南米パタゴニアで大氷河に大接近! 過酷な自然だからこそ、穏やかな日は超絶景なのだ | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.12.25

    南米パタゴニアで大氷河に大接近! 過酷な自然だからこそ、穏やかな日は超絶景なのだ

    南米パタゴニアで大氷河に大接近! 過酷な自然だからこそ、穏やかな日は超絶景なのだ
    南米のチリとアルゼンチンにまたがるパタゴニア。「雪景色の山々に囲まれたアウトドアアクティビティの聖地」というイメージはあるのですが、具体的に何があるのかイマイチわからないという人も多いと思います。何を隠そう、私もそうでした。

    というわけで今回から3回にわたり、パタゴニアのアクティビティを紹介していこうと思います。

    どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
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    【柳沢有紀夫の世界は愉快!山遊び王国チリ・パタゴニア旅・その1】

    前回はこちら↓

    南米チリでサイコ~のe-bike体験してきました! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

    雨模様のスタート。でも大逆転で大絶景へ!

    前回までのアンデス山脈のふもとの街プコンから南下して、チリの最南端近くにあるパタゴニアのプエルトナタレスという街へ来ました。南緯は51度。北海道の稚内が北緯45度なのでそれよりもさらに極地に近いですね。

    しかもユーラシア大陸のような遮るものがないので、南極からの風が吹きつけて寒いです。訪れたのは10月の中旬なので春のど真ん中のはずなのですが、最高気温は10度で、最低は0度くらい。しかも強風が吹くことも日常茶飯事で「体感気温」はさらに下がります。

    さらに私が滞在していたときは天気の移り変わりが激しくて雨が降ったと思ったらドッピーカンになる日もあって、でも「それがここでは日常」とのこと。

    「過酷な自然」とも言えますが、だからこそ穏やかな気候の場所とは違う絶景が見られます。その一つが巨大な「氷河」! 以前スイスで「オレっち、アレッチ」ことデイヴィッド師匠に連れられてその大迫力を目の当たりにして以来、氷河の魅力に取りつかれています。

    世界遺産「アレッチ氷河」で大迫力ハイク!(中級編)【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    というわけでパタゴニア最大の見所の一つである「トレス・デル・パイネ(Torres del Paine)国立公園」の「グレイ氷河(Grey Glacier)」へのウォーキングツアーに参加しました。ところが……。

    プエルトナタレスの街からツアーバスに1時間半ほど乗るのですが、最初は曇っていたと思ったらいつしか本格的な雨に。

    途中休憩したドライブイン風の「食堂兼土産物店」あたりではもう本格的な雨。
    その後バスを降り、歩いて2分ほどの船着き場に向かうときも雨。

    フードを被ったツアー参加者全員に「とぼとぼ感」が漂います。幸い風は強くないのですが、雨で景色は楽しめないので正直この時点では「来なきゃよかった」という気分に。

    ところが下船前に突然青空が顔を覗かせました。

    船着き場から徒歩2分ほどのビジターセンター(Centro de Visitnates)に向かうときにはこの天気。

    そのビジターセンターで、本日の行程の説明を受けます。

    ビジターセンター前の看板に書かれた「Bienvenidos」はWelcomeの意味。
    ビジターセンターに貼られていた地図です。

    地図の中央下側にある「ペオエ湖(Lago Pehoe)を船で渡ってきて、「現在地」は黄色い文字の「You are here」の右肩あたり。ここから黒い点線で左上に向かう約11キロメートルのトレッキングコースです。

    そこから今度は小舟に乗って地図左上の白い部分、「グレイ氷河(Glacier Grey)」近くで上陸して、そこから氷河を眺めるという予定です。

    ちなみに地図中央の2つの山塊が見えますね。その左側のほうの西から斜め右下に南下、湖近くから今度は斜め右上に北上して2つの山塊の間に入り、再び斜め右下に南下してから右側の山塊の東側に北上と、つまり2つの山塊の南側をWの字の形に歩くのがその名も「W trail」。世界中の山好きを魅了してやまない人気コースで所要は3~5日で山小屋泊できるそうです。

    また2つの山塊の北側を歩くコースもありますが、こちらは難易度が高いとのこと。そして両方合わせて一周するのは8~11日が目安。とはいえ悪天候で山小屋に足止めを食らうこともままあるので、余裕をもったスケジュールが必要とのことです。

    いずれにせよこのあたりのトレッキングは頂上を目指すピークハントではなく、峰々を眺めながらになるようです。

    いざ出発です!

    とにかく「パイネグランデ山(Cerro Paine Grande)」の白銀の頂を眺めながらトレッキングスタートです!

    Grandeは英語のGreatと同じく「すごい」「デカい」という意味。Cerroは「丘」や「小山」ですがこのパイネグランデ山、標高は3050メートルでこの辺りで一番大きな山です。

    日本のV字谷と違って谷底が広いですね。

    このあたりもかつて氷河に削られたU字谷なのかなとガイドに聞こうとしたのですが……結局聞きそびれました。言い訳になるのですが20人の参加者と3人のガイドの中でスペイン語を話せない人は3人しかいません。つまりトレッキング中の会話はスペイン語が基本。で、「英語で突然話しかけて邪魔しちゃ悪いな。後で尋ねればいいか」と思って、結局聞き忘れました。涙

    1週間前くらいから雨がよく降ったとのことで、平坦なところも坂も足元は「小川」状態のところがちらほら。

    靴が壊れちゃったタスマニアでのトレッキングを思い出します。今となってはいい思い出。……いや、靴をおろそかにしてはいけません。

    苔と光と水の国…タスマニアハイクツアーは最後まで見どころだらけ【「海外書き人クラブ」お世話係・柳沢有紀夫の世界は愉快!】

    青空が広がったかと思ったら急に曇ったり。

    絶景の丘の上へ

    トレッキング開始から45分後の11時、絶景の丘の上に到着。ここでオヤツを兼ねて15分休憩しました。

    湖の名前は「グレイ湖(Lago Grey)」。
    対岸に見える雪を冠った山の名前は右がサパタ(Zapata)で左がフェリエル(Ferrier)。

    二つの山を結ぶトレッキングコースもあるのですが、周回はできずフェリエル側からスタートしてサパタのほうに行って来た道をもどるコースなのだとか。

    青空と銀嶺が見えるだけでご機嫌の「頭は5歳」くん。笑

    休憩を終えて出発します。

    橋があるとテンションが上がりますね。

    だけどなんで橋の前後に階段があるのか、今考えたらちょっと不思議。雪解け水などで増水しても橋が冠水しないためでしょうか? 

    ここも小高い丘になっているところ。

    帽子や服とデイパックが見事な補色関係になっているところは目をつぶってください。

    画面正面からやや左寄り、遠くに氷河が見えるのがおわかりいただけるでしょうか。

    グレイ展望台からの圧巻の眺め

    出発から2時間15分後の12時半、グレイ氷河が見える丘「グレイ展望台(Mirador Grey)」に到着。

    画面右側の陸地と左側の小島の間に見えるのがグレイ氷河です。
    2倍ズームで撮影。小島を挟んで右が氷河で、左が雪山。
    5倍ズームでグレイ氷河を撮影。あそこまで向かいます。

    雲がかかっているのがちょっと残念です。本当なら天気待ちをしたいところですが、近くに行ってから天気が回復することを祈ってまた出発です。この先、湖のほとりまで2時間かけて向かいます。

    高低図を見てもわかるようにかなりのアップダウン。

    そしてコースも変化に富んでいます。ほぼ垂直の岩場に清水が流れているようなスリリングな場所まであって、写真を撮る余裕もないほど。……すみません、撮影し忘れた言い訳です。笑

    この直後から私の頭の中でループし始めた曲名、おわかりになるでしょうか?

    はい、もちろん「コンドルは飛んでいく」です。

    いよいよ船でグレイ氷河へ

    15時15分、このツアーを主催している「Big Foot」というツアー会社のベースキャンプに到着。

    お世話になったガイドのみなさんと。

    近くから15人乗りくらいの小舟に乗ります。20分ほどでグレイ氷河の間近まで到着。

    氷河の高さは水上に見えているところで30メートル。その下の見えないところで180~200メートルの高さがあるとのこと。

    ちなみに小舟では氷河にはこれ以上近づけません。理由は氷河が突然崩壊して落ちてくる危険性があるのと、水面下に氷山がある可能性があり、ぶつかるとスクリューが壊れたりするからとのこと。まあ「氷山の一角」というやつですね。

    ただ船底が浅いカヤックでもっと近づくツアーや、クランポンをつけて氷河の上を歩くツアーも催行しているとのこと。……どっちもやってみたい。

    さて上の写真の右側にチラッと見える岩の部分から上陸します。

    水上からもですが、小高い丘から間近に見る氷河の迫力がすさまじいです。
    氷河は奥の方に続きます。
    雪山を背景にした姿もなかなか。

    ガイドの1人によると氷河は1日2~4センチメートル動いているとのこと。平均の3センチメートルとして、1年に直すと約11メートル。スイスで見たアルプス最大の「アレッチ氷河」が1年で200メートルとのことでしたから、それよりもずいぶん遅いですね。

    一方で高さの減り方は激しいようです。

    11年前からガイドしている人によると、最初の年は写真右上の丘も氷河で隠れていたそうです。

    5分ほど歩いて氷河の縁まで向かいます。

    真横から眺められるところに到着。
    スイスでも思ったのですが氷河の表面は砂ぼこりを被っているようで、近くで見ると意外と灰色です。
    一方で中は水色で本当にきれいです。まあ光の当たり具合にもよるのでしょうが。

    上陸してから1時間ほど氷河を堪能してからまた小舟に乗ります。

    アディオス、グレイ氷河。また来るぞ~。

    次はカヤックでの氷河への大接近や、クランポンを装着しての氷河の上ウォークも楽しみたいな。

    ベースキャンプに戻り、大きな船に乗り換えて45分。その後バスで1時間ほどかけてプエルトナタレスの街に戻りました。

    スタート時は雨で参加したのを後悔したくらいですが、本当に最高のアドベンチャーでした!

    【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら

    BigFoot (今回のハイキングツアー催行会社)
    https://bigfootpatagonia.com/en/home-2/

    CHILE TRAVEL(チリ政府観光局の旅行者用サイト)
    https://www.chile.travel/en/

    ATTA (ADVENTURE TRAVEL TRADE ASSOCIATION。アトベンチャートラベルに関する世界的な業界団体。今回のイベントを主催)
    https://www.adventuretravel.biz

    柳沢有紀夫さん

    オーストラリア在住ライター (海外書き人クラブ)

    1999年からオーストラリア・ブリスベン在住に在住。オーストラリア関連の書籍以外にも『値段から世界が見える!』(朝日新書)、『ニッポン人はホントに「世界の嫌われ者」なのか?』(新潮文庫)、『日本語でどづぞ』(中経の文庫)、『世界ノ怖イ話』(角川つばさ文庫)など著作も多数。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」のお世話係

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