”普段履き”にも最高のトレッキングシューズ的クルマ!日産・サクラ&三菱・eKクロスEVを試乗レポート | 試乗記 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

”普段履き”にも最高のトレッキングシューズ的クルマ!日産・サクラ&三菱・eKクロスEVを試乗レポート

2022.07.27

トヨタ・bZ4Xやスバル・ソルテラ、ホンダ・ホンダeに日産・アリアなど、国産主要メーカーから魅力的なEVが次々と登場している。アウトドアでは電源車として使えたり、排気ガスも出ず、走行音が静かだったりと、なにかと重宝しそうEVなのだが、どうしても気になるのは1充電当たりの走行距離。少しでも“足が長い”方が便利だと考えるのも当然だ。

そんなところにバッテリー容量は日産・リーフの半分ほど、航続距離が180kmWLTCモード)という軽自動車のEV2台登場した。最上位グレードは両車ともに300万円に届こうかというプライスだが、国や自治体からの補助金はかなりの額。さらに税金面でも有利だ。そこで、アウトドアでの可能性を中心に解説しよう。

日産・サクラと三菱・eKクロスEVってどんなクルマ?

日産・サクラと三菱・eKクロスEVは日産自動車と三菱自動車の合弁会社「NMKV」で企画・開発された兄弟車。リーフ、そしてアリアで市販EVをリードする日産と、世界初の量産型EVi-MiEV」を発売した三菱の共同作業によって誕生した新型軽EVである。基本構造や走行性能は同じだが、メーカーごとに内外装の一部デザインや備品を変えることで、個性の演出を図っている。

この2台の大きな特徴が、一充電による航続距離を180kmとし、シティコミューターや近距離での使い方に徹したこと。そのコンセプトの根拠は「日本の乗用車の53%は、1日の移動距離が30km以下、94%が180km未満で過ごしている」というメーカーの独自調査結果によるものだ。最新の日産・アリアで駆動用バッテリーの容量は66kWhB6)、輸入車においては100kWhを超えるものもあり、EVは航続可能距離を伸ばす方向にあるが、こちらはわずか20kWh。ガソリン車が苦手とするストップ&ゴーが連続する市街地などを中心にした短距離移動では、これでも十分実用的だ。

記事のトップ画像が三菱・eKクロスEVで、こちらは日産・サクラ。

ソファーデザインのシートを採用したサクラ。合皮とトリコットのコンビシート地はオプション。

eKクロスEVの「プレミアムインテリアパッケージ」はオプション設定。合成皮革とダイヤ柄のエンボス加工を施したファブリックとの組み合わせで上質感を演出。

では室内空間から。軽自動車の規格で作られているのは当然で、加えて駆動用バッテリーを搭載するぶん、キャビンや荷室の床が高くなっているのではないかと思ったが、ベースとなったガソリン仕様の日産・デイズ/三菱・eKクロスと、ほとんど変わりない。聞くと、ガソリン仕様の設計段階からEV化を念頭に置いていたため、前席や後席の居住性も、ラゲッジスペースもほとんど犠牲になっていないのだという。

さらにもう一点、バッテリーを搭載したことでの車重増はガソリン車比で約220kg。わだち走行やキャンプ場などの路面を考えると、最低地上高が大きく落ちるのではと心配になったが、好評値は145mm(ガソリンモデルは155mm)。ガソリンモデルより10mm短くなっただけだ。

後席は前後に150mmほど左右一体式でスライドし、一番後ろまで下げると足元がかなり広くなる。写真はサクラ。

50:50の2分割式のリアシートにはなんと15段階もの細かなリクライニング機能が備わる。写真はサクラ。

安全技術や寒冷地装備、ルーフレールの装備に違いが

デザイン以外の装備の違いを、サクラは「G」、eKクロスEVは「P」グレードで見てみよう。大きく違うのは運転支援機能の装備だ。サクラには日産お得意のADAS(先進運転支援システム)である「プロパイロット」を始め、SOSコール、アラウンドビューモニター、アダプティブLEDヘッドライトシステムなどを標準装備。

一方、eKクロスEVには日産のプロパイロットにあたる「マイパイロット」があるが、メーカーオプション扱い。装着する場合、マルチアラウンドモニターなどを含めて16万円ほどのセットパッケージ料金が必要となる。

次に注目したいのは寒冷地装備。eKクロスEVには「リアヒーターダクト」や「ヒーター付き助手席」、「ヒーター付きドアミラー」など、冬場の車中泊などで重宝しそうな寒冷地装備が標準だ。一方、サクラはこうした装備がオプションとなっている。

そして外観上のアウトドアっぽいアクセントと同時に実用性の高いルーフレールは、eKクロスEVには装着できる。ルーフラックやサイクルキャリア、スキー&スノーボードなど多彩なアタッチメントを装備すれば、アウトドアギアの積載量はさらに増大する。雰囲気と実用性を上手に両立する当たりは、RV系を得意とする三菱らしい技が光り、都会派のサクラとひと味違う。

ただし、残念なのは両車ともに100V/1500Wのコンセントが無いこと。電化製品を使用する場合は別売りのカーインバーターを準備しなければならない。

サクラの室内。メーター周りは日産の電動車に共通するデザイン。

eKクロスEVは7インチカラー液晶メーターとは独立したデザインのセンターパネルを採用。ナビゲーション情報を始めとしたBEVに必要な情報を明確に表示する。

EVだから味わえる最高の走行フィール

機能装備の面で気になるところはあるものの、走りの質は相当高い。軽自動車とは思えないほどの高い静粛性とスムーズさ、そして強烈とも言える力強さを見せながら加速していく。キャンプ用品などを満載し、息も絶え絶えに、軽自動車特有のビービーというエンジン音、そして振動を感じながら坂道を上る姿などどこにもない。スルスルッと速度を上げていくのである。その感覚はまさに軽の概念を越える走り、そして乗り心地の良さである。

スペックは最高出力こそ軽の自主規制上限値である64馬力(47kW)だが、規制のない最大トルクを通常の軽の約2倍の195Nmとした。これは2000ccのガソリンエンジン車並み。バッテリーを搭載することによって車重は1080kgと大幅に増えたものの、このトルクのおかげで、むしろ走りに重厚感が加わった。上質で優しい走行感覚があれば、思いっきり外遊びした楽しんだ後も、心地よさを感じながらドライブができそうだ。

後席を一番後ろにセットしたときのラゲッジの奥行きは360mm。

一番前にスライドさせると前後長は550mmに(ともにサクラ)。

後席の背もたれを前方に倒すと、段差はできるものの奥行きは1330mmに。左右幅はもっとも狭い部分で870mm。 ※各数字は編集部による計測値です。

フィールドが身近にある人向け

正直、このクルマで都会から郊外のフィールドまで往復するのは現実的ではない。こまめに充電すればできなくはないが、よほど時間に余裕がないと効率が悪い。

その点、郊外に住み、遊びのフィールドが近い人には無理がない。今までは下駄がわりに軽自動車を使っていた人にとってその上質な走りは、移動の時間もちゃんとしたトレッキングシューズを履いているような気持ちよさにつながるのではないか。

電動化の波、そしてガソリン車の燃費性能が向上する昨今、ガソリンスタンドの数は激減し、地方によっては給油のために往復1時間近く走るという話も。EVならそんな心配もないわけで、日産・サクラと三菱・eKクロスEVは、郊外在住のアウトドア派こそ注目すべき存在といえる。

サクラにはアダプティブLEDヘッドライトシステムなどが標準装備される。

eKクロスEVにはルーフレールの選択肢がある。

20kWhのバッテリーの残量警告灯が点灯した時点から充電量80%まで持っていくのに急速充電で40分ほどかかる(バッテリー温度が約25℃、急速充電器の出力が30kW以上の場合)。ただ、電欠状態までなることはまれであり、30分あれば80%まで回復できそうだ。

日産・サクラ

  • 全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,655mm
  • 車両重量:1,080kg
  • 最低地上高:145mm
  • 最小回転半径:4.8m
  • モーター:交流同期電動機
  • 最高出力:47kw64PS)/2,30210,445rpm
  • 最大トルク:195Nm19.9kgm)/02,302rpm
  • WLTCモード:180km/l充電
  • 車両本体価格:¥2,940,300(税込み/G

問い合わせ先
日産自動車
TEL:0120-315-232

三菱・eKクロスEV

  • 全長×全幅×全高:3,395×1,475×1,655mm
  • 車両重量:1,080kg
  • 最低地上高:145mm
  • 最小回転半径:4.8m
  • モーター:交流同期電動機
  • 最高出力:47kw64PS)/2,30210,445rpm
  • 最大トルク:195Nm19.9kgm)/02,302rpm
  • WLTCモード:180km/l充電
  • 車両本体価格:¥2,932,600(税込み/P

三菱自動車
TEL:0120-324-8600

私が書きました!

自動車ライター

佐藤篤司

男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行なう自動車ライター。著書『クルマ界歴史の証人』(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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