1等星の100倍の明るさ。夜明けの金星が放つマイナス4.4等級の光
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    2022.03.18

    1等星の100倍の明るさ。夜明けの金星が放つマイナス4.4等級の光

    夜明け前、マイナス4.4等級の金星が輝く

    3月20日ごろ、薄明が始まる前の東の空に金星が昇る。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    3月に入ってから、明けの明星の金星が東の空に昇って目立ち始めています。20日には太陽からもっとも離れる「西方最大離角」と呼ばれる状態になり、これからしばらく見ごろが続きます。

    20日の日の出は、東京で545分。薄明の始まる420分ごろが、いちばん明るく見えると思います。光度はマイナス4.4等まで上がります。どれくらいの明るさかというと、星は5等級上がると100倍明るくなります。1等星は暗い空でぎりぎり肉眼で見える6等星の100倍明るいのですが、マイナス4.4等級の金星は、その1等星(厳密には0.6等星)の100倍明るいことになります。

    1等星といっても明るさに幅があるので、全天でいちばん明るいシリウス(マイナス1.4等級)と比べれば約16倍、1等星の中ではいちばん暗いしし座のレグルス(1.4等級)と比べれば約200倍の計算です。

    これから夏にかけて、夜明け前の金星が楽しめます。明けの明星の金星は西方最大離角を迎えたあと、数か月、東の空で観察することができます。ここが宵の明星の金星とは異なるところ。宵の明星としての金星は、東方最大離角を迎えたあと、比較的すぐに西の空から消えてしまいます。

    惑星たちが東の空に集まり始める春

    惑星同士の接近など、見どころの多いシーズンです。3月以降、東の空には金星のほか、火星、土星、水星、木星と、惑星がぞろぞろ集まってきます。

    まず3月下旬。金星の少し右下(南側)に火星が出て来ます。マイナス4.4等の金星に対して、火星は1.1等級。金星のあまりの明るさに火星を見逃してしまうかもしれません。金星を見つけたら、その少し右下にあたりをつけて探しましょう。双眼鏡なら、金星と火星を同時に見ることができます。ただ金星も火星も、それほど空高くは昇りません。できるだけ南東の空が開けた場所を見つけてください。

    ところで、この時間帯、空はすでに夏を迎えています。

    3月下旬、夜明け前の東の空には、こと座、はくちょう座、わし座の夏の星座が昇っている。(画像:ステラナビゲータ/アストロアーツ)

    金星と火星が見えるころには、こと座、はくちょう座、わし座と、夏を代表する星座が空高く飾っています。また、さそり座はすでに南中、赤いアンタレスが見頃です。

    早春とはいえ、まだ夜明け前は冷え込む季節。夜明け前の空にひと足もふた足も早い夏を感じられると思います。そして早起き習慣をつけたい人はこの春がチャンス。金星とともに寝床から顔を出しませんか。

    構成/佐藤恵菜

     

    私がガイドしました!
    星空案内人
    廣瀬匠
    星空案内人 天文系ライター。株式会社アストロアーツで天文ニュースの編集などに携わる。天文学の歴史も研究していて、パリ第7大学で古代インドの天文学を 扱った論文で博士号を取得。星のソムリエ®の資格を持つ案内人でもある。アストロアーツより、宇宙の不思議に出会うモバイルアプリ「星空ナビ」iPhoneAndroid版無料公開中。

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