2025年秋、斉藤さんはアメリカ東北部のウィスコンシン州にある「アイスエイジ・トレイル」に挑みました。その1,200マイル(1,900km)のアイスエイジ・トレイルに挑戦した様子を、斉藤さん自身によるレポートで紹介します。
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【プロハイカー・斉藤正史の「アイスエイジ・トレイル」レポート」vol.7】
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「アイスエイジ・トレイル」初日を歩き終え、残りは1,192マイル!ロングトレイルのスタートに思うこと | 山・ハイキング・クライミング 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル
Ice Age Trail DAY 2:2025年9月13日
1日目に歩いて感じた改善ポイント
アイスエイジ・トレイル1日目は、川に面した絶好のロケーションながら人通りが多くて落ち着かないキャンプ場にテント泊。8時間ほど寝て、朝4時半ごろに目覚めました。
前回も記しましたが、ロングトレイルは日中に体を動かすのと同じかそれ以上に、日が沈んでからテントの中であれこれ頭を使う時間も大事です。初日の就寝前、そして2日目に歩き出す前の起床後、寝袋に入ったままあれこれ考えました。
①体を拭いた手ぬぐいが1晩たっても乾かない
地域によっては、濡れたタオルやTシャツをそのへんに置いておいてもすぐ乾くこともあります。でも、アイスエイジ・トレイルは水辺が近くて湿度が高いからか、そうではありません。宿泊場所に着いたらすぐに濡れたものを乾かすことを習慣化した方が良さそうです。
②食料を多めに用意する
主食は問題ありませんが、歩きながら口にする行動食が足りていない印象です。そのときどきの体調にもよりますが、今回は少し多めに食料を備えておいた方がいいかもしれません。
③フェイスブックの対応や書き込みに注意
さまざまな面でハイカーをサポートしてくれるボランティアを「トレイルエンジェル」と呼びます。vol.4で述べたように、アイスエイジ・トレイルではアライアンス(事務局)はもちろん、地域の皆さんも手厚く歓迎してくれます。ありがたいのですが、僕のフェイスブックのアカウントへのDMが多量に届きます。すべてのDMをチェックしようとすると、すぐにスマホのバッテリーが底をついてしまうほどです。DMのチェックや返信は、なるべくモーテルやカフェなど電源を確保できる場所で行うこと。何より、むやみにフェイスブックに書き込まないことを心がけます。
④コンデジやスマホの定位置
トレイル歩く際はいつも主に動画を撮影するため、バックパックのハーネスなどにコンデジを装着しています。でも、バックパックが変わると同じようなところに取り付けても落ち着かず、コンデジのベストポジションを見つけるまでに時間を要します。また、トレイルに限ったことではないですが、スマホの収納場所についても悩みます。取り出しやすい場所であることが大前提だけど、出し入れが簡単過ぎると落とさないか心配になります。まあ、コンデジもスマホも2、3日あれこれ試すうちに定位置が見つかると思いますが…。
⑤ソールが硬い気が…
初日に8マイル歩いた実感として、何となく、でも確実に足に負担がありました。インソールは、きちんと足型を取ってつくったものを使用しています。でも、そのインソールとブーツの相性が良くない可能性もあるし、そもそもソールが硬いということも考えられます。ソールが硬すぎると、特に舗装路を長時間歩くのがきつくなります。これから1週間ほど歩いても改善されないようなら、いったんルートから外れたとしても大きな街に出て別のインソールを購入するなど、何かしら対策を講じる必要があるかもしれません。

以上が、アイスエイジ・トレイル1日目を終えて感じたことや今後の留意点です。
例えば、濡れた衣類を干すタイミングやスマホの収納場所など、どうでもいいと思うかもしれません。でも、そうした細かいことがストレスとなって堆積し、ロングトレイルを数カ月かけて歩くうちにジワジワと心身に響いてくるのです。
僕はここ数年、いつも秋にアメリカのロングトレイルに挑んでいます。でも、トレイルごとにさまざまな条件や状況が違うし、身につける装備も変わるし、僕の体調も異なります。些細なストレスにしろシビアな問題にしろ、実際に歩きながら対処や調整を行っていくしかありません。
トレイル2日目、まだまだ無理は禁物
筋力や心肺機能がロングトレイル仕様に仕上がった身体を「ハイカーボディー」といいます。ハイカーボディーになれば、1日に20マイル(約32km)以上歩くことも難しくありません。経験上、ハイカーボディーに整うまでには最短でも1週間は要します。逆にいうと、ロングトレイルのスタートからの1週間はまだ身体ができていないので、1日に歩く距離も短めに設定する必要があるのです。
アイスエイジ・トレイルの2日目は、次の目的地となるキャンプサイトまで20マイルほどの距離がありました。しかも、そこはトレイルのルートから1.5マイル(約2.4km)ほど離れています。計21・5マイルは、ロングトレイル2日目の体には、やや負担が大きな距離です。
初日にトレイルのビジターセンターを兼ねたアイスエイジ・インタプリティブ・センターに立ち寄りました。そこにいらしたボランティアの方に「2日目に向かうキャンプサイトが遠くて…」と話すと、もっと手前にオススメの場所があると教えてくれました。
それが、僕が初日に泊まったテントサイトから17マイル(約27km)地点にあるカフェで、その庭にテントを張れるというのです。しかも、そのボランティアの方がカフェに連絡をし、許可取りまでしてくださいました。ありがたい!
ということで、目的のカフェに向けて出発。17マイルの道のりのうち、およそ1/3は舗装された道路、残り2/3ほどは徒歩と自転車の共同ルートでした。
アイスエイジ・トレイルは、ハイカーと地域住民が交流を図れるように、自然の中だけでなく市街地にもルートが通っています。そうした説明を目にしていたし、この日の17マイルの道のりを地図で確認すると、2つの町を通過しているようです。でも、木々に囲まれた道のりが延々続いていて、いつ町を通ったのか分かりませんでした。1度だけスーパーマーケットを見かけたので立ち寄り、行動食である甘いお菓子を購入しました。

「ハイカーにやさしく」が基本の地域の反応
この日、トレイルのすぐそばを車道が通っている場所で、クルマに乗っている人から声をかけられました。何かと思ったら、フェイスブックで僕のことを知ったらしく、「がんばって歩いてね」といわれました。やはり、アイスエイジ・トレイルでは地域の皆さんのハイカーに対する歓迎の熱が高いようです。まだ歩き始めて2日目で、何も成し遂げていないのに…。
結局、この日は14時40分すぎに目的地の「Cafe Wren」に到着。お店の方に、恐る恐る「裏庭にテントを張らせていただくハイカーの…」と声をかけると、「おつかれさま!」と笑顔で労われました。
しかも、たまたま居合わせたお客さんに「どれでも好きなものをごちそうするよ」といわれ、今回初のトレイルマジック(施し)を受けることに。聞けば、そのお客さんの弟さんはアイスエイジ・トレイルを踏破したことがあるそうです。しかも、息子さんも1,200マイル(1,900km)を断続的に歩き通すセクションハイクに挑戦中とのこと。この町の人たちにとってトレイルが身近であること、そしてハイカーにフレンドリーな理由の一端を知りました。
そうこうしているうちに、カフェの閉店時間である15時に。翌日は定休日だといいます。お礼を兼ねてコーヒーか何か頼もうと思ったのですが、「レジも締めちゃうし、気にしなくていいよ」といわれました。ありがたいけど申し訳ないと思いつつ、庭にテントを張らせていただいたのでした。

カフェなので当然といえば当然ですが、ここには水道も電源もあるし、Wi-Fiも完備されています。この上ないほど好条件の場所で、2日目の夜を迎えたのでした。このカフェを紹介してくれたアイスエイジ・トレイルのボランティアの方、そして地域の皆さんに心から感謝!





