナ宮殿を見に行く方も、メインゲートではなく、湖ゲート(Porta dos Lagos)の入り口を利用すれば、人混みを避けて、美しい湖の谷を散策しながら宮殿にたどり着くことができますよ。

湖の谷には5つの湖が並んでいます。湖には、お城型や八角形のダックハウス、また小さな滝、鯉やカエル、アヒルや白鳥などを見ることができます。

また、湖の谷の奥には、フェルナンド2世が柑橘園を改築して造った「カメリア(椿)庭園(Jardim das Camelias)」が広がっています。
私が訪れた3月半ばは、美しい椿が満開でした。

このカメリア庭園エリアには、「小鳥たちの噴水(Fonte dos Passarinhos)」と名付けられたタイル張りの美しい建物や「修道士の貯水槽(Tanque dos Frades)」というペナ宮殿の前身であるジェロニモス(ヒエロニムス)会の修道院で使われていた水槽施設、16世紀に同会の修道士によって建てられた「マヌエル様式の礼拝堂(Capela Manuelina)」などもあり、楽しく散策できます。
巨岩を上り、生い茂る木生シダの間を抜ける!

続いて紹介するのは、公園のもう1つの入り口、シャレー(山小屋)ゲート(Porta do Chalet)付近のエリア。このゲートのすぐ側に、フェルナンド2世の2番目の妻、エドラ伯爵夫人のシャレー(Chalet da Condessa d’Edla)と庭園があります。
フェルナンド2世は、最初の妻、マリア2世王妃を亡くしたあと、 オペラ歌手だったエリーゼ・ヘンスラーと身分違いの恋に落ち、政治から身を引いて、ド派手な宮殿とは対象的なこのシャレーでエリーゼ(後のエドラ伯爵夫人)と共に過ごしたそうです。
建築当初から隠れ家だったせいか、このエリアは観光客も少なく、世界中から集められた植物や巨岩など大自然を自分のペースで満喫できます!

まず、この庭には、シャレーと宮殿を遮るように「シャレー・ストーンズ(Chalet Stones)」と呼ばれる自然に露頭した巨石群があります。

迷路のような、冒険心をくすぐられるこの苔むす巨大な岩の隙間を抜けて……、

岩を上ると目の前に宮殿の姿が!

また、シャレーの近くには、「茶の丘(Alto do Cha)」という園内で3番目に高い丘もあります。茶の丘は道が整備されていて上りやすいです。

丘の上からは、宮殿や海など360度のすばらしい眺望が広がります!

ちなみにてっぺんの巨岩の上にまで上ると、かなり風があり、帽子などは吹き飛ばされそうです。

また、シャレーの側には、フェルナンド2世がエリーゼのために造った「伯爵夫人のシダ園(Feteira da Condessa)」があります。ニュージーランドやオーストラリア産の木生シダが小川沿いに並び、恐竜が暮らした太古の森のような幻想的な雰囲気を醸し出しています。
洞窟やシントラの丘の頂上を目指す
他にも面白い場所はたくさんあります。

「修道士の洞窟(Gruta do Monge)」は巨岩を利用して、16世紀に修道士が隠遁と瞑想のために建てた隠修所(エルミダ)。静まり返った岩の中のベンチに一人座って、16世紀の修道士に思いを馳せるのも乙なものです。

また、近くにある「サンタ・カタリナの丘(Alto de Santa Catarina)」にもかつて聖カタリナに捧げられたエルミダがありました。ここは、フェルナンド2世の孫の妻、アメリア王妃のお気に入りの場所だったそうで、宮殿を眺める彼女のためのベンチがあり、こちらでは、王妃と「つながる」ことができます。

また、近くには、アメリア王妃がピクニックに利用したという「女王のテーブル(Mesa da Rainha)」があります。ここからは、丘の上に立つ戦士像も眺められます。園内の表示板によると、こちらは、フェルナンド2世が依頼したヴァスコ・ダ・ガマを現したものなんだとか。

この戦士像の立つ丘は登れませんが、シントラの丘で最も高い、標高529mの「十字架の丘(Cruz Alta)」へはトレイルがあり、ペーナ宮殿以外だとおそらく一番人気のスポットになっています。今回も道中、ハイキングが好きそうな人たちとすれ違いました。

丘の上から見えるペーナ宮殿は一部木に隠れていますが、海はよく見えます。また、道中は自然が美しく、「歩いた感」がありますよ。

他にも園内には、神殿やいくつもの湖、池が点在しています。ペーナ宮殿を訪れる際は、ぜひ、公園内も散策してみて下さいね。
オフィシャルマップ:https://www.parquesdesintra.pt/pt/recursos-digitais/experiencias-digitais/pena-maps/





