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    2025.07.27

    夏休みの自由研究テーマにできる!流星群、変光星、プレアデス星団食の観察方法

    夏休みの自由研究テーマにできる!流星群、変光星、プレアデス星団食の観察方法
    夏の夜空は見どころいっぱい。子供たちの自由研究テーマにもおすすめの天文現象をご紹介します。

    キャンプや登山など、いつもより暗い場所に出かけたときには忘れずに夜空を見上げてみましょう。きっと初めての星と出会えるでしょう。この夏をあなたの宇宙が広がる夏に!

    やぎ座、みずがめ座、ペルセウス座、夏は流星群がいっぱい!

    7月から8月にかけて流星群がいくつも到来します。

    7月半ばから「やぎ座α(アルファ)流星群」と、「みずがめ座δ(デルタ)南流星群」が始まっています。どちらも秋の星座ですね。

    みずがめ座δ南流星群というのは、みずがめ座のδ(デルタ)星の近くに放射点(流星が飛び出してくる天球上の点)があります。みずがめ座には5月にも「みずがめ座η(イータ)流星群」があり、それと区別するために放射点の近くにある星の名前がついています。

    さらに、同じ時期に出現する流星群で、放射点が少しだけ北にある「みずがめ座δ北流星群」があるため、名前に「南」とついています。ただ、北群の方は出現数がはるかに少ないため、南群だけを指して「みずがめ座δ流星群」と呼ぶこともあります。

    みずがめ座δ南流星群とやぎ座α流星群の放射点。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    出現期間は、やぎ座α(アルファ)流星群は7月半ば〜8月24日、みずがめ座δ南流星群は7月半ばから8月19日。どちらも長期間に及ぶのが特徴ですが、いずれもピークは31日です。

    31日の21時には両方の放射点が東の空に昇っていますが、この日は西の空に22時まで月が残ります。また、放射点が高くなるほど流れる流星が増えるので観察は23時以降がいいでしょう。できればこの日は夜更かしをしたいところです。

    次に、ペルセウス流星群です。3大流星群のひとつで、毎年7月下旬から8月半ばにかけて、こちらも長期間、楽しめる有名な流星群です。

    8月13日2時ごろ。ペルセウス流星群の放射点が高く昇っている。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    ピークは8月13日の午前5時。ただし今年は近くに月齢19の月が出ているので、月明かりがかなりジャマになります。ピーク前後の日も満月前後と重なるため、あまり大きな期待はできません。

    一方、7月の下旬、25日が新月ですから、やぎ座α流星群やみずがめ座δ南流星群のピーク時は月明かりがなく観察条件はいいです。

    とはいえ、本来の出現数はペルセウス座流星群の方がはるかに多いことを考えると、これだけの悪条件でも7月31日よりも8月13日の方がたくさん流星が見られる可能性があります。実際にどうなるかは、是非両方を見比べて自由研究のネタにしてください。

    流星群の記録は録音で。星座アプリも利用しよう

    自由研究のテーマにするなら記録をつけてみましょう。

    流星が「いつ」「どこからどこへ流れたか」「どれくらいの明るさか」を、自分の声で録音するのがいちばん簡単です。スマホのレコーダーが使えます。余裕があれば、流星の長さや、流れたときの速さなど、気づいた点も録音しましょう。観察者が複数人いれば、より詳しく記録できます。

    流れた場所の記録は、星座や大きな星を指標にするといいでしょう。たとえば、「ペガスス座の頭からアンドロメダ座の足の方向」とか「(こと座)ベガから(わし座)アルタイルのあたりまで」など。

    この場合、星座や星の名前が頭に入っていることが前提になりますが、そうでなければ星座アプリや星座早見盤などを手元に置いて参照しましょう。スマホやタブレットを見るときは目がくらまないように画面の照度を下げる、ナイトモードにするなどしてください。

    ちなみに、いちばん客観的に記録できる方法はカメラを夜空に向けておくことです。シャッターを開きっぱなしにして軌跡を残す手もありますが、動画で撮影できれば出現時刻も正確に残せます。ただ、かなり高性能なカメラが必要になります。スマホのカメラでは不十分でしょう。

    次に、録音記録を星図に落とし込みます。図に書き込むことで、その流星がどの流星群のものかわかります。流れた方向を逆に辿っていくと、流星群の放射点にたどり着くからです。やぎ座、みずがめ座、ペルセウス座のどの放射点にもたどりつかなかった流星は一般的な流星です。散在流星といいます。

    7月下旬から8月半ばにかけて、やぎ座α流星群、みずがめ座δ南流星群、ペルセウス流星群と3つが重なる流星群シーズン。夜中に夜空を見上げていれば、どれかの流星群に遭遇するチャンスは高いです。

    毎日30分でも1時間でもいいので、続けて観察してみると面白いと思います。どの日にどの流星群が活発だったか。明るい流星が多かったかなどが記録できます。慣れると記録の付け方も上手になっていきます。さらに毎年続けると、かなり有用な観察データができるでしょう。以下の星図をダウンロードして活用してください。

    今年はどこまで明るくなるか? 変光星「はくちょう座χ」の明るさ観察

    夏の夜空をはばたくはくちょう座。その長い首の途中にあるχ(カイ)星は、ほぼ一年周期で明るさが変わる変光星です。今年は8月下旬に、いちばん明るくなる(極大)時期を迎えます。

    χは刻々と明るさを変えますが、7月半ば現在で7等級ほど。極大時で3等星くらいまで明るくなることがあります。こうなると肉眼でも、白鳥の首の形が少し変わって見えるかもしれません。でも、実際にどれだけ明るくなるかは、その時になってみないとわかりません。変光星観察の面白いところです。昨年は極大で4.5等級ほどでした。

    観察には双眼鏡を使って、χの周りの星の明るさと比べて記録をつけます。たとえば、近くにある6.4等級の星を基準にして、これと比べてどれくらい明るいか暗いかを記録します。

    はくちょう座χと、その周辺の星の等級。64は6.4等級を示す。双眼鏡で周りの星の明るさと比べてみよう。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    その日の天気や雲のかかり方、大気の具合などによって、星の見え方は微妙に違います。そのため、日によって明るく見えたり暗く見えたりするので、あくまでも基準にした星と比べる相対評価を記録しましょう。

    8月下旬、何日かはわかりませんが、どこかでピークが訪れ、その後はまた暗くなっていきます。χがいつ、何等級くらいまで明るくなったのか見届けましょう。

    月の暗い所から次々と現れるプレアデス星団の星々を目撃しよう

    今年はプレアデス星団(すばる)が月に隠されるプレアデス星団食が4回も起こる当たり年です。その2回目が8月16日の深夜から17日未明にかけて起きます。

    おうし座は冬の星座なので、東京では夜中の23時ごろになって昇って来ます。この時点で、すでにプレアデス星団食は始まっていて、プレアデス星団のいくつかの星は隠された状態で昇って来ます。東京で見られる十分な高さまで上がってくるのは17日に日付が変わる頃です。

    双眼鏡を三脚に据えて観察しましょう。月齢22の下弦の月の欠けた方から次々とプレアデス星団の星が現われます。暗いところから星の光が現れる瞬間が目撃できるはずです。

    星の隠れ方、特に出現する時刻は、観測地によって異なります。出現時刻をできるだけ正確に記録して、予報やシミュレーションと比べてみると面白いでしょう。個人的に好きな楽しみ方は、SNSでプレアデス星団食を観察している人たちのリアルタイムの投稿を眺めることです。同じ星の月への潜入や出現でも結構時間差があり、日本列島の広大さを実感できます。

    プレアデス星団食が終わってからあらためてプレアデス星団を観察してみましょう。空の暗さによりますが、双眼鏡なら20個以上見えると思います。次回のプレアデス星団食は11月6日〜7日、次々回は12月31日に起こります。

    星の現われ方や隠れ方は毎回違うので、継続して観察してみると興味の幅がグッと広がるでしょう。この夏、子どもといっしょに夜空に双眼鏡を向けてみませんか? 

    構成/佐藤恵菜

    星空案内人 廣瀬匠さん

    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」が好評発売中。

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