日本三大秘境に数えられる徳島県祖谷(いや)。渓谷美を誇る山間の村が、ジビエによる地域おこしで盛り上がっている。その中心のひとつが、東祖谷落合集落にある『なこち』だ。
山の斜面に張り付くように建つ、築150年の古民家を改装した地域の交流スペースで、食事やお茶が楽しめる。南向きの縁側からは対岸の山の集落が一望できるのだ。
そんな、天空の家とでも呼びたくなるような建物を管理するのは、山が好きで千葉県から移住した稲盛将彦さん。料理の腕を振るうのは、猟師で鳥獣加工施設『祖谷の地美栄(じびえ)』を持つ高橋敬四郎さんだ。
ランチにはソーセージ、鹿肉のローストやしゃぶしゃぶなど、祖谷産のジビエ料理が並ぶ。
「部位ごとに使い分けるのが、おいしく食べるコツ。シカもイノシシも、スジが少ないロース肉は食べやすいので、ローストやしゃぶしゃぶに、肉と脂のバランスがほどよい腕肉はソーセージに使っています」
推薦人の猟師・石井修作さんも「高橋さんは野生肉をよく勉強していて、食べにくい部位もおいしく調理してくれます。景色込みでいえば、ここのジビエ料理は200点満点(笑)」とか。