【モリヤーマン日記02】「湯治場」(とうじば)へ行ってみませんかー? | 日本の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • 【モリヤーマン日記02】「湯治場」(とうじば)へ行ってみませんかー?

    2016.08.19 b*p

    みなさん、『b*p』 vol.10、いかがでしたか?

    夏休みスイカ丸かじり号 (勝手に命名) ということで、

    特集はb*pの原点に立ち返り、旅!

    「今しかできない旅」 

    これって、われわれb*p的人間にとって、

    つかんでも、つかんでも次々と沸いてくる

    ジンセイのゾンビ的永久目標であります。

    わたくしモリヤーマン(森山伸也)は、

    これまで夏はひたすら海外の山をめざしてきました。

    旅の舞台はおもに北欧の北極圏。

    衣食住を背負って何百キロと歩くバックパッキング旅です。

    まさに「今しかできないぞ」という強い気持ちが、

    海の向こうの荒野へ背中を押していったのだと思います。

    14-08-25_MG_3548

    2013年8月、ノルウェーのロフォーテン諸島を1か月歩いたときの写真。 撮影=大森千歳

    ところが、ここ2年くらい、国内の海や川、

    山で遊ぶことが多くなりました。

    手つかずの源流部でイワナ釣り、

    SUPでぐるっと離島一周、

    北海道の大河を犬と下る

    (絶賛発売中の『BE-PAL』9月号をチェック!)、

    などなど海外へいく時間がないほど

    日本の夏にどっぷりハマちゃってます。

    DSCN1048

    今年の6月にSUPで旅した日本海の笹川流れ。「ここはホントに日本海か?!」と目を疑うほどに透明度が高く、白砂が大粒できもちいいー!

    なんでいまさら国内? 

    いやいや、若い頃は気づかなかった歳を重ねたからこそわかる

    『ハハなる豊穣の自然回帰』という

    キヅキがそこにはあるような気がします。

    そして、この国内アウトドア旅もまた

    「今しかできない旅」なのです。

    バラマキ公共事業によって、いまだに日本の自然は

    どんどん破壊され続けています。

    ダム建設の愚行に気づいたアメリカは

    ダムを壊しはじめたというのに、

    日本は半世紀以上も前に計画されたダム建設を、

    膨大な予算をかけて、いまだに行なっています。

    沢に登れば、土砂が埋まり用をなさない堰だらけ、

    海にでかければ、白浜に横たわるテトラポット、

    山に入れば、どこまでも続く林道。

    これらの行き過ぎた公共事業による自然破壊が

    なければ文句なしで、日本は世界一の

    野遊び大国であります。

    『b*p』vol.10の巻末で作家の野田知佑さんも

    言っているではありませんか。

    「日本の海がいちばんだ」と。

    美しい自然が残っているうちに遊ばねば! 

    アウトドアの視点から日本の国土をみると、

    そんな哀しい「今しかできない旅」が

    あふれているのです。

    そんなわけで(どんなわけだ!?)、

    記念すべき『b*p』vol.10は、

    日本のルーツを巡る旅特集になっております。

    ぼくは山形県の肘折(ひじおり)温泉に行ってきました。

    いやー、よかった!

    日本のあらゆる温泉街は、

    大手旅行代理店のツアーや

    ネット宿泊予約サービスに寄りかかりながら、

    景観も建物も似たり寄ったりで特色のない

    金儲け観光路線に突き進んでいるような気がします。

    地方都市に見られる

    車社会が生んだショッピングモールのように。

    ところが、ここ肘折温泉は

    「肩肘張らず、だれでも気軽に寄ってけや」

    というオープンな感じで、

    謙虚でガマン強い東北人によって営まれる

    親しみ深い昔ながらの湯治場でした。

    繁忙期を終えたお百姓さんや

    体を病めた患者さんたちをずっと受け入れてきた

    「湯治場」(とうじば)としての包容力が

    いたるところに感じられるのであります。

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    毎朝、朝市が開かれる肘折温泉のメインストリート。左奥に見えるのが、われわれが今回宿泊した「三浦屋旅館」だ。

    ya_hijiori_0067

    到着早々、三浦屋旅館の客室でゴロン。東北を代表する霊山・月山から下りてくる風が心地いい。下駄の音がカランコロン。

    ほとんどの宿が湯治プラン、自炊プランを用意し、

    誰もが長期間滞在できる日本的ホスピタリティーを

    持ち続ける温泉街です。

    なかにはお金をかけた鉄筋ピカピカホテルもありますが、

    明治時代に建てられたすきま風びゅーびゅーの木造旅館が、

    まだまだ元気に温泉街の中心に堂々と鎮座しておりました。

    その宿の畳にゴロンとなれば、

    なんだか田舎のおばあちゃんちに帰ってきたような

    懐かしさに包まれます。

    素泊まりなら1泊3,500円ほど。

    基本のおかず2〜3品の2食付きで、

    自炊で追加のおかずを作ることもできる湯治プランなら

    1泊5,500円くらい。

    でもって、源泉掛け流し風呂24時間入り放題。

    さらに、部屋は襖で仕切られただけのオープンエアー。

    隣客がいたら物音が少々気になりますが、

    滞在した3日間の湯治客はぼくらだけ。

    5人で4部屋を贅沢に使わせてもらいました。

    素晴らしすぎる。

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    温泉街にあった商店にて。いたるところに昭和な匂いがぷんぷんする。「変わらない」って心地がいいものなのですね。

    いやいや、お金が惜しいわけじゃないんです。

    お金を払えばほぼほぼ願いが叶うこの時代に

    アンチテーゼ投げかける、

    いやそもそも同じ時代ではなく、タイムスリップしたような

    「旅人のことを想う」湯治システムが心地良いのであります。

    お金をかけなくたって、

    ネットでセコセコ情報を集めなくたって、

    ただただ1200年続く湯治場に

    仲間とともに身を委ねる。

    それだけですべてが満たされました。

    僕らが宿泊した「三浦屋旅館」の女将さんいわく、

    もう自炊するお客さんはほとんどいないとのこと。

    もう5年もすれば、各旅館から

    自炊場が消えてしまうかもしれません。

    となると、1200年続いてきた湯治場の

    雰囲気を感じられるのは、今しかない。

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    雪が降る11月いっぱいまで毎朝開催される朝市。とれたての野菜、下処理された山菜など、旬の地物がずらりと道路を埋める。雨天決行!

    肘折温泉で、今しかできない自炊泊! 

    料理好きの人でなければ、

    きっと「メシ作るのめんどくせー」ってなるでしょう。

    だけどね、朝市で買い出ししたり、

    女将さんに山菜の処理方法を教えてもらったり、

    旅するように生活した思い出は、

    1200年のあいだずっと湧き出る温泉のごとく

    体の奥へすーっと染み込んでいくのであります。

    次回は、僕らが泊まった

    “ほんとは誰にも教えたくない宿”「三浦屋旅館」

    についてレポートします!

    ◎文=森山伸也 写真=矢島慎一 (肘折温泉)

    »《【モリヤーマン日記01】 『b*p』復刊までの6年間、何があったのか?》はこちら!

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