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まずはカラスの習性から知ろう

カラス対策の効果を高めるなら、まずは敵を知ることが重要です。対策をする上で役立つ、カラスの習性を三つ解説します。
知能と色彩能力が高いが羽が弱点
カラスは、人間の7歳児に匹敵する知能を持っているといわれており、鳥の中でも賢い部類に入ります。実際、道具を使って餌を取ったり、クルミの殻を車にひかせて割ったりといった、機転を利かせる能力もあります。
人間の5倍以上あるといわれるほどの高い視力と、優れた色彩能力を持つことも、カラスの特徴です。ごみ袋に食べ物が入っているかどうかを、わずかな色の違いから見分けることが可能です。
一方、羽が敏感で、何かが触れることを嫌う習性があります。そのため、一般家庭ではテグスを設置して対策することも少なくありません。
春から夏にかけて攻撃的になる
カラスに攻撃・威嚇をされた報告は、5~7月にかけて増える傾向にあります。これは春から夏にかけてはカラスの繁殖期であり、ヒナを守ろうとして親が神経質になるためです。
カラスが人を攻撃する方法は個体によって異なりますが、体当たりや脚で頭を蹴る、枝を折って落とすなどが挙げられます。
大けがに至ることは稀なものの、頭部を出血するなどの例も報告されています。また、過去に攻撃されたことへの恐怖や衛生面への不安から、キャンプの楽しい気分が損なわれてしまう可能性は十分にあるでしょう。特に夏場のキャンプでは、よりいっそうのカラス対策が重要です。
臆病で警戒心が強い
時には人を攻撃することから、カラスが凶暴な鳥だと思っている人もいるでしょう。しかしカラスは本来、臆病で警戒心が強く、積極的に人を襲うことはありません。むしろ、人間を恐れているともいわれています。
天敵であるフクロウやタカの声も怖がり、声のする方には近寄りません。ただし、何か危害を加えようとすると、防衛のために攻撃してくるケースがあります。
それでもいきなり襲うことはなく、まずは特殊な鳴き声を発して威嚇します。威嚇されていると分かったら近づかないようにすれば、襲われる可能性は低いでしょう。
キャンプでのカラスによるトラブル

キャンプで想定されるカラスのトラブルとして、食べ物を荒らされたり、ギアを盗まれたりなどが挙げられます。どのような事態になるのか、それぞれ詳しく見ていきましょう。
食べ物を荒らされる
カラス被害として代表的なのは、食べ物にまつわるトラブルです。短時間でも食べ物を放置していると、盗まれたり食べられない状態に荒らされたりする可能性があります。
生ごみをごみ袋に入れたとしても、安心はできません。カラスは食べ物が入ったごみ袋を見分け、器用にこじ開けてしまいます。
そのため、ごみ袋を外に置いて寝ると、翌朝には中身が散乱している恐れもあるでしょう。カラスに対しては、単に食べ物を片付ける以上の対策が必要です。
ギアを盗まれる
食べ物以外にも、キャンプに持参した道具を盗まれる可能性があります。カラスが実際に盗んだとして知られているものには、以下が挙げられます。
- ハンガー
- せっけん
- サンダル
- スプーン
盗まれるまではいかなくとも、レジ袋の中身を荒らされてしまうことは珍しくありません。これはレジ袋の中に食べ物が入っていると、カラスが学習しているためです。
学習の程度には個体差があるものの、カラスにとって魅力的に映るアイテムは放置しない心がけが求められます。
キャンプでカラスを寄せ付けない対策

キャンプを楽しむ間、カラスに遭遇しないためにできる対策を二つ紹介します。カラスを寄せ付けないためには、食べ物を隠したり、カラス対策グッズを使ったりするのが有効です。
食べ物をカラスの視界から隠す
カラスを寄せ付けない根本的な対策は、食べ物をカラスの視界から隠すことです。
外から中身が分かる透明なポリ袋や、餌が入っていると学習している恐れのあるレジ袋ではなく、黒いごみ袋や開けにくいふた付きのコンテナにしまっておくのがよいでしょう。
車をサイトの近くに止められるなら、車内に置くのもおすすめです。テント内に保管する際は、戸締りをしっかりと行い、カラスが侵入できないようにしましょう。
人がいなくなると、食べ物を狙ってカラスが近寄る可能性があるため、トイレや道具を取りに行くなどで、少しの間離席する際も対策を怠ってはいけません。
カラス対策グッズを使う
市販のカラス対策グッズを使うのも有効です。キャンプで使いやすいグッズには、以下が挙げられます。
- ネット
- 忌避剤入りスプレー
- 置物
- ステッカー
ネットは、カラスのくちばしが入らないくらい細かい編み目で、『防鳥ネット』として販売されているものがおすすめです。中には、忌避成分が入っているネットもあります。
忌避剤入りスプレーは、主にごみ袋に吹きかけて使います。人体への影響が心配な人は、天然成分由来の製品を選びましょう。
置物やステッカーは、天敵がいると思わせ、近寄らせない効果があります。テントサイトに置いたりギアに貼ったりと、使い勝手がよいのもポイントです。
カラスが来た場合の撃退方法

しっかり対策を行っていても、カラスが寄ってきてしまう場合もあります。ここでは、近寄ってきたカラスを追い払う方法を二つ紹介します。
カラスの嫌がる音を出す
カラスの嫌がる音を出すと、追い払える可能性があります。カラスが嫌がる音は、以下の三つです。
- カラスが天敵に襲われている音
- 天敵の鳴き声
- カラスの鳴き声
このうち効果が高いといわれているのは、天敵に襲われている音です。天敵の鳴き声に混じってカラスの悲鳴が聞こえると、恐れて逃げ出すことが期待できます。
また、カラスは鳴き声でコミュニケーションを取り、数種類の鳴き声を使い分けています。このうち、警戒や退避、威嚇を意味する鳴き声を聞かせると、カラスは逃げていくでしょう。
単純に、カラスの天敵であるタカ・フクロウなどの鳴き声を聞かせるのも効果があります。上記の音声はYouTubeでも見つけられるので、手軽に実践しやすいでしょう。
カラスの嫌がる光を出す
カラスは、人間よりも視力が高いため、強い光を当てられるのが苦手です。一般家庭で、カラスよけとしてCDや風車をつるしているのは、このためです。
キャンプ場では、強力なLEDライトやレーザーポインターをカラスに当てると、追い払えるでしょう。特に、カラスは緑色の光を認識すると、警戒して逃げる習性があるといわれています。レーザーポインターを購入するなら、緑色がおすすめです。
ただし、キャンプ場で強い光を発する際は、近くに人がいないかよく確認しましょう。
おすすめのカラス対策グッズ

キャンプで使いやすい、おすすめのカラス対策グッズを紹介します。スプレーやステッカー、ネットなど幅広い種類をピックアップしました。
鈴木油脂「SYKカラスガード」
カラスが嫌がる辛み成分を含んだスプレーです。ごみ袋やコンテナなど、カラスを近づけたくないアイテムに吹きかけて使います。
塗膜は硬くて弾力性があり、条件にもよりますが効果は約24時間持続するので、1泊のキャンプなら一度吹きかけるだけと手軽に使えて便利です。
また、速乾性があるためべたつかず、ごみ箱やコンテナにも使えます。雨にぬれても流れ落ちないのも、うれしいポイントです。
ネットと併用すると、より高い効果が見込めるでしょう。自宅でも使えるアイテムなので、1本持っておくと重宝します。
- 商品名:鈴木油脂「SYKカラスガード」
- 公式サイト:商品はこちら

北海道環境バイオセクター「SARABAカラスくん」
カラスの天敵であるフクロウの目を模したステッカーです。カラスに向けて揺らしながら見せつけても効果があるため、ギアに直接ステッカーを貼りたくない人でも使いやすいでしょう。
カラスが逃げる秘密は、ヒトデから抽出した貴重な光の成分にあります。カラスは安全な死角を見つけて侵入する習性があるため、複数枚を角度・高さを変えて貼り付けるとより効果がアップします。
効果の持続期間は約6~8カ月で、ステッカーが白く変色したら交換のサインです。1シーズンにわたって対策できるのもうれしいポイントです。
- 商品名:北海道環境バイオセクター「SARABAカラスくん」
- 公式サイト:商品はこちら
K’sWING東北「カラスなぜ逃げる?」
カラス撃退率95%以上をうたうアイテムです。らせん状に束ねられた光ファイバーでできており、支柱などにくくり付けるだけと使い方は簡単です。
少しの風でもよく回転し、無数の光ファイバーが異なる波長の光を絶えず発することで、カラスが恐怖を覚え逃げていく仕組みになっています。製品の形状は、特許も取得しています。
環境によるものの、効果は約2年以上持続し、コストパフォーマンスも高いでしょう。使い方が簡単なので、キャンプシーンだけでなく自宅用としても便利です。
- 商品名:K’sWING東北「カラスなぜ逃げる?」
- Amazon:商品はこちら

K’sWING東北
カラスなぜ逃げる?
泰東「カラス対策・カラスよけゴミネット」
カラスのくちばしが入らないほど、細かい編み目で作られたネットです。漁網の技術を盛り込んでおり、カラスにあさられても破れにくい耐久性を誇ります。
基本的な使い方はごみ袋にかぶせるだけですが、周囲には重りが入っているので、風が吹いてもめくれにくくなっています。サイズは数種類展開されており、約1.5m×1.5mサイズでは45Lのごみ袋が約4個入る大きさです。
雨風や紫外線にも耐えられるよう作られているので、長く使えるアイテムです。
- 商品名:泰東「カラス対策・カラスよけゴミネット」
- Amazon:商品はこちら

まとめ

高い知能と視力を生かし食べ物を狙って寄ってくるカラスは、日常生活だけでなく、非日常を楽しみたいキャンプシーンでも厄介な存在です。一方で、羽が敏感で光に弱いため、弱点を突いた対策が有効です。
食べ物は、カラスに見つかりにくい黒い袋やコンテナなどに入れ、車やテントなどに保管するのが基本となります。ネットやスプレーなども組み合わせれば、より効果的に遠ざけられるでしょう。
近寄ってきた場合に備え、カラスが嫌いな音や光を出せるようにしておくと安心です。事前にしっかりと準備して、大切な食材やギアをカラスから守りましょう。