「せっかく近くにアウトドアスポットがあるのだから、あちこち行ってみよう!」と、筆者が創設したのが「バンクーバー日帰り絶景アウトドア部」(現在部員1人)。今回は、バンクーバー地元っ子のおすすめ、絶景のハイキングルートをレポートしますよ。
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登って、登って、頂上へ。眼下に広がる海の青さは、神がかっていた!
長い雨の季節が終わると、春~秋のバンクーバーはアウトドアの季節。人々はこぞって海へ!山へ!と出かけます。
そんなある日、「絶景のハイキングルートがあるよ」と友人から聞いた筆者。絶景ファンとしては黙っていられません。
さっそく気軽なウォーキングのつもりで出発!……が、これがなかなか本格的な山登りトレイルだったのです。
しかし、苦労して登ったハイキングの最後には、絵画のような絶景を一望する巨岩の天然展望台が……!
いや、これは気持ちいい!
ではさっそく、行ってみましょう!
初めてなのに、懐かしい。ノスタルジックな入り江の村
こんにちは。バンクーバー日帰り絶景アウトドア部、部長の佐知ゆりこです。
今回訪れたのは、バンクーバーの中心地からみて北側、ノースバンクーバー地区にある「ディープ・コーブ」。バンクーバーの中心地から車で約30~40分、路線バスでも1時間ほどで到着できる、入り江に面した小さな村です。

都会から郊外へ、車窓の移り変わりを楽しみつつ小旅行気分。ディープ・コーブにたどり着くと、さっそく見晴らしのよい海辺の公園が見えてきました。

地元の人が犬を連れて歩き、家族連れやカップルが芝生で憩い、水の上にはカヤックを楽しむ人たちも。大都会のバンクーバーから1時間で、こんなにのどかな場所に来られるとは。
ここで筆者を歓迎してくれたのは、ふわふわの白い小犬。

公園でのんびりも素敵ですが、今回のお目当ては噂の絶景スポット「クォーリー・ロック」。森を抜けた先に現れる大きな岩場で、そこからこの入り江を見下ろすことができるのだそう。
公園をあとにして、住宅地方面に向かいます。
住宅街の裏手が、いきなり森!
クォーリー・ロックへの入口である「バーデン・パウエル・トレイル」は、住宅街のすぐ裏手。あまりにさりげない標識しかなく、思わず見落としてしまいそう。(実際、私は標識を見落としてしまい、わざわざ険しい回り道をしてしまいました)

木々の中へ足を踏み入れると、海辺の明るさはすぐに遠のき、うっそうと生い茂る森の中へ。迫りくるような木々に圧倒されます。さながら迷路のよう。


アウトドア部部長、ピンチ!道に迷った!?
クォーリー・ロックと呼ばれる巨岩展望台に続くこのトレイルは、往復で約4キロ弱。距離だけ見れば短めのハイキングなのですが、実際に歩いてみると、これがなかなかどうして。
足元がかなりラフ。複雑に絡んだ木の根が張り出し、倒木に切り株、ごつごつとした大きな石もあります。しかも、ずっと登り坂。長い冬の間に雨の多いバンクーバー、春夏であっても森は深く、湿った土と苔の匂いがします。

地図で見た印象から、かなりお気楽に構えていた筆者。しかし歩き始めてみると、これは思ったより本格的。延々と続く登り坂。周囲には誰の姿も見えず、1人での山歩きに不安がよぎります。

「ぜんぜん進んでいない気がする……いつ到着するの?」。スマホで地図を確認するも、30分以上は歩いたのにゴールはまだまだ先。疲れてきたよ……。
弱気になってきたので、気分転換。持参したコーヒーを飲み、頂上で食べようと思っていたサンドイッチを森の中で食べることにしました。
(みなさん、ハイキングにはちょっとした飲食物の持参がおすすめです!)
本当は絶景を見ながら食べようと思っていたのに、と少し残念に思いつつ、薄暗い森の中で1人、苔むした倒木に腰を下ろします。さ、寂しい……!
しかし気を取り直してサンドイッチをひと口食べ、コーヒーをごくり。一息ついて落ち着いてくると気づいたのは、輝く木漏れ日、木々の間を抜ける風の音、遠くで聞こえる鳥の声。そんな微かで美しいものが、目や耳に入ってきました。

「もう少し進んでみよう」。顔をあげて歩き出すと、急に道が開けてきました。整備されたトレイルに出たのです。
なんだ、こっちが本来のルートか……。さっきまでの苦労は何だったんだ、と思いましたが、遠回りも旅の一部。頂上の絶景をより楽しむためのスパイス! とわりきって、ずんずん進んでいきます。

ハイキングルートに戻ったけれど、まだまだ登る!
ある程度整備されたトレイルに入ったとはいえ、自然のままの部分もあり、相変わらずの登り道。坂道を上り、階段を上り、上へ上へと頂上をめざします。やっと、ほかのハイカーともすれ違うようになりました(ほっ)。

バンクーバー近郊にはこうした山道のハイキングトレイルがたくさんあります。基本的な整備はされているものの、自然の地形を生かしたタフでワイルドな山歩きが楽しめます。
しかし、海辺の村からほんの少し入っただけで、これほど森が深くなるのか……。その自然の多様性に驚かされます。

クライマックスか!? 山道の先に、木の階段が現れた
登り続けること約1時間半(そのうち30分は道に迷っていた時間ですが)。足元は本格的に整備された木の階段になり、クライマックスを感じます。頂上に近づいてきたのでしょうか。視界が徐々に明るくなってきます。



そして、木の階段も終わり、ついに岩場が見えてきました。

もうすぐ噂の巨岩展望台! 岩場を登っていくと……


思わず絶句! 絶景の噂は本当だった!
クォーリー・ロックに到着すると、それまでの森の密度がウソのように、視界が一気に開けます。

目の前には真っ青な空と、ディープ・コーブの青い入り江。水面は細長く奥へ続き、対岸には鮮やかな緑の森と山が重なっています。

苦労が報われる瞬間です!
道に迷いながら歩いたことも、延々と続いた登り坂も、すべてがこの景色を楽しむための準備だったのです。
空に近い、巨岩の展望台。苦労して登ったあとの景色は、やはり格別です。見渡す風景には、どこか神がかった静けさがありました。ここには売店もベンチもありません。ただ、空と自分の間に何も遮るものがない空間が広がるだけ。

小さな悩みが遠のいていく。自然ってすごい
見上げる空はどこまでも青く、入り江の水面は静かに光っていました。果てのない空の下にいると、自分のちっぽけさを思い知ります。日々の細かな心配事や頭の中のもやもやが、少しずつ遠のいていく感じがします。
筆者は岩の頂上に寝転がり、どこまでも続く空をしばし見つめました。自分の生き方、毎日の過ごし方まで少し見つめ直したくなる。そんな、心が洗われるような時間。予定していた気軽なピクニックとは違いましたが、自分の足で獲得したこの景色はむしろ、忘れがたいものになりました。
ところで、「クォーリー・ロック」の「クォーリー」とは、英語で採石場の意味です。「ロック」は岩ですね。
現在は絶景のハイキングスポットになっていますが、この一帯は20世紀初頭にはバンクーバー周辺の道路整備などに使われる石材を切り出す採石場だったのです。町をつくるために働いた人たちの記憶の残る場所。そんな歴史と人の営みにも思いを馳せると、より味わい深い時間を過ごせることでしょう。
帰り道はらくらく。バンクーバーは本当に街と自然が近かった!
さて。帰りますか。また同じ時間をかけて帰るのか、と考えると少し(かなり)気が重かったのですが、登りではあんなに長く感じた森の道も下りになると驚くほど早く感じます。帰り道はとても分かりやすく、40分ほどの下り道。これなら余裕です。
木の階段を下り、森を抜け、住宅街が見えてくると、急に日常の世界に戻ってきます。森を出て10分も歩けば、そこはもうさっきの水辺の公園です。

絶景ハイキングの次は、カヤックだ!
ディープ・コーブは、その名の通り「深い入り江」に面した場所です。穏やかな水面が広がるこの一帯は、カヤックの名所としても知られています。野生のアザラシ親子もいるらしい!
クォーリー・ロックの上から眺めるディープ・コーブも美しいけれど、今度は水面からこの岩場を見上げてみたい。
よーし。次は、カヤックだ!
そう誓ってディープ・コーブをあとにした、「バンクーバー日帰り絶景アウトドア部」部長なのでした。





