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つの丸のふがふがDog Days 第13回 柑橘好きなわんこと苦手なわんこ
つの丸
1970年5月27日生まれ。漫画家。 代表作はアニメ化もされた「みどりのマキバオー」など。保護犬たちと暮らしている。

四月の頭ごろ、妻がタケノコ掘りに行きたいと言い出した。
新鮮なタケノコの刺身を食べたいのだそう。
私(つの丸)は特に食べたいと思わなかったし、ピートたちに食べさせる感じでもないので、ムカつかれながらも返事を濁していたらLINEで農園のサイトが送られてきた。
「あれ、ここ知ってる!」
行ったことはなかったが、いつか行こうとチェックしてGoogleマップにピン立てていたみかん農園のキャンプ場「オレンジ村」だ。みかん狩りもタケノコ掘りもできるのか……。
「いいじゃん! ここ、文旦もあるし!」
私は柑橘類をあまり好んで食べないが、ひとつ好物といえるものがある。文旦だ。ちょうど文旦を食べながら「ああ、これが今年最後の文旦かなぁ」などと思っていたところだ。
「ロッコもチッチも文旦好きなんだしここに行こう!」
しかしすでに四月も中旬。シーズンギリギリだ。
農園に問い合わせるとまだ文旦はあるとのこと。
海から程近い高台に位置する広大な敷地の農園(キャンプ場)。到着すると海を見下ろせる絶景ポイントはどこもすでに先客に陣取られている。途中、道の駅でテンションが上がってしまい3時間遅れの到着だったのでしかたない。設営場所を決めてみかん狩りの受付をしに休憩所に足を踏み入れると柑橘類の爽やかな香りが立ち込めていてウキウキ。どこに何の木があるかの説明を聞き、はさみと高枝切り鋏を借りていざ農園へ!
みかんにレモン、甘夏、はっさく、清見、はるみ、デコポン、すだち、カボス…他。柑橘類全部あるの? ってくらい種類がある中、私が目指すは1本の文旦の木。ピート、ロッコ、チッチを引き連れ木々の中を分け入ると、一帯に立ち込める柑橘類の香りで察したのか、お散歩大好きのピートの足取りが重く表情が曇る。そう、ピートくんは柑橘類が苦手なのだ。家で食べていると「分けてくれ」とばかりにみんな寄ってきてロッコとチッチは喜んで食べるけどピートは口には入れるもののすぐ吐き出しちゃう。
そんなわけで私が文旦の収穫してる間も興味なしのピートくん。ロッコは高枝切り鋏で獲っている様子を側で見守ってくれてたし、チッチなんて獲った文旦を見せたら突進してかぶりついてきたというのに(ボールだと思ったんだろうけど)。
まあそれでも食い意地が異常なので食べ始めたら寄ってくるんですけどね。
園内の農道の脇に座り込んでさっそく獲った文旦を剥きはじめると、3匹そろっておすわりしてその様子を見つめてる。興味ないはずのピートくんも。
ひとふさ剥いてタネを取ったら少しずつちぎってみんなの口へ。がっつくロッコとチッチ。しぶしぶ口に入れ「うぇ〜っ」って顔ですぐ吐き出すピート。吐き出したものに飛びかかるロッコとチッチ。
「汚いから吐いたもの拾うな!まだあげるから」
ビシッとおすわりして見せるロッコ、チッチ、そして(なぜか)ピート。
柑橘類が苦手とはいえ貰えないのは悔しい。貰ったうえで吐き出す自由が欲しいというピートの意地汚さ。いや、ピートの意地汚さはこんなものではない。いらなくて吐き出したものが拾われるのも悔しいのだ。悔しすぎて「拾われるくらいなら!」ってことでやがて無理して飲み込む。
もうちょっと糖度の高いものならどう? ってことで「清見」というオレンジの木のエリアに移動。ロッコは皮ごと齧り付く勢いだけどピートは渋い顔。やっぱり柑橘類はどれも苦手のようで。
園内は時間無制限で食べ放題ですが、文旦と清見をひとつずつ食べてあとは別精算で持ち帰ることに。キャンプサイトに戻って楽しく焚き火してカレー作って「ごめんごめん、次はいちごか梨かブルーベリーかピートくんの好きな果物も収穫に行こうね」なんてピートと約束して。楽しくキャンプして帰ったわけですが……。
……妻の要望だったタケノコ掘りはしませんでした。

文旦狩りにやってきた! 左からチッチ、ロッコ、ピート

文旦に突進してくる2匹と、遠くから見つめる、あまり気乗りのしないピート。

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※文・マンガ・写真/つの丸
(BE-PAL 2026年7月号より)




