今回はベドウィンのキャンプ生活を体験できる施設を訪れたあと、さらにディープな場所を訪ねてみることにしました。たぶんみなさん、一度も見たことがない光景だと思います。
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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【柳沢有紀夫の世界は愉快!サウジアラビア・リヤド旅その3】
前回はこちら↓
異文化体験はやっぱりおもしろいっ!
まず訪れたのは「デザート・キャンプ・エクスペリエンス(Desert Camp Experience)」という場所です。





「アラビアではコーヒーを15分以上沸騰させて入れます」「カルダモンやサフランなどのスパイスを加えます」「砂糖は通常入れませんがその代わりにドライフルーツのデーツ(ナツメヤシの実)を食べますね」。そんな話をしてくれました。
このベトウィンキャンプ内では芳しい香りが漂っていたのですが、それを発する「香木」に関するレクチャーもありました。香木は高いものでは1キログラムで7万米ドル(約1100万円)以上するのだとか。
にわかには信じられなかったのですが、あとで日本のサイトを調べてみると伽羅という香木は1グラムで3~9万円という記述。つまり1キログラムだと3000~9000万円ですね。

この黒に金色の刺しゅう入りの服は王族が身に着けたり、一般の人も特別な機会に着たりする正装なのだとか。
というわけで着せてもらったあと、王族になり切って「皆の者。私についてくるが良い」と朗々と語りかけて歩き出したら、キャンプにいたガイドの女性に意外とウケました。服を踏んで転びそうになりましたが。笑

日本人が欧米人相手によくやる「習字で名前を書きます」と同じですが、やってもらうと意外とうれしいものですね。


さてこの「デザート・キャンプ・エクスペリエンス」のサイトを事前に確認したところ「夕陽の砂丘ウォーク」と「サンドボード(砂すべり)」というアトラクションもありました。
ところが今回はTOURISEという旅行業界向けカンファレンスの参加者のために用意されたツアー。当然カンファレンス終了後に、通常よりも2時間半遅い午後5時半頃出発。到着も7時半で写真のようにもう日は落ちているので、「夕陽の砂丘ウォーク」も「サンドボード」もなしとなりました。

妙に歓待を受けたモスク訪問
ベトウィンの生活などを知ることができて大満足のキャンプ訪問。さらに彼らの生活に興味がわきました。というわけで別の日に訪れることにしたのが「モスク」と「墓」です。
世界各国で大小さまざまなキリスト教の教会には訪れていてこの【柳沢有紀夫の世界は愉快】でも紹介してきました。でもイスラム教のモスクに入ったことは一度ありません。
「モスクはわかるけど墓地はなんでだよ~」という声が聞こえてきそうですが……みなさん、イスラム教徒の墓地って見たことありますか? 私は写真ですら見たこともないです。だったら見てみようというのが冒険少年、もとい冒険中高年というものではないですか!
調べたところ「アルラジグランドモスク」というのがリヤドで最大かつ観光客向けの見学ツアーも開催しているとのこと。ただ私がモスクに入ってみたいと思ったのは「観光地」としてではなく、「ムスリムの人たちの生活が息づいている場所」としてです。あまり観光地化されすぎているのもどうかと思い、その一方で地域超密着型の小さなモスクにズカズカとお邪魔するのもはばかられたので、「キングハーリドグランドモスク」というところに行くことにしました。

入り口で他の人のサンダルが置かれていたので、私もサンダルを脱いで入場します。……というかモスクに関してはそんなことすら知らなかったんですね。

床に直に座るあたりは日本の神社仏閣に似ていると思いました。
礼拝の時間ではないですが祈りをささげている人もいたので、静かに後ろのほうで正座して見学をしていると、白い装束を着たオジサンが冷蔵ケースから水のペットボトルを取り出して、差しだしてきました。
販売しているのか、まあ見学料代わりに払うのもいいかと財布を出そうとデイパックをごそごそしたら「フリー(無料)だ」とのこと。ありがたく頂戴しました。
オジサンは英語を話せず、私もアラビア語を理解しないのでこれは私の「想像」ですが、砂漠での生活では水が本当に貴重です。まさに死活問題です。だからこそ逆に「利権を独占」するのではなく、誰にでも水を差しだす「助け合いの精神」が根づいているのかもしれませんね。
それから「よく来たな~」とばかりに握手をしてくる人もいました。最初は「よそ者が来るな!」という視線を浴びるかとビクビクしていたのですが、妙に歓迎してくれます。

それで思い出しました。イスラム教では偶像崇拝を禁止しているんだったと。

モスクにはとても静謐な時間が流れていました。
この「キングハーリドグランドモスク」には祭壇側以外の三方向から入れるようになっています。そして祭壇の反対側からの入口のそばには手足を洗う場所がありました。

ちなみにモスクは基本的に男性用と女性用がわかれているので、見学する際も間違えないようにしてください。
想像とは全然違っていた墓地
さて「キングハーリドグランドモスク」の近くの墓地に向かいます。

地図で見ると幅600メートル、奥行き200メートルほどあるかなり大きなもの。入ってみましょう。

想像していたものとはまったくかけ離れていたからです。こう言っては失礼なのかもしれませんが、キリスト教や日本の寺の墓地と比べるとかなり「殺風景」です。

それが延々と規則正しく続いています。キリスト教や仏教の墓のように大小がありません。
そしてもう一つ、墓石に文字がありません。つまり少なくともパッと目には誰のお墓なのかわからないのです。
これでは墓参りが一苦労だとなと考えてから、すぐにこんなことが頭に浮かびました。もしかしたらこのあたりでは「墓参り」という習慣がもともとないのではないかと。
というのも彼らはそもそも遊牧民です。農耕民族や狩猟民族と違いある場所に「定住」はしていません。だから墓があっても頻繁には通えません。「命日に墓参り」もむずかしいでしょう。
墓に花が手向けられていないのも、私が「殺風景」と感じた原因の一つです。でもこれにも理由があります。砂漠にはあまり花がないからそういう習慣ができなかったのでしょう。
同じ墓でも文化によって全然違うのだな。そんな事実にしばし圧倒されて立ちすくんでいたのですが、ふうっと一息ついてからとにかく墓地につくられた通路を歩いてみることにしました。すると。

奥は新しくつくられた墓なのでしょう。さらに進んでいくと驚くものが目に入りました。通路のつきあたりに砂利が小高く盛られているのはいいにしても……。

ここだけ写真を切り取ったら土木工事現場と勘違いしてしまいそうです。
我々日本人から見ると「あまりにお手軽だなあ~」と感じられるかもしれません。でもこれが定住ではなく遊牧で移動しながら生きてきた人たちに合った弔い方なのかもしれません。
墓のサイズに大小がないのも、「神のもとでは平等」ということなのだとしたらとても潔い気がしました。
それでふと思い出したことがあります。イスラム教徒たちには一日5回お祈りの時間が定められていますが、その際モスクに行く必要はなく、どこにいてもメッカの方に向けばいいとされています。一見安直なように感じられなくもないですが、これもまた砂漠の中ではモスクに行きようもないからなのかもしれません。
……と今回書いてきた「発見」はあくまでも私の「想像」です。全然見当違いかもしれないことをお断りしておきます。
でもこんなふうにあれこれ想像しながらの旅もおもしろいものです。ガイドによる説明を最初から聞きながらだったら、右の耳から左の耳に流れてしまうかもしれないことでも、自分で考えたのであればいつまでも記憶に残ります。
次にサウジアラビアに来られたら、実際にはどうなのか質問しながら砂漠を旅したいな。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
Visit Saudi Arabia (サウジアラビア政府観光局のサイト)
https://www.visitsaudi.com/ja
Desert Camp Experience
https://dunesanddates.com/tours/the-bedouin-experience/
TOURISE (2025年11月にサウジアラビアで開催された世界的な旅行業界カンファレンス。今回はここの招待で訪問しました)
https://www.tourise.com/en/home









