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知的好奇心ぐりぐり+熱い人間ドラマ
宇野 航監督
1979年生まれ、岐阜県出身。劇場用映画の企画・制作を経て2022年に独立。本作が監督デビュー作。写真は、「大阪府ふぐ取扱登録者証」を手に。

「学生時代からの友人と、ドキュメンタリーのネタ出し合宿をしていて。“曾祖父がフグの毒にあたり、生きたまま竹藪に埋められた”と聞き、そんな民間療法が!? と驚いて。そこからフグについて調べると、へ~! というネタの宝庫。大小百超のネタのなかで断トツに面白く、これは映画になるなと」
そう語るのは宇野航監督。毒魚を食べる食文化は世界でもまれ。EUでは輸入禁止されるなか、食に貪欲な日本人が、多くの犠牲と知恵と工夫で食べ続けてきた。それがフグ。
「食べる工夫といえばこんにゃくなどにもその極みを感じますが、フグとの違いは免許制度があること。フグを扱うには医者や弁護士と同じ、資格を持たずに業務できない、業務独占資格が必要です。それで料理人は“のれんをくぐったら、お客様には安心して食べていただける。それが我々フグ料理屋の誇りです”と熱く語る。まさにザ・プロフェッショナルだ! と」
東京都ふぐ調理師試験に挑む女性を軸に、仲買業に従事する目利きのスペシャリストら、フグに熱く取り組む人を映し出す。誰もが異様に個性的。
「みなさん目線が鋭い。料理人が手順を少しでも間違えたらお客様の命にかかわるから真剣なんです。信念のようなものがひしひしと伝わってきました」
合法的に肝食解禁を目指す人、フグ無毒化の研究。またさばき方ひとつに地域性を感じさせたり、それぞれに深掘りができる。まさに、“フグ道”!
「こんなに面白い世界が!? と衝撃でした。ひと足早く映画を観た方が、『日本にもまだこんな“秘境”があった!』『情熱とロマンの映画ですね』と。それはフグという毒魚を扱うからで、フグでなければまた違ったはず。この世界の魅力は、そうしてぐるっと一周回ってフグに帰る。きっと、その奥深さを感じていただけると思います」
『GUN FISH あなたの知らないフグの世界』
(配給:KeyHolder Pictures)
●監督/宇野 航
●企画/井上 優、宇野 航
●ナレーション/斎藤 工
●テアトル新宿ほか全国公開中


フグを取り巻くのは、強い意志を感じさせる人ばかり。豊洲で仲買業に従事する目利きのプロ、その働きっぷりに惚れ惚れ。

大阪・岸和田、ミシュラン二つ星のふぐ料理店「喜太八」店主。「ふぐ博物館」をつくってしまったフグ研究家でもある。
知ってる?知らない!? フグのびっくり話
●下関でフグは獲れない!
産地が北上し、漁獲量トップは北海道。毒魚を扱う、高度な流通技術のある下関は、取扱量が日本一。"フグの名産地"とはそういう意味なのだ。
●獲れた場所で、食べられる部位が違う!

フグは世界で400種以上。日本では食べてよい種類や部位が法律で定められ、種類ごとに可食部位が異なり、漁獲場所によって条件も変わる。複雑!
●猛毒の卵巣は食べられる!

毒があるのは主に肝臓、卵巣、皮。ところが卵巣を2年間塩蔵し、糠などに漬けて解毒。北陸の一部地域でのみ、珍味「ふぐの子」の製造が許可されている。
(BE-PAL 2026年10月号より)




