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  • 「金星」と「木星」が接近中!日没後の西の空を観察しよう

    2023.02.27 廣瀬匠

    金星・木星大接近は一見の価値アリ!

    今年は日没後の西の空で惑星たちの共演が続いていますが、現在、金星と木星が接近中です。最も近づくのは32日です。マイナス4等級の金星と、マイナス2等級の木星。これほど明るく輝く星が2つ、30分角(1度の半分)、満月ひとつぶんの距離に接近します。

    3月2日の東京18時ごろの西の空。金星と木星が最接近。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    楽しみは日没前から始まります。夕暮れ時はまだ肌寒いかも知れませんが、日の入り時刻は日々、着々と遅くなっています。

    最接近の2日の日没は、東京で1738分です。金星は明るいので日没直後の、西の空に見え始めると思います。金星が見えたら、ちょっと下に木星が見えてくるでしょう。マイナス4等級の金星のほうがずっと明るいのは間違いありませんが、そのすぐ近くで木星がどんなふうに見えるのか。ぜひ実際に確かめてください。

    キャンプならちょうど夕食準備の時間帯かもしれませんね。複数人で観察して、だれがいちばん早く木星を見つけられるか?競争するのも楽しいでしょう。

    双眼鏡を向ければ、同じ視野の中に入ります。色の具合を観察してみましょう。低倍率の望遠鏡なら、金星と木星とガリレオ衛星がひとつの視野に入るでしょう。金星の輝きがちょっとまぶしいかもしれません。木星の模様や衛星を観察するには条件は悪いのですが、金星と同じ視野の中で見える木星の観察は、トライする価値が十分あります。

    低倍率の望遠鏡ではひとつの視野に金星と木星、さらにガリレオ衛星が入る。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    最接近は2日ですが、このあとの惑星の動きも注目です。

    金星の位置は一見あまり変わらないように見えますが、少しずつジワジワッと上がっていきます。一方、木星のほうは最接近以降、一気に落ちていきます。この半年ほど夜空を飾っていた木星の季節は、2日の金星との大接近で終わりを告げます。5月には明け方の空で見えるようになりますが、真夜中の空で昇るようになるのは7月まで待たなければいけません。しばしの別れです。

    西の空を同じ時間帯に観察していると、日没の時間が着々と遅くなっているのが実感できるでしょう。夕空の色の変化も楽しんでください。

    南の空では冬の星座たちがまだまだ見ごろ

    南の空に目を転じれば、冬の星座たちがすっかり勢ぞろい。32日の19時には、オリオン座が南中しています。金星や木星の輝きに加え、青白く光るおおいぬ座のシリウスやオリオン座のリゲル、ベテルギウスは赤く、おうし座のアルデバランはオレンジに見えるなど、色比べも楽しめます。

    3月2日19時ごろの南から西にかけての空。西には金星と木星。南には冬の1等星たちがまたたく。おおいぬ座シリウスと、地平線ギリギリにりゅうこつ座のカノープスもチラリと姿を見せる。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    もし南の方角が地平線近くまで開けていれば、りゅうこつ座の1等星カノープスも見えます。

    恒星界ワンツートップの明るさのシリウスとカノープス、そして惑星界のワンツートップの明るさの金星と木星。4つの星が同じ空に昇っている時間帯です。 

    カノープスはかなりハードルが高いと思いますが、南の地平線のほうにその気配を感じつつ、金星と木星のランデブーをお楽しみください。

    構成/佐藤恵菜

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。星空のことはなんでも教えてくれる高機能天文シミュレーションソフトの最新版「ステラナビゲータ12」が新発売。

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