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2025.02.14

【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.26】ペケペケ号と別れる日は熱帯魚釣りへ。釣った鎧魚=プレコを食す

【佐藤ジョアナ玲子のアマゾン旅 vol.26】ペケペケ号と別れる日は熱帯魚釣りへ。釣った鎧魚=プレコを食す
私にとって、舟は道具というより相棒と呼ぶ方がしっくりくる特別な存在です。アマゾン川下りの旅では、寝るのも食事をするのも舟の中。まさに寝食を共にした愛しいボロ舟=ペケペケ号ですが、とあるご縁から新たな持ち主の元へ行くことになりました。
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ペケペケ号との別れ

ウミリトゥバ村の川に浮かぶペケペケ号

ウミリトゥバ村の水辺に浮かぶペケペケ号。

ほんとうは、もっともっとアマゾン川を旅したい。なんなら人生であと5回くらいはアマゾン川に来てみたい。

だけど残念ながら今回はそろそろ時間切れ。帰国日までのスケジュールを考えて、ペケペケ号によるアマゾン川下りの旅は、ブラジル、マナウス近郊のウミリトゥバ村で一区切りつけることになりました。

ペケペケ号の新たな持ち主は、この村でモリ突きや農業を教えてくれたファチマさん家。村の周りの細い水路を移動したり、湖で漁をするための舟として引退生活を送ります。

振り返ってみると、ペケペケ号にはたくさん無理をさせてしまいました。こういう木舟は、アマゾン川沿いに住む人々が漁や移動のために日常的に乗っています。

でも、村から村へ旅してわかったのは、彼らの行動範囲は実際にはあまり広くないということ。みんな、自分の村が好きだから、あまり遠くへは行かないのです。ペケペケ号は本来、何時間も連日走らせて移動することを想定した乗り物ではなかったのです。

干上がった水辺

ウミリトゥバ村で当初ペケペケ号が浮かんでいた場所は、1週間後には乾季で干上がってしまいました。

「ペケペケ音がする船外機を載せた木舟は、現地では通称ペケペケと呼ばれているらしい」

私が実際にアマゾン川を訪れる前にネットで仕入れた知識はその程度のもので、舟の知識なんてロクにありませんでした。ただ現地の人と同じスタイルで旅がしたくて、ペケペケ号を選んだのです。

そんな私が実際にペケペケ号で旅して、やっと気が付いたあたり前の事実がありました。木舟は、雨季には干上がってしまうような密林の水路を走るには最適です。でも、現地の人が大きなアマゾン川の本流を長距離移動をする際に使うのは、ペケペケではなくフェリーなのです。

現地の人と同じスタイル、という意味ではフェリーも正解なのです。私は河口までの残りの旅はフェリーに切り替えることに決めて、ペケペケ号は新たな持ち主と共に村で本来の活躍をしてもらうことにしました。

魚を獲りに行くファチマさん

魚を獲りに行くファチマさん。ウミリトゥバ村の周辺は川が細く入り組んでいる。

ペケペケ号と別れてフェリーで下る。この決断には、あまり悔しさはありませんでした。

私は目標通り、アマゾンの河口の景色を目指して旅を続ける。そして愛しの相棒ペケペケ号はアマゾンの村で人々と生き続ける。私にとって、とても前向きな気持ちの別れでした。

ペケペケ号に乗って最後のボートフィッシングへ出かけよう

マナウスの船着き場

ペケペケ号を預かってもらったマナウスの船着き場。

そんなわけで、ペケペケ号とお別れをする前に、最後にもう一度だけ釣りに出かけることにしました。

ペケペケ号を操縦するミスターK

ペケペケ号を操縦するミスターK。

以前まで一緒に旅をしていたTさんとはブラジル国境の町タバチンガで別れ、新たな助っ人として来てくれた人物はミスターK。実は遠距離恋愛中なのですが、半年ぶりの再会の場所としてアマゾン川を提案したところ、あっさり話がまとまりました。

マナウスの近く

マナウスの近く、ピンクイルカの出没スポット。

「アマゾン川といえばピンクイルカだよね!」とミスターK。今回の釣り場へ向かう道すがら、水面からピンクイルカの背中を発見して大興奮。イルカツアーの拠点があって、ここら辺のイルカは人間に慣れているようです。

粘り強い釣りで仕留めた魚は?

最初に釣れたピラニア

最初に釣れたのはピラニア。釣り上げるとグエグエッと声がします。

釣り針が大きすぎたけれど、ミスターKは早速ピラニアをゲットしました。

ルアーで釣った魚

遠近法で少しでも魚を大きく写そうとするミスターK。

大物狙うならルアーでしょう!と挑戦しましたが、釣れるのは小ぶりな魚ばかり。それでも種類はいろいろで、釣れれば楽しいのです。

根ながら釣りをするミスターK

寝ても竿は離しません。

ミスターKは、粘り強い釣りをします。うたた寝しながらでも竿を離さない。起き上がるのは、魚がかかったときか、蚊に刺されたとき。残念ながら後者の方が高頻度。

ペケペケ号、あわや沈没の大ピンチ

朝の穏やかな川

朝の穏やかな川が嘘みたいに、午後は大荒れに。

細い水路沿いでの釣りを終え、対岸のマナウスまで戻るとき、大きな川の真ん中で事件が起こりました。

朝はこんなに穏やかだったのが、午後には強風で波立つ水面。真正面から波を受けた拍子に舟が縦に大きく振れると、慣性の法則で舟の揺れから1テンポ遅れてしまったのがペケペケ号の船外機。船外機は舟の後ろの台座にのっているのですが、固定が甘く、あろうことか舟が揺れたはずみにスポッと台座から抜けてしまいました。

幸い、船外機と舟を一応ロープで結んでいたおかげで、台座から抜けた船外機が川に落ちることは回避できたものの、波に揺られながら重たい船外機を所定の位置に戻すのは至難の技。ミスターKは何度も川に落ちて、やっと成功しました。

最後の最後にあわや沈没の危機だなんて、ペケペケは油断ならない乗り物です。

ウミリトゥバ村

ウミリトゥバ村にて。

後日、ペケペケ号の引き渡しのためウミリトゥバ村へ戻り、家のお兄さんにペケペケ号の船外機脱落事件を話すと、意外な反応が返ってきました。

「あー、それ、俺も同じ失敗したことあるよ。子供のころさ!」

お兄さんがまだペケペケ号の運転を覚えたてだった子供のころ、私と同じく舟の縦揺れを甘く見て、船外機を脱落させてしまったのだとか。現地の人も、いろいろ失敗しながらペケペケ号の扱いを覚えるようです。

さらばペケペケ号

村での移動や漁に使われる舟

村内の移動や漁に使われる舟。一番右がペケペケ号。

ペケペケで起こりうる事故は一通り体験したから、もうお腹いっぱい。新しい持ち主の元へ、ペケペケ号行ってらっしゃい!今度は良い子にするんだよ。

船外機と筆者

脱落事故で幸運にも水没を免れた船外機。

船外機の全長は私の身長よりもずっと長くて、持ち上げるのも一苦労な重さです。

ペケペケ号の修理道具

ペケペケ号の修理道具たち。

予備のスクリューと修理道具も一緒にお渡ししました。旅の途中、度重なる故障で活躍した苦い思い出のある道具たちです。もうウミリトゥバ村では活躍しないことを祈っています。

釣った熱帯魚を料理して豪華なお別れ会

釣ったアロワナなどの魚

調理前のアロワナなど。

ペケペケ号との別れを記念して、ウミリトゥバで豪華な熱帯魚料理をご馳走になりました

まずお家の人が用意してくれたのは、高級帯魚でお馴染みのアロワナです。

アロワナを捌く筆者

村で獲れたアロワナを捌くジョアナ。

実は私、旅をしたり不安定な生活をするようになる前は熱帯魚飼育が趣味でした。でもまさか、アロワナを調理するためにウロコをはがす日が来るだなんて、思ってもみませんでした。

アロワナは、塩と香辛料をパパッとふったら、油で揚げます。

お米と煮豆を添えたアロワナのワンプレート

お米と煮豆を添えたアロワナのワンプレート。

味付けはシンプルに、大きな身を頬張ると旨味がジュワッと口に広がります。しっとりなめらかな身質で、例えるならナマズにちょっぴり似ているかも。見た目からは意外なほど、クセがなくて淡白なお魚です。

フライパンの油でカリッとしたアロワナが一番美味しいけれど、煮豆を添えて汁に浸ったアロワナも絶品です。

鎧魚プレコは炭火焼に

釣ったプレコ

野生のプレコ。

続いての食材は、プレコ。私が一番好きな熱帯魚ですが、アマゾンでは一般的な食材のようです。

プレコの腹側

ひっくり返すと、大きな唇が見えます。

プレコは水槽で飼われているときは、大きな唇でガラス面に吸い付いて、ハムハムと口を動かしながら移動します。チャーミングで個性的な姿を思い出すと、食材として桶に浮かんでいるプレコを見るのは正直複雑な気持ちでもあります。

プレコの煮魚

プレコの煮魚。

はじめて食べるプレコ料理は煮魚。

プレコは別名”鎧魚”とも呼ばれていてウロコがとても硬く、調理前にキレイに剥すことはかなり困難です。そのため、ウロコが付いたまま調理をします。体を頭と尻尾で大胆に二つに分けて調理したら、フォークで中の身をほじるように食べます。

プレコの煮魚の裏側

ひっくり返してみました。

口の周りは、細かいウロコが砂利みたいにじょりじょり剥がれてあまり美味しくありません。口の下にある切れ込みのような部分はエラですが、これも食べられません。

鳥とプレコを炭火で焼く

焼き鳥と焼きプレコ。炭火が決め手です。

プレコは煮魚より焼き魚の方がおススメです。アロワナと比べるとキュッとしていてやや噛み応えのある身だから、炭火焼きの香りがつくとまるでお肉を食べてるみたい。

ペケペケ号の新たなお家がウミリトゥバに決定して、私は満腹!じゃなくて満足です。これからも村の人がペケペケ号で漁に出て、美味しいお魚をたくさん食べられますように。

次回はブラジル、マナウスにて、誰でも手軽にジャングルウォークが体験できる自然公園を紹介します。

私が書きました!
建築学生
佐藤ジョアナ玲子
フォールディングカヤックで世界を旅する元剥製師。著書『ホームレス女子大生川を下る』(報知新聞社刊)で、第七回斎藤茂太賞を受賞。中日新聞の教育コラム「EYES」に連載。ニュージーランドとアメリカでの生活を経て、現在はハンガリーで廃材から建てた家に住みながら建築大学に通っている。

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