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    2019.03.20

    野生のブラウンベアーの魅力に、時を忘れてシャッターを切り続けた

    遡上してきた鮭をキャッチしたオスグマ。鮭と熊のありようを見ていると、”種”と”個”について考えさせられる。

    アンカレッジに戻り、ダウンタウンにある地上手配会社の、HAIしろくまツアーズのマサさんのオフィスにノーアポで突撃した。ノーアポのくせにあらゆる体験談を欲している私に対し、オフィスの皆さんは温かく対応してくださった。そちらの皆さんのプッシュもあり、カトマイ国立公園に向かうことにした。その予算は私にしては胃がキリキリと言い出しそうなほどの金額だったので躊躇したが、今年はともかくアラスカ内を広くみて回るんだと思い直し、チケットの予約などをお任せし、向かうことにした。

    カトマイには、野生のブラウンベアーたちの暮らしているエリアのすぐそばにロッジやキャンプ場があり、すぐそばで野生の熊の営みを見ることができる。中でも、鮭が遡上してくる時期には滝をジャンプする鮭をキャッチするクマの姿を見ることができることで有名だ。また、クマは多くの場合、それぞれのパーソナルスペースを侵さない限り無闇に周囲を攻撃したりはしないのだが、ここに住むクマたちのパーソナルスペースは狭く、よりそばで観察することができてしまうのだ。(公園内には自然保護官やレンジャーがたくさんいて、人と熊の双方を見守りその関係性を守っている)

    ブルックスフォール。ここはクマたちにとって一等地のようだ。場所の奪い合いで小競り合いすることも多い。

    体の大きなオスグマは良い場所に陣取り、ジャンプしてくるイキのいい鮭をキャッチする。1日に数十匹食べる。

    私も例にもれず、数日間にわたってクマの暮らしを撮らせてもらい、時には数時間待ち、鮭をキャッチするシーンを収めたりもした。しかしそれは僕がアラスカに求めていた”大自然”とは少し乖離があるのか、何かスッキリしないものを感じていた。とはいえ、野生のクマたちの持つ大迫力にすっかり魅了され、朝から晩まで撮影していた。森の中や川の中を歩き、クマ以外にもいくつかの動物にも会うことができた。それらの写真は次回見ていただこうと思う。

    ここで、余談も余談なのだが、このとき、すごいものに出会ってしまった。中国の女性のカメラマンの方で、傍に若いアシスタントを侍らせていた。見たことのないような巨大なレンズを持っており、それはどんなレンズ?と聞くと、代わりにアシスタントが答えた。「9万ドルするレンズさ。」へー、9万ドル。ん、9万ドル?!と声に出して驚いてしまった。分かる人にしか伝わらなくて申し訳ないが、特注の1200mm f5.6というモンスターレンズとのびっくりな出会いだった。少なからず衝撃を受けたが、世の中色々な人がいるなあ、という感想だけでいっか。と自分内会議を終えた。笑

    小さな子を連れている母グマはオスたちのいる所から離れて過ごす。死んだ魚を捕まえ、子供に分け与えているシーン。

    プロフィール
    佐藤大史

    東京都町田市出身。長野県安曇野市在住。日本大学芸術学部写真学科卒業。卒業後、写真家白川義員の助手を務め、2013年独立。
    「地球を感じてもらう」ことをコンセプトに、アラスカなどの手つかずの大自然と、そこに生きる生き物たちを撮影している。
    1012日〜20日まで、安曇野市豊科近代美術館で写真展を開催予定。大迫力の極大プリントで展示予定。

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