
今回は東京都新宿区・千代田区の市ケ谷駅から九段下駅まで歩く「外堀公園GREEN-WAY」です。
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11th ルート:外濠公園GREEN-WAY
前回はこちら↓
地図を見るともなしにパラパラ眺めていて、ふと市ケ谷のところで目が留まりました。学生のころに利用していた最寄り駅が水道橋駅で、市ケ谷駅はJR総武線で2駅隣です。ただ、市ケ谷には線路沿いの釣り堀に遊びに行ったことがある程度です。

確か釣り堀は江戸城の外堀の一部で、外堀の土手には桜並木もあったはず。そんなことを思い出して地図を眺めてみると、緑道らしきものが伸びています。ここって気持ちよく歩けそうだな…と思い立ち、実際に足を運んでみました。ということで、今回は「外濠公園GREEN-WAY」です。
市ケ谷
市ケ谷は、江戸城の西側を守るための武家地として発展し、明治維新以降は陸軍の施設が置かれました。現在でも防衛省が所在していて、長きにわたり国防のまちとしての顔を持つエリアです。
※地名や駅名には「市谷」「市ケ谷」「市ヶ谷」と複数の表記がありますが、今回の記事では「市ケ谷」で統一しています。ただし、史跡などはそれぞれの表記に即しています。
早速、JR市ケ谷駅JR出口1(=トレイルの起点や終点となるアクセスポイント)を出発します。さすが市ケ谷です。直ぐに、国指定史跡 市ヶ谷門跡が見えてきました。

市ヶ谷門跡
市ヶ谷門は、1636年に、美作国津山藩主・森長継によってつくられました。幕末の戊辰戦争時、この門を挟んで官軍が市ケ谷台から江戸城に向けて砲台を構えていたとか。明治維新後の1871年(明治4年)に門は撤去されたそうです。
さて、市ヶ谷門跡をすぎると外濠公園が見えてきます。手前に遊具エリアがあり、その先に外濠公園の遊歩道入り口があります。早速、遊歩道へと足を進めていきます。
JR四ツ谷駅からJR飯田橋駅まで続く外濠公園。桜並木が広がっています。暑い日に歩いたこともあって、何とも木陰が心地いいです。

外濠公園
江戸城総構えの外周をなす外濠の土手はもともと軍事施設の扱いで、明治維新以降も「この土手登るべからず」と記された看板が設置され、立ち入りが禁止されていました。しかし、1921年(大正12年)に法政大学が市ケ谷に移転して以来、土手に入り込む学生が多く、警官ともめることもあったそうです。
そこで、法政大学は当時の東京市に対して「外濠の土手開放」を要求。その結果、1927年(昭和2年)に牛込駅から新見附の間が外濠公園として開放され、年々公園の範囲が拡大したそうです。

そういった歴史的経緯があって、現在は多くの人々が桜の木々の木陰を行き交ったり、ベンチでゆっくりお昼ごはんを食べたりできているんですね。って、僕自身、外濠の土手が軍事施設だったなんて想像もしていませんでした。
外濠公園をそのまま真っすぐ進んでも、江戸城(皇居)の堀には着きません。そこで、東京逓信病院の近くの道で、外濠公園を後にしました。ただし、このエリアは街路樹が多く植えられているので、公園を出ても「GREEN-WAY」の趣が続いています。東京逓信病院を回り込むように進むと、史跡の案内板らしきものがありました。
与謝野鉄幹・晶子旧居跡
与謝野鉄幹・晶子が麹町から転居し、この場所に関東大震災までの約8年間住んでいたそうです。このあたりは病院や大学、マンションなどの大きな建物に囲まれていて、歌人の住居があったことなど想像もつきません。

そこから道なりに進むと、幽霊坂が見えてきました。このあたりは、住所でいうと千代田区富士見です。かつては富士山が見えたのでしょうか。
幽霊坂から少し進むと、マンションの前にひっそりと大東文化大学発祥地跡の看板がありました。周辺には今も東京理科大や白百合学園がありますし、右を見ても左を見ても学校といった感じです。
緑を求めるように街路樹をたどっていくと、靖国神社に面した道に出ます。靖国神社の木々の木陰が心地よく、交通量も少ないので、のんびりゆったり歩けます。そこから早稲田通りに進むと、広場のような場所に行き当たりました。
濠北方面戦没者慰霊碑
濠北(ごうほく)方面とはオーストラリアの北方、インドネシア東部とニューギニア方面を指すそうです。この慰霊碑は、濠北方面戦没者慰霊會によって1964年(昭和39年)に建立されました。

濠北方面戦没者慰霊碑のすぐそばに、靖国神社の大きな鳥居がありました。
靖国神社
1853年(嘉永6年)以降の国事で殉難した人の霊246万6千余柱がまつられている靖国神社。1869年(明治2年)に勅命によって東京招魂社(しょうこんしゃ)として創建され、1879年(明治12年)に靖国神社と改称されました。

映像や写真で見たことはありますが、実際に目にした靖国神社の大きな鳥居に圧倒されました。ひとまず、今回は靖国神社のすぐ近くの九段下駅でいったん終了とします。
地図を見て「何となくいけそう」と思い立ち、歩いてみた「外濠公園GREEN-WAY」。キョロキョロしながら歩いても30分ほどの道のりですが、意外にも見どころが目白押しでした。
しかも、外濠公園を離れたら緑が途切れるかと思ったのですが、学校も神社も木々があるので、木陰を気持ちよく歩くことができました。江戸城の外濠散策、オススメです!
■今回歩いたルートのデータ
|距離約2.0km
|累積標高差約2m
今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。
●外濠公園GREEN-WAY