今回は、フランス領ポリネシア・ソシエテ(ソサエティ)諸島からお届けします。
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「当たりくじ」と呼ばれる場所とは?
ソシエテ諸島は、「地理的な当たりくじを引いた場所」。
そう言われるほど、この地域は自然条件や景観に恵まれています。タヒチ島やボラボラ島といった、日本でも名の知られたリゾートアイランドもこの諸島に含まれます。
同じフランス領ポリネシアでも、マルケサス諸島やツアモツ諸島にはそれぞれ異なる魅力がありますが、ここソシエテ諸島は、それらの美しさを凝縮したような場所だと感じました。「ただ美しい」としかいいようのない、圧倒的な景色が広がっていました。
船酔いの果てに出会ったタヒチの景色
前回の寄港地であるツアモツ諸島を出航後、最初に訪れたのは、フランス領ポリネシアの首都パペーテを擁するタヒチ島でした。
ランギロア環礁からタヒチまでは約350km。飛行機なら1時間ほどの距離ですが、私たちのヨットでは丸一日以上の航海となります。
セーリングは風と波に大きく左右される旅で、このときは気象条件と体調が重なり、強烈な船酔いに見舞われました。
もはやこの旅の相棒ともいえるバケツを小脇に抱え、永遠にも感じる時間をやり過ごした末に、ようやく目に飛び込んできたタヒチ島の景色は、そんな苦しさを私の脳内から一瞬で消し去ってくれました。

こうして船酔いの辛さもすっかり忘れてしまうのですが、数日後の航海でまた思い出すことに。そんなことを、懲りずに繰り返しています。
これまでの記事、セーリングの場面といえば船酔いの話ばかりでは……?と気づいてしまった読者のみなさん、いつも読んでいただきありがとうございます。
いつか船酔いなしの楽しいセーリング記事をお届けできるその日まで、どうか気長にお付き合いください!

「写真を撮って〜!」と笑顔を向けてくれて、嬉しくなりました。
タヒチ島についても紹介したいことはたくさんありますが、すでに多くの情報がある場所でもあります。
そこで今回は、同じソシエテ諸島の中でも、まだあまり知られていないフアヒネ島についてご紹介したいと思います。
静かな時間が流れる島、フアヒネへ
フアヒネ島には、派手さはありませんが、どこか懐かしさを感じさせる穏やかな時間が流れています。観光地として整備された便利さとは少し距離がありますが、その分、ありのままの島の暮らしを感じることができます。海と緑に囲まれた静かな集落や、人々のゆったりとした日常は、訪れる人の心を自然とほどいてくれます。




海から眺めているあいだは、陸の景色はただ美しい背景のような存在です。けれど、ひとたび上陸すると、その土地はぐっとリアルなものに変わります。そこで交わした言葉や時間が重なり、心に残る場所へと変わっていく。その感覚が、毎回新鮮で、また次の景色に出会いたくなるのだと思います。フアヒネ島では、そんな心に残る景色にたくさん出会うことができました。
南国の暮らしが競技になる祭典「ヘイヴァ」
私たちが訪れた時期は、ちょうどフランス領ポリネシアの文化を継承する一大イベント「Heiva(ヘイヴァ)」の開催期間中でした。
数週間にわたり、歌や踊り、スポーツ競技が各地で繰り広げられ、賑やかなムードに包まれます。
スポーツ競技といっても、バスケットやサッカーという類ではなく、カヌーレースや、果物運び(数十キロの果物を運ぶかなりハードなレース!)、石を使った重量挙げ、ココナッツツリー登りなど南国の生活がそのまま競技になっているところが、何とも興味深いのです。


Heivaで行われる競技を見ると、南国での暮らしの中で必要とされてきたスキルを、もれなく知ることができます。どれも日常生活や自然と深く結びついたものばかりで、この土地に生きる人々の知恵やたくましさが、そのまま競技として受け継がれているのだと感じました。
島ごとに異なる表情を持つソシエテ諸島
ソシエテ諸島の魅力は、一言ではとても語り尽くせません。島ごとに異なる表情を持ち、まるでそれぞれが独自の引き出しを備えて、海からの訪問者を迎えてくれているようです。
ヨットで訪れるには決して簡単な場所ではありませんが、それでも人々を強く引き寄せてしまう、そんな不思議な魅力がフランス領ポリネシアにはあります。





