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全米住みたい街ランキング2位!レクサスESとレンタカーでナッシュビルへ

2022.02.18

レクサスESと3人のアメリカ人

コロナ禍では旅に出られないので、画像を整理しながら過去の海外旅行を振り返っている。それらの中から、クルマで走った旅や、クルマでしか行けなかったとっておきの旅をご紹介。クルマの旅は自由度が大きいので、あちこち訪れながら、さまざまな人や自然、モノなどに触れることができる。鉄道や飛行機、バスなどと違って、主体的に動かないと始まらない。そんなところに魅せられて、クルマで走ることを続けてきた。取材もあったし、プライベートの場合もあった。コロナ禍で、どちらもかなわず、もう2年が過ぎてしまった。次に旅立てるのは、いつのことになるだろうか…。

アメリカでも高く評価されているレクサスの新型車をテストドライブ 

フルモデルチェンジした「レクサスES」をアメリカのナッシュビルでテストしたのは、2018年5月のことだった。

近郊の国立公園内を貫いている「ナチェツ・トレースドライブウェイ」という高原道路や、市内の一般道などを半日走って、その完成度の高さを確かめることができた。

レクサスES

静かで、広い室内やマークレヴィンソンのカーオーディオなどが車内を心地良い空間に仕立て上げていたし、穏やかな操縦性や優しい乗り心地など、幅広い人々のための4ドアセダンに求められるものがすべて高品質に揃っていた。ナチェツ・トレースドライブウェイのアップダウンやコーナーでの走りも申し分ない。アメリカで間違いなく売れるであろうことが予想できた。

レクサスES

レクサスES

レクサスES

歴代のESはアメリカでベストセラーを記録していた、レクサスにとって重要な中型セダンだ。日本では慢性的なセダン不人気が続いているのでピンと来ないかもしれないが、アメリカでレクサスESと言えば、とても強いブランド価値を示している。開発者たちとも十分に議論することができて、仕事は一件落着した。

レクサス

世界一著名なギター工場を見学

取材のオマケに、ナッシュビルにあるギターのギブソンの工場を見学することもできた。

ギブソンの工場を見学

レクサスとギブソンがアメリカ国内で展開するコラボレーション企画があり、記念に造られるギターの製造工程を見ることができた。スタンダードの「レスポール」や「GS」などではなく、「カスタム」と呼ばれるギターが造られている工場だった。 

ギブソンの工場を見学

「カスタム」というのは、以前に存在していた色や素材を使ったり、有名ギタリストが使っていた色や素材などと同じ仕様に仕上げたり、新品にわざと傷などの経年変化を付けたりした特別版のことだった。

「ダメージジーンズみたいなものですね?」

案内役の女性に質問すると、「まさに、その通り!」とうれしそうに答えてくれた。

ギブソンの工場を見学

当然、カスタム版のギターはスタンダードのギターよりも高価になるのだけれども、日本からの注文も多く、彼女は僕でも知っている東京・お茶の水にある楽器店の名前をいくつも誦じていた。

カントリー&ウエスタンの都を旅する

翌日は帰国便まで丸一日ぶんの自由時間があるので、レンタカーのトヨタ「カムリ」でナッシュビルの街を探索してみた。

カムリもESに近いサイズで、アメリカで最も売れている4ドアセダンの座の一、二をいつも争っている。前日にESにたっぷりと乗った直後だったので、両車の違いが良くわかった。ESが高級車だとすぐにわかるのは、内装の造形に手が込んでいるところだ。素材も贅沢なものが使われ、見た目だけでなく、手触りにまでも配慮が行き届いていた。

全般的な操縦性に違いはさほどなかった。乗り心地と静粛性で、ESは明らかにカムリに差を付けていた。カムリは実質的で、一方でESはアメリカ的な「高級」を体現していた。

ナッシュビルのライブハウス

ナッシュビルには初めて来た。予備知識としては、カントリー&ウエスタンが盛んな音楽の街というぐらいしか知らない。同名の映画もあったし、ナッシュビルはテネシー州の州都だ。『テネシーワルツ』という、ちょっと悲しい歌は昔から好きで、ウイリー・ネルソンやエミルー・ハリスなどのカントリーシンガーが唄うものが好きだった。近年になって、カントリーでないノラ・ジョーンズ版も気に入っている。

ダウンタウンのカンバーランド川に面したあたりに、ライブハウスや飲食店などが軒を連ねている一角がある。カムリを駐めて歩いてみた。午前中から、ライブを演っている。もちろん、コテコテのカントリー&ウエスタンだ。想像していた通り、テンガロンハットを被ってウエスタンブーツを履く男性ミュージシャンと、フワッとしたワンピースを着た女性ミュージシャンばかりだ。日本の男性演歌歌手が派手なスーツを着てタイドアップし、女性歌手が着物を着ているのと同じようなことなのだろう。

中には、コテコテではない現代的なファッションで演奏している様子のミュージシャンもポスターに写っている。テイラー・スイフトもカントリー歌手と言われてデビューしたけれども、今では“脱皮”して、そんな感じは拭い去られている。

ギブソンの工場を見学

カントリー&ウエスタンの殿堂を訪れる

次に向かったのは、中心部から近い「オープリー・ミルズ・モール」という巨大なショッピングモールだ。ショッピングモールだけでなく、遊園地なども併設されている。

訪れてみたかったのが、その中にある「グランド・オール・オープリー・ハウス」だ。「カントリー&ウエスタンの殿堂」とも呼ばれている有名なホールで、もともと「グランド・オール・オープリー」自体は100年近く前に始まったナッシュビルのラジオ局の音楽番組だった。それが発展して独自のホールが建てられ、現在のものに建て替えられたのが1970年代のこと。もちろん、現在も放送は行なわれ、インターネットでも配信されている。

ここの存在は、ずっと昔から知っていた。自分よりも30歳以上の知人が演奏したことがあると聞いて、ずっと忘れられなかったのだ。彼は、1950年代だか60年代の日本でアマチュアのカントリー&ウエスタンのバンドをやっていて、何かのコンテストで優勝し、その副賞がアメリカ旅行で、目玉はグランド・オール・オープリーでの演奏だった。たしか、そうだったと思う。

「あのアメリカの、それもグランド・オール・オープリーの舞台に立って演奏できた時は夢を見ているようだった。一生の思い出になった」

何人かで、アメリカの思い出について話し合っている時に聞いた話だ。まるで先週体験してきたかのように舞台の様子を細かく思い出し、感極まった調子で、その感激ぶりを話していた。“そんなにスゴいところなのか!?”と思うと同時に、昔の日本人がアメリカ文化(この場合はポピュラー音楽)へ抱いている無垢なまでの憧憬の大きさを思い知らされた。アメリカ土着的なカントリー&ウエスタンでも、日本でも昔はポピュラーだったのだ。

大きなエレキギターとアコースティックギターのモニュメントのある向こうに、グランド・オール・オープリー・ハウスはあった。

グランド・オール・オープリー

階段を上がり、ロビーに入ることはできたが、早い時間だったからか、ライブは何もやっておらず、閑散としていた。

ロビーの壁には、大きく引き伸ばされたミュージシャンの写真が無数に飾られていた。ハンク・ウイリアムスやグレン・キャンベル、ドリー・パートンといった日本でも有名なミュージシャンなどの他にも、たくさんの写真があった。

カントリー&ウエスタンは聴くと耳に心地良いのだけれども、現在の日本では一般的ではなく、自分から配信サイトなどを検索していったりしないと、なかなか耳にすることはない。もっと聴かれてもいいと思う。テデスキ・トラックス・バンドなどは、現代的なセンスとバンド編成なので、YouTubeに何かの拍子で出てきたりすると僕もときどき聴いている。

「全米住みたい街ランキング2位」の街づくり

再び、カムリでダウンタウンを離れると、大通りの脇には大学や病院、企業などの新しい建物が目立っている。日本企業もいくつかあった。

「ナッシュビルは、昨年の“アメリカで住みたい街ランキング”で2位に入ったんですよ。昔は典型的な南部の保守的な都市だったらしいのですが、新しい街づくりを行なって大学や企業などを誘致して、住みやすくなったようですね」

昨日、レクサスUSAのスタッフが、ナッシュビルが生まれ変わったことを教えてくれた。ダイナミックに街が新陳代謝していく様子は、ときどきアメリカを訪れてもすぐに感じることができて、いつもアメリカという国の活力を見た気になる。国土が広いから、多様な出身地を持つ人々が暮らしているから、古い歴史を持っていないからなど、理由はいろいろと考えられる。良し悪しを断じるほどの判断材料は持ち合わせていないけれども、日本と違うということだけは良くわかる。

もうひとつ、以前から訪れてみたかった「ジャック・ダニエルズ」のバーボンウイスキー蒸留所がナッシュビル近郊の山の中にあって、インターネットで予約しようとしたら人気があるようで、すでに数日先まで一杯だった。

リス

ハンティング用品店でハンティング

蒸留所は諦めて、次に向かったのはハンティング用品店巡りだった。ハンティングを趣味で始めた東京在住の友人からハンティング用の銃のスコープ(照準器)を頼まれていたのだ。そのスコープは日本では手に入らなかったらしい。

「ハンティング用スコープにもいろいろな種類があって、海外から通販で取り寄せるのも難しいものがある。アメリカはハンティングがポピュラーなアウトドアスポーツだから、簡単に買えるかもしれません」

具体的な製品名と、それを売っていそうなナッシュビルのハンティング用品店のリストがEメールに添付されていた。

インターネットは便利なもので、乗車中にWiFiが使えるSIMカードをレンタカー予約時に一緒に申し込んでおいたので、自分のスマートフォンから用品店の住所をクルマに転送したり、店名を読み上げたりすれば、カーナビ画面上のキーボードを一文字ずつタッチして打ち込まずに目的地を設定することができる。

同じことは日本国内で励行していたから、アメリカでレンタカーを借りても同じように行なえば良いわけだから、ラクチンな上に間違いがない。少し前までは、地図と口コミだけだったから、海外でのレンタカー利用は劇的に便利になった。

そのおかげもあって、3つのハンティング用品店を手際よく巡ることができた。3店舗は、それぞれフランチャイズの大きな量販店、マニアックで古く小さな店、最近改装された広くてきれいな店だった。

量販店は、一見すると日本のアウトドアショップのような品揃えと変わらない。しかし、奥に入っていくと、一角に(と言っても広大だけれども)ハンティング用品のコーナーがあり、銃がガラスケースに並べられていたり、カウンターの後ろに散弾銃やライフル銃などが立て掛けられていたりする。弾丸もサイズや火薬の種類や量などによって様々なものが売られている。ケースやストラップ、メインテナンス用品などもある。カモフラージュの服も、場所や季節によって模様が違っていて、リアリティがある。

2軒目は小さな店だったので、品揃えは少なかった。店員は「欲しいものがあったら取り寄せるから、何でも言ってくれ」とフレンドリーだった。

3軒ともハンティング用品店だから、店の半分では銃を売っていた。ピストルからライフルまで揃っている。ナイフやボウガンのようなものも豊富に取り揃えられているので、見ているだけでも飽きない。

こんなところに相撲ファン! 

指示されたものは、1軒目と2軒目にはなかった。3軒目の、その名も「NASHVILLE GUN & KNIFE」は目抜き通りから奥に入ったところにあった。

NASHVILLE GUN & KNIFE

「ハーイ、何を探していますか?」

ハンティング用品店に限らず、欧米の小売店では店内に足を踏み入れたら、店員から必ず話しかけられる。日本では、それを嫌う客がいて、“話しかけないで下さい”というプレートをわざわざ作成したデパートがあるというニュースを読んで呆れたことがあった。他人とのコミュニケーションをことさら忌避しようとする現代日本でしか考えられない。

具体的に探しているものがあるならば伝えれば良いし、見るだけならば「ちょっと見せて欲しい」と断れば、店員だってそれ以上は構って来ない。

NASHVILLE GUN & KNIFEでも、中年の男性店員が話し掛けてきた。

「何かお手伝いすることはありますか?」

スコープを探していて、と製品名を伝えた。

「それだったら、品切れだ。でも、メーカーから新型が出るって聞いている。来月のハンティング用品ショーに展示されるんじゃないかな?」

そう言って、カウンターの下からハンティング用品ショーのパンフレットを取り出し、僕にくれた。

「僕は日本からの旅行者で、明日、東京行きのフライトに乗らなきゃならないから、せっかくだけどショーには行けないんだ」

「そうか、日本から来たのか!?僕は相撲のファンで、毎場所、スポーツチャンネルで観戦しているよ」

●●山とか●●海とか、具体的な四股名が次々と出てくるあたり、かなりの相撲ファンだった。僕は相撲のことはまったく知らないので、残念ながら話が発展することはなかった。それでも、会話できたことは楽しかった。

今までも、買い物や飲食が目的で入った店で店員と交わした会話から情報や知識を得て、買い物が充実し、旅が広がったことが数え切れないほどあった。実際のところは実のある会話の方が少ないのだけれども、ただ金銭と品物を交換するだけでは終わらない買い物の方が人間的で、僕は好きだ。

「あなたが来ているTシャツは、それは何が描いてあるの?」

買い物にはまったく関係ない、ちょっとした会話が付け加えられることによって、旅でも日常でも彩りや潤いのようなものが生まれてくる。

「念のため、スコープの在庫があるか、いま倉庫を調べてみるよ」

その間に、僕は東京の友人にスマートフォンからショートメールで事の顛末を伝えて、指示を仰いだ。東京は夜遅くだったから、返信はすぐに来ないかもしれない。

「ごめん、在庫もなかった。ショーの様子や新型スコープは主催者やメーカーが動画や画像で発表するから、日本でチェックしてみてくれ。ウチは日本へも発送できるから、気に入ったら注文して欲しい」

レクサスES

地下鉄やバス、タクシーの充実したニューヨークのような例外以外は、アメリカは徹底したクルマ社会だ。ナッシュビルのような大都市でも、ダウンタウンから外に出て目的地を次々と訪れようとすれば、自分のクルマは欠かせない。

自動車ライターの僕も、試乗の仕事が終わってしまえば、自分の足となるレンタカーが必要となってくる。アメリカでは、あちこちと街を探るのにレンタカーはなおさら欠かせない。外国をレンタカーで走れる日は、いつ戻ってくるのだろうか?

金子浩久
私が書きました!
自動車ライター
金子浩久
日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(BE-PAL選出)。1961年東京都生まれ。趣味は、シーカヤックとバックカントリースキー。1台のクルマを長く乗り続けている人を訪ねるインタビュールポ「10年10万kmストーリー」がライフワーク。webと雑誌連載のほか、「レクサスのジレンマ」「ユーラシア横断1万5000キロ」ほか著書多数。https://www.kaneko-hirohisa.com/
※掲載の写真はすべて2015年に撮影したものです。
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