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便利な無水鍋にも欠点はある
無水鍋は、水を使わずに調理ができるため、素材本来の味わいを引き出せることがその魅力です。しかし、どんなに便利な道具でも、欠点や注意が必要な点が存在します。
購入してから「こんなはずじゃなかった!」と感じることのないよう、あらかじめ欠点とされる部分を理解しておきましょう。
重くて扱いにくい
無水鍋は鋳物であることが多く、一般的な鍋に比べて重さがあります。食材の重さも加わると片手で持ち上げにくくなるため、扱いが難しいと感じる人は多いかもしれません。
重さに慣れていないと、移動させる際に落としてしまう可能性があります。準備や後片付けの際には、両手で慎重に扱うことが大切です。
無水鍋の重量は、食材を効率的に調理するための厚みが原因です。火から下ろしても余熱で調理が進むため、ゆっくりと時間をかけてそのうま味を引き出していきます。
あらかじめ重さに対処する工夫をしておけば、無水鍋の利便性を最大限に引き出せるでしょう。
焦げ付きやすい
無水鍋を使った調理はほとんど水を入れないため、焦げ付きやすいという欠点があります。通常の鍋と同じ感覚で使うと、失敗しやすいでしょう。
また、鍋の厚みや素材によって、熱の伝わり方が異なります。薄い鍋は、熱されるスピードが速い分、焦げやすくなります。無水鍋は弱火から中火で調理するのが基本ですが、慣れるまでは弱火から始めて様子を見るのがおすすめです。
食材や調理方法による火加減をマスターすれば、焦げ付きなしでさまざまな調理を楽しめるようになるでしょう。
【素材別】無水鍋のメリット・デメリット
無水鍋は、素材により使い勝手や特性が異なるため、それぞれの素材のメリット・デメリットを理解することが重要です。アルミ鍋・ステンレス鍋・ホーロー鍋・土鍋について、詳しく解説します。
軽いが黒ずみやすい「アルミ鍋」
アルミ製無水鍋は、軽くて使いやすいので、普段の料理にぴったりです。持ち運びの負担が少なく、アウトドアにも便利に使えます。料理に使う前に、シーズニングをする必要もありません。
しかしアルミ鍋には、黒ずみや焦げ付きが起こりやすいという欠点があります。食材の酸や卵に含まれる成分と、アルミが反応しやすいためです。黒ずみ防止には、米のとぎ汁や野菜のくずを鍋で沸騰させ、内側に酸化皮膜を作る方法があります。
さらに、アルミは油がなじみにくいので、炒め物が得意ではありません。油を引いて鍋をよく加熱してから食材を入れれば、焦げ付きを抑えやすくなるでしょう。
丈夫だが熱が伝わりにくい「ステンレス鍋」
ステンレス製の無水調理鍋は、サビや酸、アルカリに強いことが特徴です。一度温まると冷めにくく、カレーやシチューなど、長時間煮込む料理に向いています。さらに、料理を作った後そのまま鍋に保存しておけます。
シーズニングは必要ありませんが、初めて使うときは表面に油分が付着していることがあるため、台所用中性洗剤とスポンジでよく洗っておきましょう。
ただし、熱伝導率が低い点はデメリットといえます。素早く鍋を熱して料理をしたい人は、素材にアルミが含まれているものを選ぶのがおすすめです。
煮込みが得意だがサビに注意「ホーロー鍋」
ホーロー鍋とは、鉄でできた鍋の表面に、ツルツルしたガラスのコーティングが施された鍋のことです。このコーティングが剥がれないよう、大事に手入れすることで長く使えます。
新品のホーロー鍋には、シーズニングという作業が必要です。表面をきれいに洗って乾かした後、キッチンペーパーで鍋の表面に油を塗ります。弱火で油をなじませてから火を止め、油を拭き取ったら準備完了です。
温まるのに少し時間はかかりますが、一度温まると冷めにくい点から、煮込み料理に向いています。ただし、衝撃に弱く割れやすいため、落とさないよう注意が必要です。
蓄熱性抜群だが割れに注意「土鍋」
土鍋には熱伝導率の低い素材が使われており、遠赤外線による効果で食材の芯からしっかりと火が通って、うま味が引き出されるのが特徴です。
蓄熱性と保温性に優れているため、煮込み料理や予熱調理に向いています。お米もふっくら炊けるため、土鍋ご飯を楽しみたい人にもおすすめです。
『萬古焼』や『伊賀焼』など素材となる土はさまざまですが、いずれも温度差や衝撃に弱いという欠点があるため、落としたりぶつけたりしないよう慎重に取り扱う必要があります。
また、使い始めには『目止め』という準備が必要です。土鍋を洗い、8分目くらいまでのかさのおかゆを作ります。冷めてからおかゆを取り出して洗い、完全に乾かしたら準備完了です。
無水鍋でおいしく調理するコツ
無水鍋は密閉性が高く、食材自身の水分を活用することで、素材本来のうま味を引き出します。無水鍋の性能を最大限に生かすため、以下の三つのポイントを押さえておきましょう。
弱火と余熱調理が基本
まず、食材を入れる前に、中火で鍋をしっかり温めておくことが大切です。これを『予熱』といいます。鍋に水を少し垂らしてみて、水の玉がコロコロと転がれば、ちょうどよい温かさになっています。
食材を入れたら、中火もしくは弱火で熱しましょう。無水鍋は熱が伝わりやすいので、強火だと焦げてしまうことがあります。
蒸気が出て、ふたが簡単にクルクルと回るようになったら、とろ火にしましょう。ふたがクルリと回れば、ふたと鍋の間に水の膜『ウォーターシール』ができたことを意味します。
ウォーターシールのおかげで、鍋の中の温度と圧力が一定になり、弱火や予熱でじっくり調理することが可能になります。
野菜の水分量や入れる順番に注意
おいしい重ね煮を作るためには、水分の多い野菜をお鍋の底に入れるのがポイントです。順番は、きのこ類を一番下に置き、肉や魚は一番上にします。
- きのこ類
- 海藻類
- 葉物野菜
- 実物野菜
- 根菜
- 肉や魚
固い野菜を使うときは、少しだけお水を入れましょう。これで野菜の栄養を逃がさず、しっかりとおいしい味になります。
例えば、ごぼう・にんじん・じゃがいもを使うなら、お鍋に50〜100mLくらいの水を入れます。使う野菜の種類・量・大きさによって、水の量や煮る時間を調整しましょう。
クッキングシートを敷く
温野菜など水分の少ない野菜を無水調理するときは、鍋に水を大さじ2杯ほど入れるのがコツですが、最初のうちは火加減が難しいかもしれません。
その場合は、水を入れた鍋の底にクッキングシートを敷いてみましょう。焼き芋や焼きナスなど焦げ付きやすい料理でも、失敗しにくくなります。
野菜が直接鍋に触れないため、焦げ付きを防ぐだけでなく、調理後のお手入れも楽になります。
【アルミ製】おすすめの無水鍋
アルミ製の無水鍋は、軽量で持ち運びが簡単なため、アウトドアでの料理にもぴったりです。ここでは、おすすめのアルミ製無水鍋を2点紹介します。
HALムスイ「KING無水鍋(R)20」
1953年に生まれた『無水鍋』を、現代風にアレンジした無水鍋です。ふたも単独で調理器具になるため、1個で2種類の調理をこなすことも可能です。
昔ながらの『羽釜』がモデルになっていて、粒の立ったもちもちのご飯が炊けます。熱伝導率の高いアルミでできているため、食事作りを時短したい人にぴったりです。
炊く・蒸す・焼く・揚げるなど、8通りもの使い方ができる万能さもおすすめのポイントです。収納スペースを節約しつつ、料理のレパートリーを増やしていけるでしょう。
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- 商品名:HALムスイ「KING無水鍋(R)20」
- 公式オンラインストア:商品はこちら
HALムスイ
KING無水鍋(R)20
サイズ:内径20cm×27.4×高さ12.0cm 本体深さ:7.8cm 重量:約1.59kg
アイリスオーヤマ「無加水鍋 24cm 深型」
セラミックコーティングが施された、軽量かつ丈夫なアルミダイキャスト製の無水鍋です。焼く・煮る・蒸すなど、さまざまな調理方法を楽しめます。
ガス・IH・オーブンなど対応する熱源が幅広く、オールマイティーに活躍するでしょう。コーティングのおかげで汚れがすぐ落ちて、お手入れも簡単です。
デザインもかわいく、イエローのほかにレッドやグリーンなど全6色があり、キッチンを明るくしてくれます。レシピブックも付いてくるので、無水鍋を初めて使う人も安心です。
- 商品名:アイリスオーヤマ「無加水鍋 24cm 深型」
- 公式オンラインストア:商品はこちら
【ステンレス製】おすすめの無水鍋
ステンレス製の無水鍋は、耐久性とお手入れのしやすさから、アウトドアでも自宅でも大活躍するアイテムです。おすすめのステンレス無水鍋を2点紹介するので、機能を比較してみましょう。
ビタクラフト「ヒューストン 両手ナベ 4.0L」
公式ショップだけで買える、オールステンレスの無水鍋です。本体やふたはツヤ消し仕様で、つまみとハンドルはピカピカです。見た目に清潔感があり、キッチンが引き締まります。
アルミを重ねた多層構造で、すぐに温まり、冷めにくいのが特徴です。熱伝導率が高く保温性に優れているため、肉の脂のみで調理する無油調理も可能です。
揚げ物に使う油の量も少なく、カリっとした食感はそのままに、ヘルシーに仕上がります。ふたのフチには折り返しがないので洗いやすく、片付けの際にもストレスを感じません。
- 商品名:ビタクラフト「ヒューストン 両手ナベ 4.0L」
- 公式オンラインストア:商品はこちら
フィスラー「サンフランシスコ シチューポット」
オールステンレスでできているので、オーブンでも使うことができる無水鍋です。劣化しにくくサビにくいため、いつまでも新品のような美しさをキープできます。
全ての熱源に対応しており、家ではIH、アウトドアではガス火など、どこでも使えて便利です。熱を均一に早く伝えることができるので、エネルギー効率も抜群です。
鍋の内部には、調理に便利な目盛りが付いています。分量を把握しやすく、いつでも同じ味付けの料理を作れるでしょう。
鍋のフチはどの方向から注いでも液ダレしにくい設計になっているため、キッチンを汚さずに安心して使えます。
- 商品名:フィスラー「サンフランシスコ シチューポット」
- 公式オンラインストア:商品はこちら
【ホーロー製】おすすめの無水鍋
ホーロー製の無水鍋は、優れた保温性と耐久性だけではなく、美しいデザインもポイントです。ここでは、人気のホーロー製無水鍋を3点紹介します。
ル・クルーゼ「シグニチャー ココット・ロンド」
ル・クルーゼを代表する定番デザインで、いつもの料理を特別にしてくれる無水鍋です。見た目がとてもおしゃれなだけでなく、使いやすいところが魅力です。
熱がしっかりと均一に伝わるので、食材をじっくり煮込むと、甘味やうま味がぐっとアップします。保温性にも優れているため、料理が冷めにくく、いつまでもおいしい状態が続きます。
サイズ・カラーバリエーションが豊富で、ギフトとしても人気です。なお、炊飯に使いたい場合は、炊きムラの少ない直系22cm以下の無水鍋を選ぶことをおすすめします。
- 商品名:ル・クルーゼ「シグニチャー ココット・ロンド」
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ストウブ「ピコ・ココット」
フランスの伝統的な技術を用いて、一つ一つ丁寧に作られる無水鍋です。最大の特徴は、ふたの裏に付けられた突起『ピコ』です。
鍋の中で蒸発した水分は、ピコを伝って食材にまんべんなく行き渡ります。水分が鍋の中で循環することで、料理の香りや味をしっかりと閉じ込められます。
また、鍋内部のざらざらしたコーティングも特徴の一つです。細かな凹凸を持たせることで表面積が増え、油がなじみやすくなります。食材が鍋にくっつきにくくなるので、お手入れも楽に感じるでしょう。
- 商品名:ストウブ「ピコ・ココット」
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ストウブ
ピコ・ココット
サイズ:(幅×奥行×高さ)285×220×150mm フタを除く高さ:99mm 底の直径:171mm 重量:3.9kg
バーミキュラ「オーブンポット 2 22cm セルフスタンディングリッド」
バーミキュラといえば、高い密閉性が魅力です。熱効率も高く、1滴の水も使わない無水カレーが約45分ででき上がります。
『オーブンポット 2』の注目すべき新機能は、焼き付けと無水調理ができる『無水ベイク』です。シンプルな調理で、いつもの野菜が極上の料理に変身します。
また、軽量化にも成功し、22cm鍋は約4.2kgから約2.9kgへ、1.3kgも軽くなりました。従来のバーミキュラを知っている人は、その軽さに驚くかもしれません。
瞬間蒸発技術により、炒め物や焼き物を一層おいしく仕上げられるので、さまざまな料理に挑戦したくなるでしょう。
- 商品名:バーミキュラ「オーブンポット 2 22cm セルフスタンディングリッド」
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バーミキュラ
オーブンポット 2 22cm セルフスタンディングリッド
サイズ:幅(取手含)29.6cm×高さ(フタ含)16.7cm×深さ9.8cm 重量:4.2kg
【土鍋】おすすめの無水鍋
土鍋は、その深い味わいと柔らかい仕上がりを生かして、さまざまな料理に活用されています。家庭でも本格的な料理を手軽に楽しめる、おすすめの無水土鍋を紹介します。
長谷園「ロースト土鍋」
伊賀の粗土を使った、和の雰囲気が魅力の無水鍋です。蓄熱性に優れ、遠赤外線効果により食材の芯まで均一に火を通せます。うま味が凝縮された濃厚な味わいになり、料理の腕が上がったような気分になるでしょう。
煮込み料理はもちろん、空焚きが可能なことからロースト・焼く・炒めるといった多様な調理もできます。付属の網を使えば、あぶり料理に使うことも可能です。
ダッチオーブンとして使えるため、アウトドアシーンでも大活躍します。鍋を囲んで、味わいのある家族団らんの時間を過ごせるでしょう。
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- 商品名:長谷園「ロースト土鍋」
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まとめ
無水鍋は、料理を簡単においしく仕上げることができる便利な道具ですが、選び方にはいくつかのポイントがあります。素材によって特徴が異なるため、それぞれの欠点を把握しておくことが大切です。
調理にもコツがあり、慣れないうちは焦げ付かせることもあるかもしれません。火加減や食材の水分を生かす方法を意識すると、失敗しにくくなります。
アウトドアシーンでも活用しやすいため、無水鍋を取り入れるとキャンプ飯のレパートリーも増えるでしょう。ライフスタイルに合った無水鍋を選び、日々の料理をさらに楽しいものにしてみてはいかがでしょうか。