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ごちそう時々お酒ハイク! 感謝していただきます編
私が行ってきました! ライター 藤原祥弘
野生食材の活用やベーシックな野外活動術を探求&実践。この旅では能登の磯の魚っ気に仰天。「次回はカヤックを持ち込んで釣りをしたい!」
COURSE TIME 約7時間

ヤセの断崖~總持寺祖院
総距離 15㎞
舗装路と砂浜を行き来するコース。舗装路エリアが長いので、靴はソールが柔らかいものが良い。總持寺〜剱地はバスが運行。剱地の琴ヶ浜駐車場を起点にするとよりスムーズかつラクに歩ける。
自然、文化、歴史がそろう能登の旅
2024年1月1日。能登半島は、能登半島地震に見舞われた。地震の規模はM7.6。最大震度7を観測した。
私はその3か月後に災害ボランティアとして能登を訪れたが、街や自然をほとんど見られなかった。活動に忙しかったこともあるが、壊れた生活を余所者として覗くのが忍びなく、極力見ないように努めたからだ。
そんなわけで私の能登の記憶は仏壇と冷蔵庫ばかりなのだが(私は重量物の移動担当だった)、支援先への道中で目にする白い砂浜の印象は強く残った。場所によっては4mも隆起したという西海岸には、地震の前よりも広い砂浜が生まれていた。
「能登のあの海岸線はすばらしいトレイルになるのでは……」
そう思いついてから2年。ついに能登を再訪した。
白羽の矢を立てたのは志賀町から輪島市の門前町までのエリア。この一帯がもっとも地形の変動が大きく、史跡や景勝地も多い。そして、私のボランティアとしての活動地でもある。
本当は道中で1泊して増穂浦から海岸づたいに集落をつなぎたかったが、どうにも天候がすぐれない。志賀町エリアはクルマでめぐることにして、1日で歩けるコースどりとした。
午前7時。磐座と古墳をクルマでまわって「ヤセの断崖」から歩き出す。マツ並木に絶壁。犯人だったら事件の全容を語り出したくなるな……と思ったら、それもそのはず。ここは松本清張の『ゼロの焦点』の舞台だという。サスペンスの本家じゃないですか!
歩いて数分の「義経の舟隠し」(一番上の写真)は深い入江で、数十m下の海面までひと息に切れ落ちる。スタート直後からスリルの大盤振る舞いだ。
ここからはしばらく舗装路を歩く。志賀町から輪島市へと入り、琴ヶ浜で海岸へと出た。砂を踏み込む度に踵の下で「ギュッ!」と砂が鳴る。琴ヶ浜は今では珍しい鳴き砂の浜なのだ。
浜の先に見えるのが剱地の集落だ。ここに私が防災ボランティアとして加わった「RQ能登」の事務所があった。
さすがにもう閉じたろうけれど……と訪れると、なんと、今も継続していた! 群馬から通っているボランティアのアパッチさんは、年の半分をここで過ごしているという。息の長い活動に、頭が下がる。
剱地からは舗装路を歩く。トトロのような権現岩、赤銅色の赤神など、特徴的な岩場を過ぎると長い浜に出た。
砂浜の上に消波ブロックが並んでいるがどれも塗られたように白い。よく見ればすべて乾いた貝殻だ。隆起によって海中から陸上に姿を現わしたのだろう。
「カハァン!」
鋭い鳴き声とともにマガンと思われる鳥が飛び立った。テトラポッドの内側には湿地ができ、そこにはカモやチドリが集っている。かつての海が、今は渡り鳥の中継地になっている。
湿地から舗装路に戻ると、そこは北前船の寄港地として栄えた黒島の集落だった。地震の被害でところどころ更地になっているが、あちこちから家を建て直す作業の音が聞こえてくる。
黒島からゴールの總持寺までは1時間ほど。参詣の前に腹ごしらえ……と地域で人気の食堂に入ると隣の卓から声をかけられた。私を知っているという。
人違いでは⁉ と驚くと茨城県のキャンプ場「フォレストピア七里の森」の職員の方だった。まさかこんなところで読者にみつかるなんて(悪いことはできないものですね……)。
旅を締めくくる總持寺は曹洞宗のかつての大本山。復旧作業中だが建物も境内も美しい。
自然、文化、歴史がそろう能登の旅。今こそおすすめです!
7:00
車で周遊! 高瀬宮&千浦二子塚古墳群

高瀬宮は磐座を祀った祭祀遺跡。ここの神は社殿を嫌い、何度建てても一夜で壊れるそう。アウトドア派!

12基の古墳が広がる千浦二子塚古墳群。5世紀と7世紀ごろの2度、造営されたと考えられている。
7:30
ヤセの断崖&義経の舟隠しをスタート

景勝地のヤセの断崖と義経の舟隠し。狭く深い入江には敗走する義経が48 艘の舟を隠した伝説が伝わる。この崖の際で脱ぎ捨てられた靴を発見。やめてよ〜!
8:00
志賀町から輪島市へ

海岸線以外では基本的に舗装路を歩く。ハイペースで歩けるが、そのぶん路面からの突き上げも強い。緩衝力の高い靴で。
8:30
鳴き砂の浜「琴ヶ浜」を歩く

明るいベージュの浜の砂は、山から流れ出した石英。踏むとギュッ! と琴のような音が鳴ることから琴ヶ浜の名がついた。砂はよく締まっていて歩きやすい。

9:00
思い出の剱地を再訪

ヒラメがいそうな琴ヶ浜。歩きながら釣りをしようとパックロッドも持ってきたが、竿を出す前に剱地の集落が近づいてきた。

ラフティングガイドを中心に組織された「RQ能登」が間借りしていた詰め所。

今もボランティアを続けるアパッチさんと。最初しか行かないでスミマセン……。
10:00
権現岩&赤神を通過

「権現」とは神仏が仮の姿で現われたもの。その名を戴く権現岩は今では通称「トトロ岩」に。トトロも神の一種だから、OK?

赤神隧道近くの岩場はその名のとおり鮮やかな赤みを帯びている。近くには「道の駅赤神」があり食堂とトイレを利用できる。
11:00
千代浜から黒島へ

千代浜も鳴き砂の浜。隆起によって地震以前よりも浜が広大になり、黒島地区は陸地の面積が3割近く増えたという。
隆起によって海が陸に!

↓

門前町周辺は能登半島のなかでもとくに大きく隆起したエリア。鹿磯漁港周辺では4mほども隆起し、黒島漁港に至っては完全に陸になってしまった。
出典:国土地理院撮影の空中写真(2010年、2023年撮影)
12:00
隆起して陸地になった黒島漁港を歩く

地震で陸地になった黒島漁港周辺には真水が流れ込み、アシやガマが茂る湿地になっている。ちょうど冬鳥と夏鳥が交差するタイミングだったため、多くの鳥が飛び交っていた。

12:15
黒島から八ヶ川沿いに總持寺へ

国の重要伝統的建造物群保存地区にも指定される黒島。多くの建造物が地震の被害を受けたが復興が進む。黒島から先は、八ヶ川の土手沿いの道と国道249号線を縫うようにつないで總持寺を目指す。

12:30
地魚ならここ! 食事処「縁」で舌鼓

地元の漁港にあがる魚を楽しめる。人気は刺身と揚げ物のコンビのおまかせ定食(¥1,800)。ここで読者と遭遇。ご縁ですね!
食事処「縁」
住所:石川県輪島市門前町門前4-90
電話:0768(42)0019
営業時間:11:00~14:00、18:00~21:00
定休日:日曜、月曜

14:00
再建が進む總持寺祖院でゴール


曹洞宗の大本山は永平寺と總持寺。本山としての總持寺は火難によって神奈川に移ったが、それ以前はこちらが本山だった。先の地震で大きな被害を受けたがそれでもなお荘厳。
行動食にもgood!

總持寺境内のお土産屋さんで入手。おすすめはピーナッツ味。¥500。
逃すな! 1日2便のコミュニティバス

總持寺からは1日に2便ある「愛のりバス」で剱地まで戻り、そこから徒歩でヤセの断崖駐車場へ。
能登を楽しむスロウな宿
TOGISO能登の古民家宿

築90年の民家を素泊まり宿に改装。BBQ用品、スノーケリング用品、カヤック、自転車などレンタルギアが充実。1名1泊¥8,800〜。現在、住み込みスタッフ募集中。


住所:石川県羽咋郡志賀町赤崎ロ58-1
HP:https://togiso.jp/
ゲストハウス黒島

海好きのオーナーは元県庁職員。併設のバーが宿泊者と地域住民を繋ぐ。SUPや釣り具のレンタルあり。1名1泊¥5,500〜(ドミトリー)、2名1泊¥13,000〜(個室)。


住所:石川県輪島市門前町黒島町ロ67
HP:https://www.guesthouse-kuroshima.com/
※構成/藤原祥弘 撮影/矢島慎一 地図/MORISON
(BE-PAL 2026年6月号より)




