セルビアの大空を人生初のパラグライダーでフライト。ドナウ川カヤック旅から夢の空の旅へ! | 海外の旅 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
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  • セルビアの大空を人生初のパラグライダーでフライト。ドナウ川カヤック旅から夢の空の旅へ!

    2022.09.16 ジョアナのカヤック世界冒険記佐藤ジョアナ玲子

    ドナウ川で遭遇したパラグライダー

    ドナウ川で遭遇したパラグライダー。

    カヤック旅で遭遇したパラグライダー集団 

    ドナウ川をカヤックで下る旅の途中、空に大きなミカンが浮かんでいるのが見えた。それは、パラグライダーだった。ほんの2~3分だけフワフワ飛んだかと思うと、すぐに林の向こうに消えていった。だけどまたしばらくすると、別の色のパラグライダーがやってきて、絶えることがない。

    そこはなだらかな平地で、離陸に使えそうな山もない。一体、どうやって飛び立っているのか?プロペラを背負って飛んでいるのかな?でもそうなら、なんでもっと長く飛ばないんだろう?

    どうしても気になったから、カヤックをとめて寄り道してみることにした。

    スポーツ競技としてのパラグライダー

    パラグライダーが集まっていた広場

    パラグライダーが集まっていた広場。昔は飛行場だったらしい。

    パラグライダーが飛んでくる方角を頼りに歩いていくと、だだっ広い草っがあって、人がたくさん集まっていた。

    「私も見学していいですか?」と、たまたま話しかけてみた人が、このパラグライダーイベントの主催者だった。「ウェルカム!ゲストは大歓迎さ!」と迎え入れてくれた。

    この大会の主催者のアイヴァンさん

    この大会の主催者アイヴァンさん(右端)。

    今日集まっている面々は、パラグライダー競技の選手たちらしい。

    地面に設定された的を目標に、どれだけ正確に着地できるかを競う種目だという。

    平地でやっているから、スタート時は選手のハーネスをロープで車に繋いで引っ張ってもらう、凧揚げ方式で離陸。ある程度高くまで上がって車との接続を切ると、そのロープは巻尺式にスルスルと車の方に吸い込まれていく。選手の方は、右へ左へフワフワと狙いをすましたら、最後はスッと的の上に降りてくる。

    選手の滞空時間は、本当にあっという間。

    パラグライダーの片付け風景

    パラグライダーの片付け風景。1人3トライなので、畳んではまた飛んでを繰り返す。

    だけど、パラグライダーを飛べるように準備したり、着陸したらまたきれいに畳んだり。それからたまに、スタートに使ったロープは、切り離しのあとで風に煽られて、巻き取り不良を起こしてしまうことも。一人一人、大会はゆっくり進んでいく。

    知らなかった。こういうスポーツがあったんだ。

    そもそもパラグライダーはセルビアでもかなりマイナースポーツで、アイヴァンさん曰く国全体で130人ほどしか競技人口がいないという。だけどいつか、パラグライダーもオリンピック競技になってほしい。アイヴァンさんは、そんな気持ちでこの大会を企画運営しているという。

    あなたはどうしてパラグライダーを?

    私の高校生の頃の夢のひとつは、陸海空をすべて人力で旅できる人になること。「夢のひとつ」といういい方をするのは、私にはほかにも夢がたくさんあるから。全部は叶わなくとも、一つくらいは叶うだろうと、夢はたくさん持つことにしている。

    陸は、歩いたり、走ったり、自転車に乗ったり。海なら泳ぐかカヤックか。だけど、空を飛ぶパラグライダーだけは、お金がかかるイメージが先行して、一度も手を出したことがなかった。

    しかし実際にはセルビアという国は、ヨーロッパの中では金銭的に豊かな方ではなく、フルタイムで働いても月給が3~4万円という人も少なくない。

    そういう国だから、パラグライダーに乗っている人たちは、みんなお金持ちばかりに違いない。そんな先入観があったのだが、よくよく話を聞いてみると、そうじゃない人もいるらしい。

    「どうしてパラグライダーを始めたんですか?」。

    そう尋ねると、「子供の頃から空を飛ぶのが夢だったんだ」。

    ただ、そうシンプルに答えてくれたおじさん。コツコツ働いてパラグライダーを買って、そしてまたコツコツ働いてお金を貯めては少しだけ遠征に出たりするらしい。

    私も飛んでみた

    私もタンデムさせてもらえることに

    私もタンデムさせてもらえることに。人生初のパラグライダー!

    「実は、私も空を飛ぶのが夢の一つなんです。でも、やっぱり、なかなか手が出せなくて」。

    そうこぼしたら、じゃあ一緒に飛ばしてあげるよ!とタンデムしてもらえることに。

    小柄なおじさんと、さらに小柄な私。タンデムに使ったパラグライダは、私たちの体重の総重量では規定の重量を若干満たしていなかったらしく、ほんの数歩走っただけですぐに、フワリと体が浮いた。

    飛ぶ前のドキドキは、足が地面から離れると一瞬で消えて、ただただ清々しい気持ちに満たされた。

    GoProをつけて飛んだのに、肝心なときに電池切れ。だけど良いんだ。パラグライダーの気持ち良さは、きっと、視界の景色ではなくて、360度、全身で空気を感じられるところ。この興奮はきっと、ビデオじゃ収まりきらない。

    「パラグライダーをやるようになってから、俺は、なんで鳥があんなにきれいに鳴くのか、わかるようなった気がするんだ」と、おじさん。

    ほんの数分間のタンデム飛行体験だったけれど、あの空を飛ぶという感覚は、ほかのどの運動にもないもので、私はなんだか、運命的な乗り物に出会ってしまった気がしている。

    ジャイロコプター来襲

    ジャイロコプターがやってきた

    ジャイロコプター。

    ところでこのパラグライダー競技大会が開かれている原っぱは、古い飛行場の跡地だという。今はただの平たい原っぱなのだけど、それでもたまに利用者はいるらしい。

    パラグライダーがすべて飛び終わった頃、空をヘリコプターみたいなものが横切った。それは3機、隊列を組むように飛んできて、順番に原っぱの上に降り立った。

    近くでよくみてみると、それはヘリコプターよりずっと小柄で簡素な作りをしている。「ジャイロコプター」と呼ぶそうだ。

    燃料は60リットルで4時間、スピードを出しても3時間は飛べるらしい。燃費は、あまりよくないみたいだ。

    ちなみにパラグライダー大会の人たちによると、ハンガリーのブダペストからセルビアのこのあたりまでパラグライダーで飛んだ人もいるという。そうなると、ジャイロコプターより、パラグライダーの方が地球に優しいのかもしれない。

    一緒に飛んできた別の飛行機

    一緒に飛んできた別の飛行機。中古を修理しながら使うらしい。

    「ひえー、こんな小さな飛行機で飛べちゃうんだ」と、パラグライダーの選手たち。

    「ひえー、こんな布切れで飛べちゃうんだ」と、ジャイロコプターのおじさんたち。

    空を飛ぶロマンは同じでも、まったく違う乗り物なのでお互いに興味津々。

    大会を終えて、みんなでパーティー

    大会を終えて、みんなでご馳走パーティー。

    新たな妄想

    昔、アメリカのコロラド州で温泉に行ったときのことを思い出した。そこは大人しか入れない、水着で混浴するタイプの温泉施設で、関西人気質の話好きなアメリカ人が、あちこちでお湯に浸かりながら井戸端会議をしていた。

    その中に一人、「自分で飛行機で飛んできたんだ」という人がいた。確かに、その温泉地の周りは、乾いた平地だった。どうやら近くに着陸できる場所があるらしい。

    「自分で空を飛ぶ」というのは、実際、不可能な話ではないのかもしれない。振り返ってみると、大学時代の同級生で、セスナの免許を取るために、週末になると飛行学校に通っている女の子がいた。

    アメリカでミシシッピ川を下る旅をしたときに偶然知り合って、それからしばらく一緒にキャンプした女の子も、職業はパイロットだった。

    ミシシッピ川で知り合った友人

    ミシシッピ川で知り合った友人(左)。彼女の職業はパイロット。

    アメリカは国土が広くて交通の便が悪い場所も多いせいか、飛行機を操縦する人は、思っていたよりもたくさんいた。けれど、パラグライダーをやっているという人には、これまで出会ったことがなかった。

    いつか、私も、パラグライダーに乗れるようになったら。アメリカの田舎の飛行場から飛行場へ、パラグライダーで旅できないだろうか。

    いつ叶えられるかわからないけれど、遠い将来に挑戦してみたい夢がまたひとつ生まれてしまった。

    私が書きました!
    剥製師
    佐藤ジョアナ玲子
    フォールディングカヤックで世界を旅する剥製師。著書『ホームレス女子大生川を下る』(報知新聞社刊)。じつは山登りも好きで、アメリカのロッキー山脈にあるフォーティナーズ全58座(標高4,367m以上)をいつか制覇したいと思っている。

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