南国の山菜界の”オオタニ”さん、オオタニワタリを求めて屋久島へ! | 自然観察・昆虫 【BE-PAL】キャンプ、アウトドア、自然派生活の情報源ビーパル

自然観察・昆虫

2026.06.09

南国の山菜界の”オオタニ”さん、オオタニワタリを求めて屋久島へ!

南国の山菜界の”オオタニ”さん、オオタニワタリを求めて屋久島へ!
日本だと絶滅危惧種に指定されている一方で、沖縄などでは食用の山菜として販売されているオオタニワタリ。いったいどういうことなのか? 謎を解くため、屋久島へ向かった。
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私たちが行ってきました!

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「屋久島西部の森にやってきたよ!」。xiangyuさん着用:レインジャケット¥26,400・レインパンツ¥22,000・ストレッチジャケット¥13,200・パンツ¥14,850・キャップ¥4,180・バックパック¥15,950・シューズ¥16,940 
コバユカ着用:レインジャケット¥26,400・ロングスリーブシャツ¥9,900・パンツ¥15,950・キャップ¥6,490・バックパック¥17,600・シューズ本人私物
問い合わせ先:Columbia/コロンビアスポーツウェアジャパン TEL:0120-193-803

xiangyu(シャンユー)さん(左)

登山が趣味のソロアーティスト。ラップ、テクノ、ベースミュージックを基礎に、幅広い音楽を展開している。1stアルバム『遠慮のかたまり』がサブスクにて好評配信中。

編集 コバユカ(右)

子供時代から植物好きの編集者。今まで編集した植物図鑑は、小学館の図鑑NEO『花』『植物』、『花と葉で見わける野草』など。シャンユーちゃんとは山菜採り仲間。

めちゃくちゃエグいですよ。天ぷらでも無理!

コバユカこと私が昔編集した『おじさん図鑑』という本の台湾版が発売される際に、台湾のおじさんを取材したことがあった。著者と一緒に地元のおじさんたちがおすすめの居酒屋やベトナムパブ(台湾ではフィリピンパブよりも主流)に連れていってもらうと、よく出てくる真緑の炒め物。「これ、オオタニワタリじゃない!?」植物好きの私は高揚した。口に運ぶと、強めのシャキシャキ食感がたまらない。またいつか食べたいと心に残っていた。
 
日本だと絶滅危惧種に指定されている一方で、沖縄などでは食用の山菜として販売されている。いったいどういうことなんだ? 実態を探りに、よく一緒に山菜やきのこ採集合宿をしているシャンユーちゃんを連れて、鹿児島県の屋久島へ調査に出かけた。
 
まず話を聞いたのは民宿「四季の宿」のスタッフ、大水さん。

「え! あんなエグいのを食べたいんですか? 僕はもう二度と食べる気がしないですけどね」
 
しょっぱなから出鼻をくじかれた。なんだって? エグいですって……!?

「めちゃくちゃエグいですよ。天ぷらでも無理でした(笑)」
 
その後も、屋久島の人たちから「オオタニワタリはエグい」という情報が次々と集まった。食べられるのは木の上に着いているもので、地面から近いのはエグい別種という説も出てきた。なんだそれ! 調べると、葉の裏のソーラス(胞子嚢群)の長さなどによってオオタニワタリ、シマオオタニワタリ、ヤエヤマオオタニワタリと、俗に〝オオタニワタリ〟と呼ばれているものには3種存在していたのだ!
 
オオタニワタリ研究の大家、兵庫県立人と自然の博物館館長の村上哲明先生によると、食用にされているのはその中のヤエヤマオオタニワタリの1種だけ。そして先生ご自身はオオタニワタリとシマオオタニワタリは絶滅危惧種のため食べたことがないそう。DNAで見ると「シマ&ヤエヤマ」は近縁なので味も似ているのではないかと予想するが「オオタニ」と「シマ&ヤエヤマ」は遠縁なので味が違っていても不思議ではない。とはいえ「オオタニワタリの味がヤエヤマオオタニワタリと大きく異なっているなんて、想像さえできていませんでした。大変貴重な情報をありがとうございました」とのことで、なんと未知の領域に足を踏み入れていたようだ。そして唯一食用のヤエヤマの分布は沖縄本島以南なので、屋久島には食べられる山菜界のオオタニはいなかったのだ。ここまで来たのにあのシャキシャキしたオオタニが食べられないとは残念すぎる……! 
 
翌日、気を取り直してハイキングに出かけると「フカノキ(ウコギ科)」のプレートを見つけた。南国の植物のようで初めて聞く名前。自然写真家の大作さんが「これ見てウコギ科だよ?」という。ウコギ科はタラの芽など香り高い山菜が集まるグループ。そして猛毒のものがほぼ確認されておらず比較的リスクが低い。葉を1枚ちぎってみると爽やかな香り。

「うわぁ~いい香り! これはいけそうですね!」
 
だんだん目が慣れてくると、道ばたなど、そこらじゅうにあるじゃないか! 食用の情報が見つからず若干不安だが、植物図鑑編集歴20年の勘から少し試してみることに。宿に持ち帰って新芽を天ぷら、若葉をマルゲリータにした。「美味しい! これはアリ!」シャンユーちゃんも大絶賛。今のところ、全員お腹も大丈夫である。

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散策開始。巨大な葉のクワズイモ! 語源は「食わず芋」で毒がある。

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尾之間にある「四季の宿」の大水さんがオオタニワタリを見せてくれた。

オオタニワタリ

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放射状の葉の中にはかわいい新芽が! 見た目は美味しそうだけど……

通称“オオタニワタリ"には3種類あり、食べられるヤエヤマオオタニワタリは屋久島にはなかった!!

シマオオタニワタリ

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西部林道で頭上を見上げると、ガジュマルの木に2種のオオタニが! こんなにそっくりでもDNAでは遠縁だなんて、植物って奥深い!

ソーラスを観察しよう!

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微妙な長さ。オオタニワタリか……?

成長した葉を見るとソーラス(胞子嚢群)が線状になっている。この線の長さが葉の中央未満ならシマオオタニワタリかヤエヤマオオタニワタリ。葉縁まで伸びていたらオオタニワタリ。これが見分け最大のチェックポイント!

屋久島で食べられる美味しい山菜料理

南国山菜界のホープ!? フカノキ〈ウコギ科〉

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葉っぱの部分が小さくて不思議な形の新芽。ケバケバしているが、天ぷらにすれば気にならないと予想。香りは最高なので期待が高まる!

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新芽採りハマる
楽しい~!

フカノキの新芽をポキッと折り取るのが楽しい。大好きな山菜、コシアブラそっくりの香り。う~ん、たまらん!

フカノキの葉のマルゲリータ

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想像超えの美味しさに一同大興奮!

ピザに若い葉を乗せ、オーブンでさっと火を通す。バジル超え!? の爽やかで、コクのある味わい。

ハンダマ(水前寺菜、金時草)〈キク科〉

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各地で愛される伝統野菜。畑から逃げ出したのか、しばしば野良のハンダマも見かける。

ハンダマのちらし寿司

おひたしを刻んで混ぜ込んだ酢飯に、生のハンダマと名産トビウオの刺身をあしらったパーティー感満点のちらし寿司。調理と盛り付けはシャンユーちゃん!

南国山菜の天ぷら

フカノキの新芽は"山菜の女王"ことコシアブラのような香りにほろ苦さもあり、天ぷらにすると苦みが和らいで、個人的にはかなり良かった。ハンダマも美味しい。

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上の写真左から
フカノキの新芽
ハンダマ(水前寺菜、金時草)〈キク科〉
ヨモギ〈キク科〉

ヨモギはここでもスタメン入り。屋久島名物「かからん団子」は、ヨモギ餅をサツマサンキライ(別名カカラン)の葉で巻いたもの。

ハンダマのおひたし

春菊のような香りで美味。屋久島名物のサバ節とも合う!

青パパイヤのスープ

屋久島では野菜として食べられている。カレースープに入れると冬瓜のような味と食感でクセになる。

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庭先に植えているお宅も多い!

ヤエヤマオオタニワタリを食べるなら沖縄以南へ!!

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"オオタニワタリ"の名前で流通する山菜のヤエヤマオオタニワタリ。エグみが少なくシャキシャキ食感で美味しい。台湾など沖縄本島以南では広く自生している。ややこしいので、誤解を避けるためにも"ヤエヤマオオタニワタリ"の名前を流行らせたい!


※構成/小林由佳(編集部) 撮影/大作晃一 モデル/xiangyu

(BE-PAL 2026年5月号より)

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