
8月の上旬から、夜明け前の東の空で金星と木星の共演が楽しめます。だんだん金星が木星に近づいてきて、最接近は8月12日です。
全天で1番目と2番目に明るい星
金星と木星の接近自体は毎年のように起こりますが、多くの場合は太陽の近くにいます。2つの惑星がある程度太陽から離れたところで接近し、夕方か明け方に見られるのは、数年に一度の頻度になります。

今回接近中の金星と木星は2時半過ぎに昇って来ますが、高度が10度くらいまで上がってくるのは3時過ぎ。薄明が3時半頃から始まるので、その少し前が一番の見ごろです。この時、金星はマイナス4等級、木星はマイナス2等級です。ちなみに全天で一番明るい恒星のシリウスはマイナス1等級 。金星、木星の圧勝です。これほど明るい星が1度未満に近づいたとき、果たしてどのように見えるのか、楽しみです。
双眼鏡で見ると視野にすっぽり収まります。望遠鏡の場合、低倍率のレンズなら金星と木星を同時に観察でき、空の条件次第ですがガリレオ衛星も見えるかもしれません。
最接近は8月12日ですが、たとえば8月10日は木星が金星よりも低いところにあります。最接近から1週間後の19日には木星の方が金星よりも高い位置にあります。毎日早起きできるのは夏のいいところ。12日の前後1週間くらい、木星と金星の動きを観察してみてはいかがでしょうか。


木星の位置はふたご座の中にあって変わりません。金星が猛スピードで動いているのが観察できます。
真夏の夜明け前、冬のオリオン座が昇ってくる
真夏の夜明け前は冬の星座が楽しめる時間帯です。金星と木星が位置するふたご座のひとあし先に冬の王者オリオン座が昇って来ます。夜中の3時ともなれば多少は涼しいでしょう。冬の星座にしばし秋を感じられるかもしれません。
また、8月13日にペルセウス座流星群のピークを迎えます。今年は近くに月があり、条件はよくありません。それでも月の光を見ないように空を観察していると、もしかしたら流星が見られるかもしれません。ペルセウス座流星群はピークを過ぎても流星が見られる息の長い流星群でもあります。
冬の星座たちと金星と木星の共演、ペルセウス座流星群が見られたら、それはラッキー。見られなくても金星と木星の強烈な輝きはきっと記憶に残ることでしょう。
構成/佐藤恵菜