江戸ゆかりの川沿い散策コースを歩いて感じた“東京ってすごい”【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY FILE.10】 | アウトドア・外遊び 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2025.10.04

    江戸ゆかりの川沿い散策コースを歩いて感じた“東京ってすごい”【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.10】

    江戸ゆかりの川沿い散策コースを歩いて感じた“東京ってすごい”【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.10】
    プロハイカーの斉藤正史さんが、独自の視点で東京23区内の緑道を「GREEN WAY」として捉え直し、実際に歩いた足跡を紹介します。身近なGREEN WAYでも四季折々の見どころがあり、街の意外な歴史にふれることができる、かもしれません。

    今回は東京都中央区の築地本願寺から勝どき駅まで歩く「墨田・月島GREEN-WAY」です。
    Text

    築地を散歩!かつて存在した川の跡を歩き、歴史を辿る【プロハイカー斉藤正史の東京GREEN WAY  FILE.9】

    10th ルート:築地川GREEN-WAY

    前回のFILE.9では、築地川跡地に整備された築地川公園を巡りつつ、築地本願寺まで歩いてきました。実は、築地本願寺に面する晴海通りも築地川跡だったようです。

    近くの隅田川沿いには遊歩道もあるようなので、今回は「墨田・月島GREEN-WAY」と題し、江戸ゆかりの川沿い散策を楽しんでみたいと思います。

    早速、晴海通りを歩きながらキョロキョロしてみるのですが、右を見ても左を見ても道路です。当たり前ですが、川の面影などまったくありません。

    晴海通り。ここが川だったとは思いもしません。

    築地川公園のように何かしらの痕跡を残してくれないと、時代とともに土地の歴史も忘れ去られてしまいます。100年後、今あるものがどれだけ残っているのでしょうか…。

    とかなんとか、晴海通りを真っ直ぐ進むと、はとば公園に着くのですが、その向かい側に見どころがたくさんありました。

    まずは、目の前にかかる勝どき橋から見ていきましょう。

    勝どき橋

    勝鬨橋は、1940年(昭和15年)に隅田川河口部に築造された、日本に現存する数少ない可動橋(跳開橋)。ただし、1980年に機械部への送電を取り止めており、可動部もロックされているため、跳開(ちょうかい=上方に跳ね上がる)することはありません。

    再び跳開させようとの市民運動や都や一部の都議の動きはあったそうですが、機械部等の復旧に10億円(東京都試算)かかることや交通量があることから、実現の目途は立たないようです。

    かつては橋の中央部分を「ハ」の字型に開いて、1000トン級の大型船舶を通すことができたとか。こんな大きな橋が動いた様子を想像するだけでも、ちょっとワクワクします。

    勝ちどき橋。

    かちどき橋資料館

    勝鬨橋のすぐ近くにある、その名も「かちどき橋の資料館」。入場無料で勝鬨橋の歴史に関する展示を見ることができます。

    しかも、現在は見学コース部分の工事を行っているのでツアーを中止していますが、隅田川著名橋等ツアー(水上バスに乗船し船上からガイドと一緒に勝鬨橋の開閉構造や隅田川橋梁等見学するツアー)、橋脚内見学ツアー(勝どき橋の橋脚内の開閉装置を説明者と一緒に見学するツアー)などを無料で開催しているようです。再開したら、ぜひツアーに参加したい。

    かちどき橋の資料館。

    詳しくは触れませんが、かちどき橋の資料館の近くには勝鬨の渡し跡や海軍経理学校の碑などもあります。海軍の、経理の、学校…?何だか気になりますが、はとば公園に進んでいきます。

    海軍経理学校の碑。

    はとば公園の園内を進んでいくと、ピカピカの球体が置かれていました。今回のルートは見どころが盛りだくさんなのでスルーするつもりでしたが、ちょっと立ち止まってみました。

    この球体、真ん中に穴が空いていて、この部分を正面にして写真を撮ると自分が球体に写らない写真が撮れるという優れモノ。このオブジェの正体は、彫刻家である井上武吉(ぶきち)さんの「my sky hole 水の情景」という作品でした。

    はとば公園の謎の球体(ではなく芸術作品)。

    はとば公園を出て道なりに進んでいくと、月島渡し、電信創業の碑があります。その間の道を隅田川沿いに行くと、何やら高級そうなお店が見えてきました。

    三菱財閥の創始者である岩崎弥太郎の別邸を買い取って、1931年(昭和6年)に創業した老舗料亭「つきじ治作」です。名物料理は水たきで、その格調高い落ち着いた風情から「銀座の奥座敷」と呼ばれているとか。

    つきじ 治作。

    料亭など、僕には縁もゆかりもない世界。店に近づくことすら腰や気が引けるので、車道を挟んだ反対側の歩道をそそくさと歩いて過ぎ去ろうとしたのですが、ふと店の入り口付近に目を向けるとダークスーツを着たSPらしき人がいました。

    大物政治家でも来店しているのかと思いつつ、入り口に目を向けると「LOUIS VUITTON」と記された看板らしきものがかけられていました。あとから調べたら展示会を行っていたようです。老舗料亭に世界的ブランド、あまりにも自分から遠く隔たった世界の出来事すぎて、「東京ってすごい」という感想しか思い浮かびませんでした。

    老舗料亭を離れて歩を進めると、やがて明石町河岸公園の入口がありました。階段を登って隅田川沿いの遊歩道に出ると、心から落ち着きます。そうです。東京にビビろう、ではなく、東京の気持ちの良い場所を歩こうと、築地周辺を散策しているのです。川の周囲は空が広く、落ち着きます。

    ホッとする隅田川沿いの遊歩道。

    ここから佃大橋を渡り、月島エリアへと進んでいきます。

    民家と民家の間の細い路地に「Tsukineko」という看板が出ていました。猫のシルエットのイラストが描かれていて、猫好きの僕としては心ひかれます。ただ、そのまま看板の矢印に従って進んでしまうと、猫好きの血が騒ぎすぎて取材中であることを忘れそうなので、ここは先に進みます。

    といいつつ、やはり気になったので調べると、「Tsukineko」は純血猫ちゃん専門で里親探しをしている施設でした。単に猫とふれあうためだけに訪問するのもOKのようです。行けばよかったと後悔…。次の機会には必ず立ち寄りたいと思います。

    月島の路地で見つけたTsukinekoの看板。

    再び隅田川沿いの遊歩道を、今度は勝どき方面へ歩いていきます。対岸には、歩いてきたばかりの明石町河岸公園や老舗料亭が見えました。

    このあたりは花壇や植木もあって、何だか足取りも軽くなります。隅田川から吹いてくる風も気持ちいい。何だか隅田川沿いの遊歩道を歩くたびに「気持ちいい」を連呼している気がしますが、正直な思いなのでご容赦ください。

    心地よい隅田川沿いの遊歩道、再び。

    しばらく川沿いの景色を楽しんでいると、大きな月島川水門が見えてきました。ここから一路、月島川を渡ります。

    月島川

    月島川が完成したのは、1894年(明治27年)。当時の月島1号地(現月島)と月島2号地(現勝どき)の埋め残された水面から生まれた川だそうです。隅田川から月島川水門~朝潮運河へと繋がる全長530mの小さな川で、中央区勝どきと月島の境界になっています。

    月島川には遊歩道があり、川にはいくつかの船が係留されていました。桜並木が続く月島川の遊歩道、隅田川の遊歩道に負けず劣らず心地よい道です。約500mの月島川の真ん中あたりまで歩き、2つ目の月島橋をわたると、今回のルートの終点となる勝どき駅に到着するのでした。

    月島川。

    築地も月島も、ただ通り過ぎるだけだとそこが埋立地だとは全く思いもしません。でも、少し気にかけて歩いてみると、石碑はもちろん、海や川、水に関する名残をあちこちで目にします。

    現在の姿は、東京都中央区のビルやマンションの多いエリアです。でも、思いをめぐらせると江戸時代からの歴史を感じることもできます。何より、川風が気持ちよく、快適に散策できると思います。

    なお、前回の「築地川GREEN-WAY」と今回の「墨田・月島GREEN-WAY」をあわせて歩くのもオススメです。今はなき川=築地川と今も残る川=隅田川&月島川をめぐり、ぜひ江戸の川風に吹かれてください。

    今回歩いたルートのデータ
    |距離約3.0km
    |累積標高差約6m

    今回のコースを歩いた様子は動画でもご覧いただけます。

    ●墨田・月島GREEN-WAY

    ●FILE.9「築地川GREEN-WAY」 to FILE.10「墨田・月島GREEN-WAY」

    斉藤正史さん

    プロハイカー

    2012年より日本で唯一のプロハイカーとして活動。トレイルカルチャー普及のため、海外のトレイルを歩き、アウトドア媒体を中心に寄稿する傍ら、地元山形にトレイルのコースを作る活動「山形ロングトレイル(YLT)」を行なう。スルーハイク(単年で一気にルートを歩く方法)にこだわり、スルーハイクしたトレイルだけで22.000km(地球半周以上)を超える。また、BE-PAL.netにて「TOKYO山頂ガイド」を連載。

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