
さらに1キロメートルのトンネルを通り、最終的には標高約3000メートル、視界360度の山頂からの絶景も!変化に富んでいて満足度100パーセントのハイキングです。
どうも。オーストラリア在住ライターの柳沢有紀夫です。
スイスアルプスの魅力を満喫!(スイス・アレッチ地方旅その2)
アレッチ観光局のナディーンさんとハイキングした翌日。今度は同局のデイビッドさんとかなり本格的なハイキングへ。

とはいえオフィスで仕事をするタイプではなく、山登りやスキーが大好きな根っからのアウトドア人間。この1ヵ月前には日本人の山岳ガイドの友だちと富士山に登ってスキーで降りてきたという「山遊びの達人」です!
当然このアレッチアリーナ(「アレッチ地方」のような意味)のことも熟知しています。
というわけでこちらの師匠とともに「アレッチアリーナの見所満載」トレッキングへ。山あり谷ありトンネルありの本当に無茶苦茶おもしろいルートなのでオススメです。
まずは別角度から「アレッチ氷河」を眺めます!
9時に私が泊まっているホテルにデイビッドが迎えに来てくれました。


長めのハイキングをするには遅いスタートと思われるかもしれませんが、中腹駅と山頂駅との間のロープウェイがこれより前は動いていないとのこと。それから夏至前後のスイスは、21時でも充分明るくて暗くなるのは22時くらいなので、このくらいのスタートでも時間的余裕はあります。
ちなみに中腹駅と山麓駅とのロープウェイは朝5時台から動いていました。山頂駅周辺に住んでいる人はほぼゼロですが、中腹駅周辺にはたくさんいるので通勤や通学の「生活の足」にもなっているんですね。
とにかく私たちは中腹駅からロープウェイに乗り、9時34分に海抜2647メートルの山頂駅「ベルグスタシオンベットマーホルン」で降りました。はい、すでに海抜2647メートル!
泊まっていたホテルは海抜約1950メートルに位置していますし、前日も前々日も海抜2333メートル地点まで上がっているので私は問題ありませんでした。
ですが、ふもとの海抜750~1050メートル前後の駅からいきなりロープウェイで登ってくる場合は「高地順応」の時間を取る必要もある高さだと思います。
トイレを済ませて9時40分にウォーキングスタート。ちなみこの後3時間ほどトイレはないとのこと。

遊歩道が気持ちいいですが、木道なのは展望台までです。笑

「上から見ると氷河はすごくフラットに見えるでしょ?けど近くで見るといくつもの小さな山になっているんですよ」とか。あとここで何組かの撮影も担当していました。フットワークの軽いボスです。

デイビットによると氷河は「氷の塊」ですが、そこにとどまっているわけではありません。右側の上流から左側の下流に1年で約200メートルも動いていると言われているのです。
それでも左端の下流は毎年50メートルほど後退し短くなっているとのこと。つまり10年後には500メートルくらい後退しているはずです。さらに高さは毎年5メートルくらい下がっているとのこと。
「後退する」とか「下がる」といってもそれはつまり暑さで溶けてしまっているということですね。
なんだか氷河が動いたり高さが減ったりするという話はイマイチうまく想像できないのですが、あとで「なるほど!」の光景を目の当たりにします。
さて歩いている間、近くにないのに川の音のようなものがすごく大きく聞こえて不思議だったのでデイビッドに聞いてみました。「ああ、対岸の川の音だよ」。谷で反響するから遠くでも大きく聞こえるのだとか。「対岸の川までの距離は4キロメートルもあるんだよ」。そして氷河の幅は1.5キロメートルくらいだそうです。
さらに進んでいくと雪が登山道の岩の上に残っていて、すべりやすくなっているところが1ヵ所だけありました。デイビッドによると「このルートは1週間前にオープンしたばかり」とのこと。
アレッチアリーナの各トレッキングルートは夏の登山シーズンが始まる前に「雪が残ってないか」とか「道が崩れてないか」とかをチェックしてから正式オープンするそう。よってオープンの時期は同じルートでも毎年異なります。
特に今回の山頂からアレッチ氷河に下るルートは北側の斜面に面していて雪が溶けるのも遅いので、オープンするのは毎年遅めなのだとか。今年は1週間前にオープンしたけれども、去年はこの時期にはまだ閉鎖されていたそうです。
どこがオープンしているかはアレッチアリーナのウェブサイトで確認することができます。

この距離で見ると確かにデイビッドが言うように「氷河の表面は小さな山々」というのがわかりますね。
それから昨日とはまた違う角度なので「アレッチ氷河」の「源流」(という言い方があっているかわかりませんが)のほうも見えます。
このあと遠くに「氷河の上ウォークツアー」の隊列が見えました。いや、私には見えなかったのですがデイビッドが「あそこにいるよ~」。スマホで望遠の写真を撮ったところ確かに隊列がいました。平均視力が3.0~8.0と言われるマサイ族並みの視力かっ!
で、この翌日は特に予定がなかったので「氷河の上ウォークツアー」の予約できないかデイヴィドが電話をしてくれました。でもまだシーズンの始めで週に4日しか営業しておらず、翌日はお休みとのこと。残念。
間近に見る氷河の大迫力!
さらに下っていくと氷河が間近に迫ってきました。

そしてちょうど正午に氷河に到着です。


本当にもう「激流」という感じで。しかもかなりの角度で。というわけでのみこまれそうな恐怖で、うまく写真が撮れませんでした。すみません。でものみこまれてしまったら絶対に助からないのは確かなので…。
そして「下にこんなに水が流れているのなら氷河も移動して当然」と妙に納得しました。


またこのひさし状の部分の上を歩くと当然崩落する可能性もあります。それが今なのか明日なのか1~2週間後なのかはわかりませんが。「だから氷河ウォークは必ず正式なガイドと一緒にね」とはデイビッドからの忠告。


その後もあれこれ変化に富んだコース
氷河の脇で15分過ごしてから出発です。

ヒマラヤに行った山岳ガイドがそこの習慣を真似して始めたのだとか。無事にツアーガイドを終了したことに感謝して、石をピラミッドの上に投げてから一周する習慣がヒマラヤにはあるそうです。

宿泊は相部屋で二段ベッド。収容人数は18人くらいだとか。夕食と朝食付きで80スイスフラン(約14800円)くらいだそう。
昼食を終えて、ほんの5分ほどですが「盆地」みたいなところを歩きます。

というか、これはいわゆる「カール(圏谷)」というやつかな?
さてそのあと長さ1キロメートルあるというトンネルへ。すごく寒いです。そして暗いです。サングラスからメガネに変えても、そしてスマホのライトをつけても下がよく見えないくらい。

地面にかなりの深さの水たまりがあるので足を入れないように気をつけて歩きます。だけどそれもまたワクワク体験。

右の道を高度差600メートルほど登ると標高2926メートルのエッギスホルン(Eggishorn)にたどりつきますが、今回は左の道を下りロープウェイの中腹駅へ。

このだらだらとした午後のアンニュイな下山感がたまらないです。いや、このあと最後に登頂が待っているんだった。

フィナーレは標高2926メートルの山頂!
中腹のフィッシャーアルプ(Fiescheralp)駅から14時55分にロープウェイに乗り、15時ちょうどに山頂駅に到着。その後エッギスホルン(Eggishorn)に向かいます。

途中雪が残っているところがありました。

山頂駅から20分ほどでエッギスホルン山頂に到着です。

っていうか一応ゲストである私よりも先に頂上に立つのはいいにしても、そこでポーズを決めるっていうのはどうなの?笑




このあと「もっとSNS映えするスポットがあるんだよ」と師匠。で、この山頂から大きな岩々の上を10メートル歩いた先の、アレッチ氷河側に突き出た場所に向かったのですが…。


そして来た道を山頂駅へと向かったのですが、到着したのは30分ごとのロープウェイが出たあと。次の便が16時25分なのでその辺でダラダラします。



小さく感じられますが長さ200メートル、幅50メートル、そして深さ200メートルのデカさなのだとか。以前行った三原山は直径300メートルなのでそれより少し狭いですが、深さは同じ200メートル。かなりのデカさです!
こういうのが間近に見られる「氷河上ウォーク」、いつか絶対してみたいです。
スイス旅の必須アプリ3点!
ちなみにデイビッド師匠によるとスイスのハイキングでは3つのアプリが便利とのこと。一つは位置情報アプリの「swisstopo」。トレッキングルートもバッチリわかります。
もう一つが天気予報アプリの「MeteoSwiss」。特に山では雨雲レーダーが便利です。
そして乗り換えアプリの「SBB Mobile」(SBBは「スイス連邦鉄道」のこと)。スイスの山では鉄道とロープウェイやケーブルカーを乗り継ぐことに多いのでこの乗り換えアプリは本当に便利です!
登頂後ロープウェイ、鉄道、またロープウェイと乗り継いで、宿に戻ったのは17時40分。アレッチ氷河を上からと間近から見て、トンネルなどを通り、最後は3000メートル級の山に登頂するという充実しすぎの一日でした。
【柳沢有紀夫の世界は愉快!】シリーズはこちら!
スイス政府観光局(「アレッチ氷河」のページ)
https://www.myswiss.jp/destinations/aletschgletscher/
アレッチアリーナ(「アレッチ地方」の公式紹介ページ。英語)
https://www.aletscharena.ch/en