自転車キャンプにおすすめの装備・持ち物とは?荷物を軽量化するコツを詳細解説
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    2023.05.06

    自転車キャンプにおすすめの装備・持ち物とは?荷物を軽量化するコツを詳細解説

    自転車キャンプ途中の3人

    BE-PAL本誌4月号取材のために愛知県岡崎市から蒲郡市まで1泊2日で自転車キャンプを楽しんだ3人。

    出発前からワクワク。さあ、自転車キャンプに出かけよう!

    自転車に積めるだけの荷物を持って自走でキャンプへ。当日の移動する楽しみはもちろん、出発前から道具を減らしたり増やしたり、どうやって自分らしくアレンジするかなど、あれこれ考えるだけでもワクワクが止まらない。ここでは、『BE-PAL』特集取材のために1泊2日の自転車キャンプツーリングを楽しんだ三人三様のキャンプギアとスタイルを紹介しよう。

    自転車キャンプで3人が選んだ装備&持ち物とは?

    夜のキャンプシーン

    海辺のキャンプ場で1泊。それぞれが自分の焚き火台に炎を灯し、マイペースで楽しんだ。

    今回の旅は、世代も暮らす街も違う3人が岡崎城近くに集合し、ソログルキャンスタイルで楽しんだ。自転車も違えば、積み方も、選び方も様々。当日、3人が実際に使った装備を紹介しよう。

    自転車メーカー代表、海老根拓さんの場合

    海老根拓さん

    メッセンジャーや自転車ショップスタッフ、自転車メーカー勤務などを経て自身のブランドを立ち上げた海老根拓さん。

    海老根拓さんは、自身の自転車ブランド『Pep cycles』のオーナー兼デザイナー。普段から大阪を拠点にソロや仲間と自転車キャンプを楽しんでいる。最近では、UL系のキャンプ道具(アルコールストーブ用の五徳)などをデザインして、市販を開始した。

    海老根さんの持ち物

    海老根さんの道具

    総重量は約5kg。「自転車に取り付けるバッグの容量に制限があるので、軽量化はもちろん、アルコールストーブなどコンパクトな道具を選んでいます」。自転車をポール代わりにするタープキャンプで軽さを実現。イスを使わず、フォームマットを座布団代わりにするスタイル。

    海老根さんは、軽さを追求して、テントではなくタープを使用。寒さ対策にビビィサックも併用。シュラフは、化繊ではなく小さくなるダウンにすることで収納サイズをおさえている。

    そのほか、マットはインフレータブル、焚き火台は収納サイズにこだわりMONORALのワイヤーフレームをチョイス。クッカーは、なかにアルコールストーブを入れて運ぶ徹底ぶり。

    「ギアを小さくしてバッグの容量に多少余裕を持たせておいて、食材などを購入した際の場所を確保しておきます」と海老根さん。

    自転車の装備はこちら

    海老根さんのキャンプスタイル

    タープを張る際にポールの代わりに自転車を使うのが海老根さん流。ガイロープ2本を自転車の左右に張って自立させてから、ハンドルにタープの一部を連結させて張る。

    海老根さんの自転車

    海老根さんの自転車は、自身がデザインしたPep cycles/NSのカスタムモデル。かさばる荷物は、フロントラックに装着したパニアバッグに。サドルバッグやフレームバッグ、ハンドルバッグに小物を振り分けている。

    大きな荷物は、フロントラックに装着した左右のパニアバッグに収納。重心が低くなるので、走りが安定する。この自転車はパーツを交換することで、マウンテンバイクのようにも、クロスバイクとしても、今回のような旅仕様にも組み替えられる。この日は乗り心地の良さやゆったりと走れることを重視して、少し太めのタイヤと変速機を装備したバージョンを選んだそう。フレームやバッグの色使いで遊ぶところも、デザイナーさんらしいポイントだ。

    自転車キャンパー・MOTOさんの場合

    MOTOさん

    岐阜県在住のMOTOさん。キャンプバイクのほかに、ファットバイクも所有する。

    普段から自走でソロキャンを楽しんでいるというMOTOさん。「岐阜県内のキャンプ場は、山中にあることが多いので、いつも坂と戦ってます(笑)」。

    MOTOさんの持ち物

    MOTOさんの装備

    MOTOさんの装備の総重量は約12.4kg。テントマットは、収納サイズよりも寝心地の良さを重視して、サーマレストをチョイス。

    「道具は好きな見た目で、許容できる重さのものを選んでいます。見た目と快適な居住空間が気にいっているというテント(モンベル/ムーンライト2の旧型)と、コンパクトなのに使いやすい焚き火台(ゼンピット)が、自分らしいかなと」。荷物は自転車全体に振り分けて積載。なにがなんでも軽く小さくというより、多少重く大きくても、自分が快適に使えて、愛着が沸くデザインなら、そんな道具をチョイスするそうだ。

    自転車の装備はこちら

    MOTOさんのテント

    室内に余裕があるので、濡らしたくない道具をしまえる。

    MOTOさんの愛車

    MOTOさんの愛車は、SURLYのクロスチェック。前後にしっかりとしたキャリアを装着。メインコンパートメントはリアのパニアバッグ2個。

    MOTOさんが乗るクロスチェックは、ラックや泥除けを装着できたり、幅45mmほどの太めのタイヤまで装着できる万能フレーム。フレームの周辺やフロントフォークの左右まで、スペースさえあれば余さず積載場所として利用している。後部に吊るした小さなタワシは「このタワシがあれば、洗剤を使わず洗い物をそこそこきれいにできるので便利ですよ」と。

    ライター山本の場合

    ライター山本修二

    本誌創刊2号の誌面にMTBに乗って登場している自転車好きのライター。名古屋市在住。普段は、のんびり景色をみながらサイクリングするのが好み。

    古くからの自転車仲間=海老根さんと、犬山市のサイクルショップWakkaさんに紹介していただいたMOTOさんを寒い2月の自転車キャンプに誘い出した張本人。キャンプ歴も40年以上になるので、古い道具を使いながら、少しずつ軽い物、便利な道具にアップデートしている。

    ライター山本の持ち物

    山本のキャンプ道具

    総重量は約8.2kg。寒い季節はシュラフや防寒品が重くかさばるため、テントを使わずタープにして約1㎏軽量化。大型のフロントバッグに小物を、サドルバッグにはチェア、ポール、ホットサンドメーカーなど長い道具を収納。

    普段は、使い慣れたソロテントを使用しているが、今回は装備を軽くするためDDタープとアルミポールを使ったタープキャンプスタイルで。チタンのコッヘルや176gのソロテーブルなど、UL系のギアも使うが、Gaobabuのグリルプレートやホットサンドメーカーなど、食を豊かにするための道具は、重さに関係なく持っていく。薄くて軽いピコグリル239やDDタープは、取材で話を聞いたイラストレーターのスズキサトルさんに強く影響を受けている。

    自転車の装備はこちら

    山本のタープテント

    DDタープをワンポールと2本のガイロープで張った。地面からの冷えを防ぐためアルミシート、インフレータブルのマットを使用。ペグはチタン製。この張り方は、入口も閉められる。

    山本の自転車

    18年近く乗り続けているSURLYのクロスチェック。MOTOさんとベースは同じフレーム。フロントに大型ラックと専用のバッグを装着し、ドサドサと積んでいる。ほかにバックパックも使用。

    チェア、ポール、ホットサンドメーカーなど、長さがあるものはサドルバッグに。シュラフなどの大きな道具や細かいギアは、容量の大きなフロントバッグに入れている。フレームバッグは、空気入れやパンク修理セット、工具、スペアチューブなど自転車系の荷物を収納。

    自転車キャンプの持ち物をセレクトするコツとは?

    (1)なにがなんでも軽くする必要はない

    コツは、必要な物、不要な物をしっかり考えて取捨選択すること。そのなかで、軽量、省スペースができるものは利用する。絶対的に必要な機能があるものは省かず、多少、大きかったり重くても妥協せずに持っていく。

    (2)豊かな時間を楽しむための道具は省かず持参する

    今回、3人に共通していたのが酒を飲むための器だ。それぞれが、こだわりのマイグラスを持参していた。理由は、キャンプの夜に飲む酒は、お気に入りのグラスで美味しく飲みたいから。

    (3)収納サイズが小さな焚き火台は自転車キャンプとの相性良し

    そして、3人揃ってコンパクトストーブのほかに焚き火台を持参していた。炎を利用して調理することはもちろん、暖を取り、焚き火を見ながら過ごす時間に重きを置くから。自転車旅は、感性を豊かにする。道中では景色の変化や風を感じ、キャンプ場に着いたら、炎を見て、なにか考えたりボーッとしたり。そんな時間を演出するのに焚き火と酒は欠かせない。

    海老根さんがデザインした五徳

    海老根さんがデザインした小さく折りたためるアルコールストーブ用の五徳。小さくて軽い。デザインがいいものは、旅を豊かにする。

    愛着のある装備を積んで、自転車キャンプに出かけよう

    自転車キャンプは、難しそうでそうでもない。思い切ってやってしまえばいい。自分の自転車に積めるだけの装備をセレクトし、途中で落下しないようにしっかり積んで、ゆっくりとペダルを踏んで出かけるだけ。荷物を積んだ分だけ、操作が難しくなったり、上り坂ではキツくなる。でも、自宅からクルマを使わず移動することで、大きな満足感を得られ、ときに冒険心を満たすこともできる。キャンプ場についてからの疲労感も悪いものではない。子供心に憧れた、自分の暮らす街を自力で抜け出しキャンプに出掛ける夢を忘れていなかったら、ぜひ、勇気をもって試してほしい。

    ※構成/山本修二 撮影/花岡凌 協力/Wakka、Pep cycles 

    (BE-PAL 2023年4月号をもとに大幅に加筆しました)

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