テント泊で疲れたらフランス車で帰るなんてどう?シトロエンのクロスオーバー「C5 X」レビュー | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

試乗記

2022.12.07

テント泊で疲れたらフランス車で帰るなんてどう?シトロエンのクロスオーバー「C5 X」レビュー

ライフスタイルが多様化しているように、クルマの世界もひとつのジャンルに捉われない、自由な発想で個性を主張するモデルが増えてきている。そのなかでも注目したいのがクロスオーバーと呼ばれるジャンルのモデルだ。

ここに紹介するシトロエンC5 Xもその一台。数々の独創的なモデルを生み出してきたシトロエンの新型車は、外遊びでどのような新しい世界を見せてくれるのだろうか。自動車ライターの桐畑恒治氏がレポートする。

シトロエン C5 Xってどんなクルマ?

実用車作りに長けたフレンチ・ブランドで、独創的なメカニズムとデザイン性の高いモデルを数多くリリースしていることで知られるのがシトロエンだ。そのなかでも1955年に登場した「DS」は、先進的かつ空力特性に優れたデザインや窒素ガスと油圧による“ハイドロニューマチック”サスペンション機構などが話題を呼び、歴史的な名車としていまなお高い人気を誇っている。

そんなDSの後継とも言えるのが、2022年に日本へ導入されたC5 X。セダンの上質さに加えてワゴンやSUVの高い実用性や機動力を融合させた、クロスオーバー的キャラクターだ。

セダンやワゴン、SUVのデザインを融合させたクロスオーバースタイルが特徴的なC5 Xのプロファイル。最低地上高は165mmを確保して走破性にも気を配っている。

C5 Xは張りのある前後フェンダーや高められた車高など、そのスタイリングからは一般的なセダンやワゴンとはひと味異なる力強さが感じられる。V字型のシグネチャーライトが配されたフロントエンドは、2016年のパリ・モーターショーで公開されたコンセプトカーの“CXPERIENCE”に倣ったものであり、車体後部の窓を区分するCピラーから車体後端にかけては1980〜90年代に人気を博したCXやXMなどの歴代モデルを想起させる処理が施されるなど、ツウ好みのデザインをまとう。

手の込んだインテリアには積載への配慮も

インテリアは比較的オーソドックスな仕立てながら、前後席に空間的余裕を持たせたラウンジのような設えが特徴だ。特に注目したいのはシートの造りで、“アドバンストコンフォートシート”と呼ばれるこれは、クッションに高密度ウレタンを用い、表層部には15mmの厚みを持たせたパッドを与えるなどして柔らかな掛け心地を実現。

表皮にはシトロエンのエンブレムのモチーフにもなっているギア(シェブロン)模様のステッチを緊密に配するなど、手の込んだ処理がそこかしこに施される。

7インチ液晶メーターや12インチ・センターモニターを配したC5 Xのコクピット周り。音声操作やヘッドアップディスプレイ、先進運転支援システムなどの機能装備も充実。木目調のパネルやダッシュボードのシボにもシェブロン模様が施される。

居心地の良さだけでなく、使い勝手に優れるのもC5 Xの美点だ。後席はスライドやリクライニング機構を持たないものの、6:4分割での前倒しはもちろん可能で、センターアームレスト部分に設けられたトンネルを利用すれば、スキーなどの長尺物を仕舞うことができる。

荷室床面には前後方向に4本のレールが敷かれており、リアゲート側から荷物を出し入れする際にさほど力を入れずにアウトドアギアなどを押し込み、引き出せる。

キーを携帯しながらリアバンパー下に足を差し入れることでゲートを自動開閉できるハンズフリー電動テールゲートが標準装備されるなど、キャンプなどで両手がふさがっているときにうれしい配慮が行き届いている。

幅95〜130cm、奥行き100cmの使いやすいラゲッジルーム。容量は545〜1640ℓを確保している。

後席は前倒し可能だが、完全なフラットにはならない。

テント泊の疲れを解消する極上の乗り心地

今回テストした1.6ℓ直4ガソリンターボモデルは、低速域から淀みなく吹け上がり、トルクももりもりと湧き出してくれるため、急勾配の山坂道でも力強く駆け上がってくれるのがいい。高速道路でも中低速を多用する街中でもそのマナーは変わらず、物足りなさを覚えることはなかった。エンジン自体に突出した魅力があるわけではないが、実用ユニットとしての扱いやすさはピカイチで、シーンを問わず痛痒を覚えることはないだろう。

レザーとファブリックを組み合わせた、優しいかけ心地のコンビシート。

この内装はプジョー・シトロエンのカラーマテリアルデザイン部門に所属する日本人デザイナーの柳澤智恵氏が手掛けたもので、上質さときめ細やかさを両立した居心地のいい空間演出がなされている。

それとともに付け加えておきたいのが、乗り心地の良さを存分に伝えてくる足回りの絶妙なセッティングだ。ハイドロサスペンションに代わる新世代の足は、ダンパーの中にもうひとつのダンパーを組み込んだ仕掛けとなっており、滑らかな減衰特性の実現とともにストローク量を増やすことができたおかげで、しっかりとした安定性を保ちながらゆったりとした乗り心地を実現。ハイドロのような複雑な油圧機構を用いずに、同等の優しい乗り味を確保している点は、さすがシトロエンと言えるものである。

このように、C5 Xはシトロエンらしさが存分に詰まった一台だった。使い勝手に優れるパッケージと優しい乗り心地、座った瞬間に体に吸い付くようなシートの優しい包まれ感は特に印象的で、たとえばテント泊のあとにこの心地よさを味わうと、ちょっと離れられなくなるかもしれない。巷に溢れるSUVとはひと味異なる個性のC5 Xでフィールドに飛び出してみれば、いままで以上の癒し時間が存分に味わえるだろう。

C5 Xには今回テストしたガソリンモデルのほかに、電動モーターを組み合わせたプラグインハイブリッド仕様(6,360,000円〜)も用意される。こちらは電子制御ダンパーが付くため、さらに高い快適性が味わえそうだ。

【シトロエン  C5 X SHINE PACK】

  • ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,805×1,865×1,490mm
  • 車両重量:1,520kg
  • 最低地上高:165mm
  • 最小回転半径:5.6m
  • 駆動方式:FWD
  • トランスミッション:8速AT
  • エンジン:直列4気筒ターボ 1,598cc
  • 最高出力:133kW(180PS)/5,500rpm
  • 最大トルク:250Nm/1,650rpm
  • 車両本体価格:5,300,000円~(シャイン パック/税込み)

問い合わせ先

シトロエンコール 

TEL:0120-55-4106

 

私が書きました!
ライター&エディター
桐畑恒治
1973年生まれ。琵琶湖のほとりで生まれ育ち、学生時代はスキー、スノーボード、サーフィン、釣りなど、ひと通りのアウトドアアクティビティを経験。自動車専門誌の編集記者となって以降はその活動も停滞気味だったが、フリーランス・ライターとなった現在は改めて外遊びを満喫したいと目論む今日この頃。まずは自分自身の相棒(愛車)選びも含めてクルマの魅力を探り、紹介していきたいと思います。。

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