
お仕事前にいただいた村の朝食

ウミリトゥバ村の朝食。
今回、農業体験させてもらうのはウミリトゥバ村にあるのファチマさんの畑。自分たちで食べる魚は近所で漁をして、ニワトリも育てているし、野菜や果物も畑でとれる、ほぼ自給自足の生活をしています。
vol.24でモリ突き漁を体験させていただいたお礼に、「畑仕事を手伝いたい、この村の農業事情を知りたい」とお願いして畑仕事に参加させていただけることに。私は生まれも育ちもコンクリートジャングルの都会っ子。土いじりは小学校のプチトマト以来ですが、枯らさないように頑張るゾ!

仕事の前に、まずは腹ごしらえということで、朝食をいただきました。
この日の朝食は、ふかした紫イモと、プランテンのサンドイッチ。プランテンとは、調理しておかずとして食べるバナナのようなもの。ただしバナナのような甘みはなく、お芋に近い味です。紫イモも、見た目の奇抜さとは裏腹に、ほぼ無味無臭。アマゾンの食べ物って、意外と味が薄いものが多いんです。
それに対して、毎朝飲むコーヒーは激甘。お砂糖たっぷり、粉末のミルクをこんもりコーヒーカップに入れてから、ポットのコーヒーを注ぎます。
生産者こだわりのオーガニック・パパイヤ

ファチマさんの畑で採れたばかりのフレッシュなパパイヤ。
デザートにいただいたパパイヤも、ファチマさんの畑で採れたもの。これは化学肥料を使わないこだわりのオーガニック栽培で、市場ではほかの畑のものより高く取引されているという自信作。まるでメロンのような甘さで、美味しい~!

ファチマさんのパパイヤ畑。
畑へ行くと見渡す限りパパイヤの木。細い木が規則正しい間隔で植えられていました。ちなみにパパイヤは現地で「ママウ」と呼ばれていました。パパの立場なし。

パパイヤ収穫の秘密道具。
収穫に使うのは、この道具。ラクロスのスティックみたいですが、先端にはパパイヤがスッポリ収まるサイズのカゴが付いています。
収穫時期のパパイヤを見つけたら棒を伸ばし、先端のカゴに実を収めたらクルっと捻り収穫します。木の上のパパイヤの実はどれも緑色ですが、一部がほんのり黄色みを帯びていたら収穫時期。翌朝に食べごろになるのだとか。

私はパパイヤの運び屋。
私はパパイヤを手押し車に載せて運ぶ係。人生で初めての手押し車。一つ一つ手作業で収穫します。どうやら、この畑では機械式の農具はほとんど使っていないようです。
アマゾンの村で見た農具事情とは?

草刈り機のお手入れ風景。
この畑で唯一、燃料を入れて使う農具は草刈り機。アマゾンの雑草は太くて強いのか、草刈り機の刃も大きくて頑丈そうなものを使っていました。畑へ出る前に刃を研ぐのも大事な仕事。研ぎ方を見学していると、衝撃的な道具が登場しました。

回転式砥石の正体は扇風機。
なんと現われたのは扇風機。羽の部分を砥石に付け替えて、扇風機の回転で草刈り機の刃を研ぐスタイル。その手があったか。
ブラジルで人気という痺れる野菜「ジャンブー」

ブラジルの畑で栽培されていた野菜「ジャンブー」。
アマゾンの村には、日本では馴染みのない野菜もあります。例えばこの「ジャンブー」。花の部分を噛むと、たちまち口が痺れます。アマゾン流の山椒みたいな香味野菜です。同じアマゾン川流域でも、これまでペケペケ号で旅してきたペルー側では見かけなかったブラジル独特の野菜です。
ジャンブー料理の定番はスープ

郷土料理「タカカ」。
ジャンブーを使った料理で、もっとも一般的なのは「タカカ」という屋台料理。木の実を割って作ったお椀に注ぐスープで、味噌汁のような色をしています。
緑色の具材は、先ほど紹介したジャンブーの葉を茹でたもの。エビはアマゾンの熱気でも腐らない塩っぱい干しエビ。黄色い汁は、キャッサバ由来のトゥクピーと呼ばれるもの。でんぷん質のドロッとした透明なお餅のようなものも入っています。屋台ではそれぞれの具が別の容器に分けられていて、注文が入ったらお椀に入れて汁を注いで完成です。
一口すすると、強烈に酸っぱい。トゥクピーは酸味のある汁なのです。一旦舌を休ませようと菜っ葉を口に入れたら、舌が痺れる。ジャンブーは、花の部分だけでなく葉っぱにも痺れる効果があるみたい。
タカカの材料は一つ一つが強烈で、美味しいのか美味しくないのかよくわかりません。というか、ジャンブーで舌が痺れて味がわかりません。
ジャンブー酒の味は?

ジャンブーで作ったお酒。
ブラジルのアマゾン川流域で定番のお土産といえば、ジャンブーを漬けたお酒。味はどうかというと、やはり口が痺れてなにもわかりませんでした!?
人気の高級フルーツ「トゥクマン」

「トゥクマン」という珍しいフルーツ。
畑にある木の上には、「トゥクマン」というコロコロしたフルーツが実っていました。

食べてみると、思っていたのとは違う味でした。
トゥクマンは体に良いらしく、最近では高級フルーツとして扱われているとか。でも、昔はあまり人気がなかった果物だそうで、試しに食べてみると納得。美味しくない。硬い皮を剥いてなかの黄色い部分を食べるのですが、中心に大きな種があって、表面のわずかな実を前歯で削るように食べます。
繊維質が強く、マンゴーの種の周りを食べているときみたいに歯の間に挟まります。水分は少なく、ややパサパサ。甘くないサツマイモみたいな感じです。
ネギが値上がりしたら、自分の畑で育てて解決します

ネギがないなら植えればいいじゃない。
私がウミリトゥバ村を訪れたときには、村の周辺地域でネギの値上がり話題に。そんななか、手ごろな値段の苗を見つけたファチマさん。早速、畑に植えることになり、ネギに詳しい近所の方がお手伝いにやって来ました。
ネギを植えるときは、ひげみたいな根が絡み合っている苗をほぐして、根の生え際近くのコブみたいな部分を切断します。中心に生えている若々しい黄緑色の部分以外は切って、耕したフワフワの土に人差し指程度の穴を掘って植えます。

ファチマさんと、鼻水を垂らした私。
鼻水が垂れていることにも気づかずに、夢中で作業させてもらった土仕事。ファチマさんたちは、薄暗い早朝から仕事を始めます。もっとも暑い昼過ぎには昼寝をして、その後、日が暮れるまでの涼しいゴールデンタイムにせっせと働きます。
では、強い雨が続く雨季の仕事はどうするのでしょう?
「休む。寝る。だって雨だもん」
その潔さ、気持ちよくて好きかも。
