アウトドア用語での「直火」とは
キャンプを始めたばかりの人だと、『直火NG』の意味を取り違えてしまうかもしれません。アウトドアシーンで使われる『直火』について、詳しく見ていきましょう。
キャンプ場での「直火NG」の意味
直火という言葉は、炎に直接食材などを当てることを意味していますが、アウトドアで直火というと、『地面の上に直接薪を組んで焚き火をすること』という意味を含みます。
つまり、キャンプ場で「直火は禁止です」と言われたら、『地面の上で焚き火をしてはいけない』ということです。食材を直火で調理するのがNGというわけではありません。
直火OKのサイトは少ないため、焚き火台を使用せずに焚き火をしたいときは、そのキャンプ場で直火が許可されているかを確認しましょう。
直火NGのサイトが多い理由
主な理由の一つは、環境の問題です。地面から火を起こすと芝や草が傷むので、美しく整えられた景観を守るために直火を禁止しています。
また、余った薪・燃えがらの放置、掘り返した穴を埋め戻さないといったトラブルもあるようです。このような一部の利用者のために、直火を禁止せざるを得なくなったキャンプ場もあります。
自然の中で焚き火ができる貴重な空間を失わないためにも、良識ある大人として最低限のマナーを守りたいものです。
直火NGのサイトで焚き火をするには
お目当てのキャンプ場が直火NGだと、がっかりしてしまうかもしれません。しかし、直火が禁止されていても、焚き火を楽しむ方法はあります。
直火NGサイトで焚き火を楽しむには?
焚き火台が使用できるかを確認
直火はNGでも、焚き火台ならOKというサイトがほとんどです。焚き火台とは、足の付いた焚き火専用の台のことで、焚き火の必須アイテムといえます。台の上に薪を組むので、炎が直接地面に届きません。
芝生の上に焚き火台を置く場合は、台の真下に耐熱性のシートを敷いておきましょう。熱が伝わりにくくなり、万が一薪がこぼれ落ちても芝へのダメージを防げます。
ただし、BBQコンロなどで焚き火台の代用をするのはやめましょう。背が高いものは転倒しやすく、思わぬ事故が起きるリスクが高まります。
調理器具が直火で使えるか確認
基本的にはIH対応・ガス火専用のどちらの調理器具も、直火での調理に使えます。ガス火専用はIH熱源では使用できませんが、IH対応品は直火であるガス火にも使えます。
しかし、焚き火は家庭用コンロのように、火加減を自由自在にコントロールするのは難しいので、素材によっては、取っ手が溶けるなどのトラブルも起こりかねません。
焚き火で使う調理器具は全て鉄製のものや、取っ手の取り外しができるものなど、専用のものを使用すると安心です。また、製品ごとに注意点は異なるため、使用説明書を必ず読むことをおすすめします。
キャンプ場での直火マナー
多くの公共の場と同じように、キャンプ場にも暗黙の決まりごとがあります。知らずにマナー違反をしてしまわないよう、焚き火の前後・最中の注意点について把握しておきましょう。
最低限守るべき3つのルール
直火にふさわしい場所を選ぶ
第一に、指定された場所以外での直火は厳禁です。許可された範囲内で、周囲に延焼するリスクのない場所を探します。
テント・タープからは、2~3mほど距離を取りましょう。ついリビングから近い場所で焚き火をしたくなるかもしれませんが、火の粉が飛ぶと危険です。風向き・風の強さによっては、さらに距離が必要になります。
同様に火の粉の影響を考え、立木のそばも避けるのが賢明です。落ち葉・枯れ草は燃えやすいため、焚き火台周辺からよけておきましょう。
絶対的ルール!完全に消火させる
何よりも重要なのは、火の後始末です。炎が落ち着いた後の焚き火は、消えたと思っていても炭の内部で火がくすぶっていることがあります。
炭を小さくバラバラにして、どこにも火種がないことを確認しましょう。火消しつぼを用意しておくと、短時間で消火しやすくなります。
焚き火をした後は原状回復するのが原則となるため、灰はまとめてキャンプ場の指示に従って処理します。余った薪・燃え残りも放置せず、きれいにまとめて自宅に持ち帰りましょう。
周囲のキャンパーへの配慮を忘れない
焚き火の最中によくあるのが、煙・臭いのトラブルです。薪を燃やせば、少なからず煙が出ます。隣のサイトへ煙がいかないように、焚き火台の位置の調整が欠かせません。
また、ごみを燃やすと予想もしない悪臭が発生することがあります。また焚き火には完全に熱処理できるほどの温度はないため、ごみが燃え残ってしまうことも。片付けの手間を増やさないよう、着火に必要なもの以外は燃やさないようにしましょう。
まとめ
直火での焚き火には、野趣あふれる魅力があります。1人でじっと炎を見つめる時間も、家族・友人とにぎやかに過ごすのも、きっと素晴らしいひとときになるでしょう。
しかし、直火OKのキャンプ場は、残念ながらそう多くはありません。焚き火をしたい場合は、焚き火台や耐熱シートを用意しておくと便利です。
火を使う際には自然や周囲への気遣いを忘れず、美しいと感じた景観そのものの姿を守るように心がけましょう。