オーストリアの春の味覚「ベアラウホ」とは?ウィーンの森で野草摘みハイキング | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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    2023.04.04

    オーストリアの春の味覚「ベアラウホ」とは?ウィーンの森で野草摘みハイキング

    日本は美しい四季があり、1年を通してそれぞれの季節の旬の食べ物に恵まれていますが、オーストリアにも季節ごとに旬の食べ物が存在します。

    ウィーンの春を代表する旬の食べ物といえば、日本ではラムソンやクマニラという名で知られているベアラウホ(Bärlauch)。

    春になると生えてくる野草で、ヨーロッパでは春の食材としてよく食べられています。ウィーンでは、ウィーンの森や市内の大きな公園などで自生していて、地元の人は時期になると自分たちのお気に入りの場所に摘みに行って自宅で調理することも。

    スーパーでも販売されており、カフェやレストランでもベアラウホを使ったお料理が季節限定メニューとして登場します。

    そんな旬の味覚ベアラウホを探して、ハイキングに行ってみました。

    ベアラウホを探して「ウィーンの森」を散策

    音楽の都として知られ、都会のイメージがあるウィーンですが、実は市内に多くの広大な緑地があります。

    その中の1つ、ウィーンの森はウィーンの西側に広がる一帯で南北45km、東西30kmある広大な山地。

    長い間オーストリア皇室の狩猟場でもあった場所で、ベートーヴェンが住んだハイリゲンシュタット、温泉保養地として貴族や芸術家に愛された世界遺産の街バーデン・バイ・ウィーンなどもその一部に含まれます。

    今回は、ベアラウホ探しを兼ねて、そんなウィーンの森の北側へと散策に出かけました。

    市内からこの辺りまでの距離は約16km、地下鉄とバスを乗り継いで行くことができます。公共機関が便利なのもウィーンの良さのひとつです。

    私のお気に入りは、バスでいくつかある山の頂上付近まで行き、そこから歩いて下ってくるコース。市が整備している遊歩道もあり、途中にはブドウ畑や、「ホイリゲ」と呼ばれる自家製のワインを提供するレストランがあります。

    また、ベートーヴェンが散歩したと言われる「ベートーヴェンの散歩道」もあり、季節や目的によってハイキングコースや立ち寄る場所を選んで楽しめます。

    まずは最北にある山「レオポルツベルク」へ

    山の中腹から見たレオポルツベルクの教会。斜面にはワイン用のブドウ畑が広がっています。

    レオポルツベルクは、ウィーンの森の一番北側に位置し、すぐ下にはドナウ川が流れる標高425mの山です。

    もちろん麓の街から歩いて登ることもできますが、私たちはバスで頂上まで行きました。バスで山を登りながらも、ベアラウホが生えていないか斜面の様子を窓からチェックします。

    かなり急な上り坂がありますが、自転車で登っていく強者もいます。

    バスを降りたすぐ横にはバーベンベルク家のお城と教会があり、その周りも歩けるようになっています。展望スポットがあり、ドナウ川の流れとウィーン全体、その向こうまで見える絶景を楽しめます。

    レオポルツベルクから見たドナウ川。写真右側がドナウの本流で、左側は増水した時に水を流すために作られたニュードナウ。真ん中のドナウインセル(ドナウ島)と合わせて地元の人たちの憩いの場となっている。

    ウィーンの街を一望できる「カーレンベルク」へ

    レオポルツベルクで絶景を見たあとは、約2km離れた標高484mの山、カーレンベルクへ。

    2つの山は繋がっていて、車やバスで移動できるほか、ウィーン市が整備している遊歩道もあります。

    ウィーン市が整備するハイキングコース。市内に14のコースがあり、気軽に自然を楽しめます。

    ウィーン市内にありながら、自然を満喫できるこの辺りは地元の人にも人気です。

    だからといって混んでいることはなく、たくさんの遊歩道があるので、鳥のさえずりや新緑を楽しみながらゆっくり過ごせる場所になっています。

    遊歩道の所々にはベンチが設置してあって、森林浴を楽しむのに最適!また、ピクニックができるスポットも点在しています。

    新緑が美しいハイキングコース。すれ違う人とは軽く挨拶を交わします。

    30分ほど歩いてカーレンベルクに到着。歩きながらもベアラウホを探して周りを見渡してみますが、この辺りでは見つかりませんでした。

    カーレンベルクに建つ聖ヨゼフ教会。

    この場所は絶景を楽しめるだけではなく、レストランやカフェ、ホテルなどもあるので、辺りでは一番の人気スポットです。

    ドナウ川、ウィーン市内、そしてウィーンの森にあるブドウ畑なども一望できます。

    カーレンベルクから見たウィーンの街の様子。真ん中にはシュテファン大聖堂も見られます。

    シシィチャペルのある「コペンツェルの丘」へ

    カーレンベルクを楽しんだあとは、約3km歩いてコペンツェルへ。

    ここも見晴台のようになっていて、動物と触れ合えるミニ動物園やレストラン、カフェがあり、ハイキングコースもたくさんあります。

    絶景を見ながらカフェタイムを楽しんだり、周りの芝生でゆっくりとピクニックをしたりするのもいいですが、今回はさらに500mほど先にあるAm Himmel(アム・ヒメル)という公園のようになっている場所まで歩きました。

    歩きながらもベアラウホが生えていないか探しますが、まだ見つかりません。

    アム・ヒメルにあるブドウ畑。畑の中にある木は花を付けていました。

    アム・ヒメルにもレストランや子どもの遊び場などがあり、休日は家族連れで賑わう人気スポットです。

    私たちは森の中に静かに佇むシシィチャペルへ。このチャペルはフランツ・ヨゼフ帝とエリザベスとの結婚の際、1854年に建設されたものだそうです。

    道路から500mほど森の中に入った場所にある小さなチャペル。

    とても小さなチャペルですが、真っ白なネオゴシック建築の美しい教会です。中には入れないので、外から少し見て、ピクニックするのにいい場所を探して歩き始めました。

    この時期になると色々な花が少しずつ咲き始めていて、気持ちのいい日も多くなってきます。少し開けた場所で花が咲き始めた木を見つけ、その下でピクニックすることにしました。

    旬の食材ベアラウホ、ついに発見!

    群生するベアラウホ。出て来たばかりのこの時期は、薄い緑色で葉っぱも見るからに新鮮!

    ピクニックの後、少し周辺を歩いてみたらベアラウホを見つけました!

    そろそろ出てくる頃かなと思っていたのですが、この辺りでは採ったことがないのでどこにあるかは知りませんでした。

    3月後半はまだ生えてきたばかりで、葉はそんなに大きくなく、柔らかくてとても美味しそう!これからどんどん育って葉が大きくなり、少し硬くなっていきますが、1か月くらいはベアラウホ摘みに適した時期が続きます。

    ベアラウホは群生しているので、あまり動き回らずにすぐにたくさんの量を摘むことができました。本当に見つかるとは思っていなかったので嬉しビックリ!

    ベアラウホは、毒のある葉っぱを持つスズランと似たような形をしているために、間違わないよう細心の注意が必要です。

    とはいえ葉の生え方が違い、生えてくる時期にはズレがあります。スズランの葉が出てくる頃にはベアラウホには花が付いています。

    そしてベアラウホの葉は触るとニラやニンニクのような香りがするのも違いのひとつです。

    ベアラウホの花。葉っぱの間から長い茎を伸ばし、その先に花が付きます。

    我が家では摘んできたベアラウホの花は、花瓶に入れて飾っています。

    たくさん摘んでまとめて花瓶に活けると、とてもかわいいベアラウホの花。

    旬のベアラウホを餃子やニラ玉風に調理!

    摘んできたベアラウホの葉っぱは、色々な調理方法で楽しむことが出来ます。

    まずは洗って水気を取ります。

    採ってきた葉っぱはなるべくその日のうちに処理するのがおすすめ。

    在住日本人に人気の食べ方は、ニラの代わりにベアラウホを使った餃子です。ニラは普通のスーパーで手に入る食材ではないので、新鮮なベアラウホが出てくるこの時期は、手に入ったらまずは餃子!という家庭が多いようです。

    そして定番のニラ玉ならぬ、ベアラウホ玉。サッと炒めて作れるシンプルな家庭料理で、美味しいおかずが簡単に1品増やせるのは嬉しい限りです。しかも、採ってきたばかりの新鮮な旬の食材で!

    簡単&美味しいベアラウホの卵炒め。シンプルな味付けで旬の味覚を楽しみます。

    菜の花やほうれん草の代わりにもなり、色々なお料理にアレンジ可能です。

    炒めてバター醤油で味付けしたり、シイタケやシメジなどと合わせて和風パスタにしたりしてもとても美味しいです。

    ベアラウホの保存方法

    私はベアラウホをたくさん摘んできたら、長期保存できるように処理します。

    醤油へ漬け込み万能だれに

    まずはみじん切りにして瓶に入れ、醤油に漬け込みます。これが万能たれとなって、お肉に付けたり、調味料として使えたりして便利です。

    ニンニクや唐辛子と一緒に漬けてもいいですし、出来上がったものをごま油やお酢と一緒に混ぜて香味ダレのようにしても美味しいです。

    みじん切りにしたベアラウホの醤油漬け。あまり大きくない瓶に保存すると使いやすくて便利です。

    オリーブオイルと合わせてペーストに

    2つ目はオリーブオイルと一緒にミキサーに入れて作るペースト。バジルペーストのようなイメージで、ベアラウホでも作ることができます。

    バジルペースト同様、パスタに合う他、チキンをマリネ風に焼くなど色々使えます。

    そのまま使うとニンニクのような強い味がするので、他の調味料やクリームなどと混ぜて使うとまろやかな味わいになるでしょう。

    新鮮なベアラウホが大量に採れたときにまとめて作ったベアラウホのペーストと醤油漬け。

    ざく切りにして冷凍保存もOK

    最後はとてもシンプルな保存方法。一口大のざく切りにして、ジップロックに入れて冷凍します。

    この保存方法は、使いたいときにそのまま炒めることができるので便利。

    どれも長期保存が可能で、旬の味を長く楽しめる方法となっています。

    レストランなどで並ぶベアラウホの季節限定メニューとは?

    カフェやレストランなどでも季節限定メニューとしてベアラウホが登場します。

    スープや色々な種類のパスタ、お肉と組み合わせたベアラウホ料理が出てきます。一番多いのはスープやパスタ。

    ちなみに、ベアラウホの味が濃くて食べた後しばらく口の中がニンニク臭かったり、胃への刺激が強すぎたりすることも……。写真のようにクリームの混ざったパスタやスープの方がまろやかで食べやすいかもしれません。

    レストランで食べたベアラウホのラビオリ。鮮やかで、視覚でも春を楽しめます。

    自然の恵みに感謝して旬の食材を味わおう

    現代社会では便利になり、季節も原産地も関係なく色々な食材が簡単にスーパーで手に入るようになりました。

    ですが、ハイキングに行って自然に生えている野草を見つけるのも楽しいもの。自分たちで採ってきた新鮮な旬の食材を味わうのも改めていいなと思うのでした。

    今年も自然の恵みに感謝しながら、旬の食材を楽しみたいと思います。

    私が書きました!
    オーストリア・ウィーン在住ライター(海外書き人クラブ)
    バレンタ愛
    2004年よりウィーン在住。うち3年ほどカナダ・オタワにも住む。長年の海外生活と旅行会社勤務などの経験を活かし、2007年よりフォトライターとして多数の媒体に執筆、写真提供している。著書に『カフェのドイツ語』(三修社)、『芸術とカフェの街 オーストリア・ウィーンへ』(イカロス出版)など。世界100ヵ国以上の現地在住日本人ライターの組織「海外書き人クラブ」会員。

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