海や湖などリゾートでのアクティビティという印象があるSUP(スタンドアップパドルボード/サップ)。しかしここロンドンでは、テムズ川やその支流、リージェンツ運河といった大都会のどまんなかでも楽しめるのです!
今回はそんな一味違った場所でのパドルボーディングの魅力を紹介します。
ビーチと比べて運河ならラクラク
利用したのは、ロンドンの運河やマリーナでパドルボーディングのレッスンを展開している会社の1つ「パドルボーディング・ロンドン」。リージェンツ運河沿いのカムデンとハックニー、そしてテムズ川沿いにあるセント・キャサリン・ドック(マリーナ)の3ヶ所を拠点に1年を通して活動しています。
今回は東ロンドンのハックニー区にある拠点ラバーナム・ボート・クラブでの、所要時間約1時間半のレッスンです。
当日、レッスンに集まったのは私たちを含めて8人。インストラクターはティルダさんとクレアさんの2人で、運河での交通規則、パドルボードやパドルの使い方、乗り方、運河を行き来するナロウボート(産業革命時代に運送手段として発達した運河で使用された船幅が狭いボート)とのすれ違い方、止まり方や方向転換の仕方、落ちたときのパドルボードへの這い上がり方などを丁寧に説明してくれました。
ちなみに現代のナロウボートの大半は観光などを目的としたものですが、ハウスボート(居住できる船舶)としても利用されていて運河沿いでも停泊しているのを多く見かけます。そして、いざスタート!
さて、ビーチでのパドルボートと運河での違いは、まず「波がない」こと。だから海の上では「立つこともできなかった」という人もいると思いますが、運河でならだれでも比較的容易にバランスがとれます。運河でのパドルボーディングの良さはまさにここにある、と言えますね。
水面から見るいつものロンドンとは違う一面
ビーチと運河でのパドルボーディングの違いのもう一つ。それは「景色」です。もちろん海岸線の自然の中を進むのも心地よいですが、大都会の中で自分たちだけがネイチャーアクティビディを楽しんでいるのがなんとも爽快!
いつもなら運河の脇にある小道から見ている景色を、水上から見ているだけなのにとても不思議な感覚です。運河沿いにはナロウボートをそのままハウスボートとして使っているものの他、フラット(日本でいうマンションのようなもの)や家が並び、パドルボードで近所を散策しているような気分です。
ハウスボートの横を通り過ぎるときには、なんだか他人の家の中を覗き見るような感じがするので、遠慮気味になるべく前だけを向いて進むようにしました。
また、小道を散歩している人たちの多くが、パドルボードが通りかかるのを眺めているので、ちょっと注目されているような錯覚に陥ることも。私たちの方向に携帯電話をむけて録画している様子の人も見かけ、まるで私たちが野生動物にでもなったかのような場面もありました。カモなどの水鳥もパドルボードにはあまり恐怖を感じないようで、私たちの横をのんびりと通り過ぎていきました。
ただし、運河ならではのむずかしさもあります。それはナロウボートとのすれ違い。ナロウボートが通りかかるときには波が起こるので緊張するひとときですが、早めに膝立ちで停止しナロウボートが通り過ぎるのを待つのがコツです。
一味違ったロンドン観光
ちょうどいい場所に着いたら、ティルダさんの指示で運河の縁に寄って着地し休憩です。休憩している間にティルダさんと話していたら、「ホリデイ中に初めてパドルボーディング体験してからこの解放感にすっかりハマり、ロンドンに帰宅してからも続けていたら、ついにはインストラクターになってしまった」とか。その気持ち、とても共感できるような気がします。
休憩場所からは、Uターンしてボート・クラブに戻りました。
フレンドリーなインストラクターたちに支えられながらの1時間半のレッスン&ツアーは、とても充実して大満足でした。運河から見る東ロンドンの一面も新鮮でしたが、水鳥などと一緒に風を切りながら水上に立って静かに進む感覚は初体験。
ただ見て回るだけでなく自分で「体験」するから楽しいし、きっと想い出にも残るでしょう。パドルボーディングは、ロンドンでのアウトドアのアクティビティにオススメです!
イギリス在住ライター(海外書き人クラブ)ディキンソン恵子
1994年からイギリス・ロンドン在住。日系会社、英系出版社を経て、家具作りコースや食品衛生コースなど履修。環境問題やSDGsに興味あり、D.I.Y.が得意。大手旅行会社ウェブサイトでイギリスのガイド記事を2007年から13年間担当した他、新聞、各種雑誌などに寄稿、ラジオ出演などもあり。ブログやメールマガジンでもイギリス情報発信中。世界100か国以上の現地在住日本人ライターたちの集団「海外書き人クラブ」の会員。 https://www.kaigaikakibito.com/