2023年「中秋の名月」は9月29日!今年は正真正銘の満月が見られる!?
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    2023.09.28

    2023年「中秋の名月」は9月29日!今年は正真正銘の満月が見られる!?

    今年の「中秋の名月」は9月29日

    中秋の名月は満月とは限らない!?

    今年の929日は中秋の名月です。

    中秋の名月は、旧暦8月の十五夜のことです。十五夜というくらいですから当然、満月と思われる方が多いでしょう。実は、中秋の名月は必ずしも満月とは限りません。

    旧暦は月の動きに合わせた暦で、新月の日が「一日」(ついたち)です。新月は、地球から見ることはできません。それから15日目が十五夜ということになります。

    今年は915日が旧暦の81日。新月です。それから15日目の929日が中秋の名月です。29日の1858分に月は太陽と正反対の位置となり、晴れて満月を向かえます。

    中秋の名月が満月にならない年はたびたびあり、決して珍しいことではありません。ちなみに昨年の中秋の名月は満月でしたが、来年は満月ではありません。

    これは月が地球を一周する時間が一定ではないことが原因です。月はおよそ29日かけて地球のまわりを一周しますが、毎回ぴったり同じ周期ではありません。また、月の軌道やスピードも、太陽や地球の影響を受けて、いつも同じというわけではありません。

    すると、どういうことが起こるでしょうか? 

    わかりやすい例を挙げます。たとえば、01分に新月になる年もあれば、2359分に新月になる年もあります。どちらの場合も旧暦では一日(ついたち)になります。実際には、月の大きさは約1日分、違うわけです。

    それでも旧暦では新月になった瞬間が一日(ついたち)であり、そこから数えて15日目が十五夜であることは変わりません。そのため、旧暦81日の遅い時間に新月を迎えた年は、16日目まで満月にならないこともあります。この場合、十五夜の月はまだ満ちきっておらず、満月よりも欠けているわけです。

    十五夜と満月のズレは数え年と実年齢の違いのようなもの

    ちょっとしたことですが、ふだんから月を観察していると、「あれ?今年の中秋の名月はちょっと欠けて見えるな」と気づくことができるかもしれません。 

    中には、それなら正真正銘の満月になる晩を中秋の名月にすればいいのに、と思う人もいるでしょう。が、中秋の名月はあくまで旧暦時代の行事。涼やかな夜に秋の実りを願いながら、団子やご馳走(地域により食べるものはさまざま)を楽しむお祭りの日です。

    十五夜と満月のちょっとしたズレは、人の「数え年」と「年齢」の違いに似ています。

    昔の人は生まれた年を「1歳」と数えましたが、今では「0歳」です。月の大きさの数え方も、旧暦では新月の日が「一日」(ついたち)ですが、現在では月齢という指標があり、「月齢0」と数えます。年齢も、月も、昔はゼロを使わず1とカウントしたのです。

    今年は9291858分に満月を迎えます。ちょうど薄明も終わり、月も東の空低いところで存在感を見せている時間帯です。

    満月の光る筋「光条」を観察してみよう

    まん丸の月に餅つきウサギさん。月見をしている分には満月は風流なのですが、あまりクレーター観察には向いていません。何しろ全面的に照らされているので影が出にくいのです。

    満月のとき、注目していただきたいのは、クレーターから伸びる光の筋です。「光条(こうじょう)」といいます。代表的な光条は、月の下の方にある「ティコ」と、ウサギのお腹のあたりにある「コペルニクス」です。

    満月の表面。ひときわ明るい光条を発しているのがティコとコペルニクスのクレーター。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    クレーターには天文学者の名前がつけられています。

    「ティコ」は、「ケプラーの法則」を導き出す元になった天体観測データの観測者として知られる天文学者ティコ・ブラーエの「ティコ」です。

    コペルニクスは地動説を発表した天文学者です。どちらも天文学の歴史に大きな足跡を残しました。中秋の名月は月を愛でつつ、光り輝く光条に双眼鏡を向けて天文学者たちの功績を振り返ってみるのも一興です。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」が好評発売中。

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