オーストリア公認ハイキングガイドが教えてくれた「チロル地方」のハイキングが魅力的すぎたっ | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2024.04.03

    オーストリア公認ハイキングガイドが教えてくれた「チロル地方」のハイキングが魅力的すぎたっ

    ハイキングって、海外だろうが自然の中を歩くことには変わりないでしょ?というなかれ。もちろんその趣旨は変わりませんが(国内でも!)、その土地ならではの景色、空気などは、そこでしか味わえないもの。

    今回筆者が推したいエリアはチロル州。というのも、日本人初のオーストリア公認ハイキングガイドとなり、長年同地で活動されている沼 岳央さんから、チロルのあれこれを伺ううちに、すっかり魅了されてしまったからなのです。

    チロル州の魅力

    チロル州は、オーストリアとイタリアにまたがるアルプス山脈の東部に位置し、ほぼ全域が山地。雄大なアルプスの山々には、真っ白い絨毯のように咲き誇るエーデルワイス、草をはむ牛の姿など牧歌的な光景が広がる…かと思えば、間近に迫る氷河や、同エリア最大の落差を誇る滝、シュトゥイベンファル(Stuibenfall)のダイナミックな眺めが望めたりと、大自然の様々な顔を見ることができるのです!

    チロル州在住歴30年、スキーインストラクターやマウンテンバイクインストラクターなどの国家資格も持ち、チロルの楽しみ方を知り尽くす沼さんに、チロルハイキングの極意を伝授してもらいましょう。

    魅力その1・初心者から上級者まで様々なハイキングコースがある

    オーストリア最高峰グロースグロックナー(Grossglockner : 標高3798m)をはじめとする多数の山があり、それぞれ様々なハイキングコースを有しているのが自慢。ハイキングマップやコース上の標識には、青色は初級者、赤色は中級者、黒色は上級者向けと、色分けしてハイキングコースが示されており、標準コースタイムまでしっかり表記。しかも標識や赤×白のペンキで塗られた目印は、コース上で途切れないように配されているので、それを目安に歩くことができるのです。入山に際して届け出の必要はありませんが、ハイキングに適した靴を履くなど、標準装備だけはお忘れなく。

    看板自体が矢印となって方向を示している。緑の自然に映える黄色い看板が見やすい!

    目印は、オーストリアの国旗を模しているわけではなく、霧の中でも見やすい赤、暗闇で目立つ白色が使われている。岩や木にしっかりペイント。

    チロルエキスパートの沼さんがオススメするのは、古都インスブルック(Innsbruck)から電車で約40分ほどの町・ゼーフェルト(Seefeld)から出発するコース。中級者向けは、ケーブルカーとロープウェイを乗り継いで、カーヴェンデルアルプスの山、ゼーフェルダー・シュピッツェ(Seefelder Spitze : 標高2221m)を目指します。

    ゴンドラの降り口から頂上までの標高差はおよそ160m。休憩も含めてのんびり40分も歩けば、もうそこは頂上!ドイツ最高峰のツークシュピッツェ(Zugspitze)など荘厳たる山並みをぐるりと望むことができます。

    ケーブルカーからの眺めも爽快!険しそうな山とのどかな牛の姿、コントラストが効いてます。

    頂上までの稜線、景色を堪能しながら一歩一歩踏みしめていくのがまた格別。一見なだらかに見えるけれど、滑りやすい箇所や急斜面もあるので気をつけて!

    魅力その2・チロル最大の滝シュトゥイベンファルなど、ハイライト多し!

    ゴンドラに乗ってお手軽に絶景を楽しむ…など、ガシガシ歩かなくとも、自然に触れられるハイライトがたくさん!

    例えば、インスブルックの7km南に位置する山パトシャーコフェル(Patscherkofel)のゴンドラに乗れば、標高1965mまで連れて行ってくれ、眼下には美しいインスブルックの街並みやのどかな村々が広がります。

    パトシャーコフェルバーン(Patscherkofelbahn)。ゴンドラからの眺めもすでに最高。

    そして、もう一つ絶対紹介したいのが、落差159mでチロル州最大の滝、シュトゥイベンファル(Stuibenfall)。

    最大で毎秒2000リットルもの水が、勢いよく滝壺に流れ落ちていくさまは圧巻の一言。しかもここ、滝に沿って階段と吊り橋が備え付けられており、なんと滝の真横を歩くことができちゃうんです。

    滝の上から下まで普通に歩けば1時間ほどで、階段には鉄の柵がついているので子供連れでも全然オーケー。ゆらゆら揺れる吊り橋のスリルを味わい、水しぶきを浴びながら、ダイナミックな滝の流れを堪能してください!

    滝の上部、左手には展望台が。ここでクライミングする人もいます。迫力満点!

    展望台からのショット。氷河の雪解け水も加わる5、6月は、これよりも水量がさらに増える。

    ちなみにこの滝の下には、「エッツィ・ドルフ(Ötzi dorf)」というテーマパークがあります。この周辺のアルプス氷河の中から、1991年、男性のミイラ(エッツィ)が発見! 約5300年前、そのエッツィがどのような生活を送っていたかを体験できるテーマパークとなっており、子供たちに大人気です。合わせて覗いてみては?

    Ötzi dorf

    https://www.oetzi-dorf.at

     魅力その3・ハイキングのお楽しみ、山小屋ご飯

    ハイキングといえばお弁当のイメージですが、オーストリアでは山小屋ご飯がポピュラー。山の新鮮な空気に包まれながら、温かい料理を味わえるなんて、なんたる贅沢!ハイキングの途中に寄るだけでなく、山小屋から山小屋を渡り歩く人、山小屋ご飯だけを目当てに来る人もいて、山小屋ご飯の浸透ぶりが伺えます。

     さて、どんなメニューが食べられるかといえば、ほとんどが伝統的なオーストリア料理。バリエーションが豊富だったり、街なかのレストランよりクオリティーが高かったり、メニューは少なくても素朴な美味しさがウリだったり、それぞれ趣は異なるので、いろんなところで試したくなってしまいます。

    フリッターテンズッペ(Frittatensuppe)。パンケーキを薄くして刻んだものを具材としたコンソメスープ。

    チロラー・グレーステル(Tiroler Gröstl)は、グリルしたジャガイモとお肉の上に目玉焼きを乗せたフライパン料理。お店によってお肉の種類は変わるけれど、チロル伝統といえばヤギの肉を使うこと。さらに、普通の油ではなく、ブッターシュマルツ(澄ましバター)で炒めたものは抜群の味わい。

    ウィーン風カツレツと言われるヴィーナー・シュニッツェル(Wiener Schnitzel)ですが、チロルでもよく食されています。酸味や塩気のあるお肉に、コケモモのジャムの甘さがぴったりマッチ。

    山小屋のイメージそのまんまの佇まい!ここでは食事やトイレ休憩ができるほか、地元品の物販もしており山小屋の機能は果たしていますが、実際は、アルムと呼ばれる高原牧場。夏季のみの営業です。山小屋によって、宿泊施設があったり、開業期間が異なったりするので、事前にホームページなどでチェックしましょう。

    夏の3ヶ月間、高原牧場では、ウシやウマ、ヒツジ、ヤギなどが放牧されています。ほのぼのとした光景に心が癒されそう。

     魅力その4・四季折々の楽しみがある!

     チロルハイキングは季節を選びません!春夏秋冬それぞれの楽しみ方があるんです。

    まずは春。まだ雪崩の危険性のある高所は避けて、標高の低いところを散策しましょう。4月終わり、5月頃になると、リンドウやキンポウゲ、イワカガミ、サクラソウなどの高山植物に出会えます。

    キンポウゲ。春から夏の花。

    リンドウ。春から夏の花。

    エーデルワイス。夏の花。

     標高の高い山を目指したいなら夏。

    峰から峰への縦走コースも日照時間が長い夏山ならではの楽しみ。岩場があったり、難しい箇所もあるけれど、上の写真のように雪解け水が流れ込んだ美しい風景を目の当たりにしたり、山と空の近い感覚を味わえます。夏の高山植物は、赤やピンク、黄色など、カラフルな色あいで元気をもらえそう。

    じつは一番ハイキングに適しているのが秋。

    日照時間は夏の方が長いけれど、夕立の可能性が低いなど天気が安定しているため、一日が長く使えるのです。涼しいので疲れにくいのもグッド。また、写真のように、オレンジ色に染まったカラマツの黄葉を堪能できるスポットもあります。

    これぞ雪山の景色!とばかりに、山小屋の屋根には雪がどっさり。そんなチロルの冬をたっぷり満喫するなら、スノーシューを履いて山歩きはいかが?狩猟協会が管理している鹿のエサ場を見に行けば、運よく鹿が食事する場面に遭遇するかも?!

    魅力その5・山頂から360度のパノラマを望める!

     やはりチロルの一番の魅力といえばこれ。視界を遮るものが少ないため、ほとんどの山の頂上から360度の大パノラマを楽しめること!絶景を眺めながら、ここまで来たという達成感に浸れば、疲れも一気に吹っ飛びそう。オーストリアの山頂には大体十字架が設置されており、そこにはギプフェルブーフ(Gipfelbuch)という記帳ノートがついています。日付や名前、コメントなどを書いて、記念に残すのも素敵ですね。

    360度のパノラマを求めて、ゼーフェルダー・シュピッツェの山頂を目指す。

     お話&写真提供してくれたのは、オーストリア公認ハイキングガイドの沼 岳央さん(先頭)。

    94年にオーストリアに渡り、スキーインストラクター、マウンテンバイクインストラクターなど様々な国家検定資格を取得。チロル愛に溢れ、常々アップデートされた情報を盛り込んだガイドが評判です。個人やグループなど、それぞれのオーダーに合わせたツアーを企画してくれます。

    E-Mail : ski_stubai@yahoo.co.jp

    チロルで遊ぶ〜Takeo`s life in Tirol〜

    https://www.facebook.com/p/%E3%83%81%E3%83%AD%E3%83%AB%E3%81%A7%E9%81%8A%E3%81%B6-Takeos-life-in-Tirol–100057621962057/?_rdr

    私が書きました!
    ドイツ在住ライター(海外書き人クラブ)
    大越理恵

    編集プロダクション勤務を経て、1996年よりフリーライターとなり、情報誌や単行本の取材・ライティングを担当。2007年、ドイツ・フランクフルトに拠点を移してからは、生活に密着したドイツ情報、自分の好きなドイツのモノゴト(カフェ、パン、子育てetc…)を発信するほか、ドイツで活躍する日本人のインタビューを行う。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」(https://www.kaigaikakibito.com/)会員

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