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磯野貴理子の推し鳥DIARY 第8回 鳥としゃべる練習始めています
鳥の撮影/磯野貴理子
磯野貴理子
1985年、お笑いアイドルグループ「チャイルズ」の一員としてデビュー。解散後はタレント、俳優としてマルチに活動。軽やかなトークとユーモアあふれるキャラクターでお茶の間の人気者に。

問い合わせ先:モンベル・カスタマー・サービス TEL:06(6536)5740
鳥好きにとっては東京の街中もフィールドです。高層ビルが立ち並ぶアスファルトの上を歩いているときだって、鳥の鳴き声が聞こえるたびに思わずその姿を探してしまいます。見慣れたスズメでさえ、チュンチュンと聞こえてきたら「どこにいるの?」とついあたりを見回しちゃう始末(笑)。
この間、ぶらぶらと家の近所を歩いていたときのこと。聞き覚えのない鳴き声が耳に飛び込んできて、どんな鳥⁉ と声のするほうをパッと見たんです。そうしたら保育園の先生が吹く笛の音だったの。子供たちに向かって、ピッピッピッと。私、笛の音まで鳥の声に聞こえるようになっちゃったのかと、びっくりしちゃうやらおかしいやら。
それだけ私にとっては鳥の鳴き声が日常の一部ということなんですが、聞いているだけでとっても癒やされます。もちろん今もそうですが、あるときから聞くだけじゃなくて、「鳥と会話したい!」っていう気持ちが湧き上がってしまったんですよね。きっかけはウグイスです。
鳴きまねをして鳥とおしゃべり!?
ウグイスの写真を撮ろうと、東京郊外の大きな公園にひとりで行ったときのことです。園内には古民家があって、その周辺を手入れする方がいたので、色々とお話をしたんです。「ウグイスの写真を撮りたいんですよね」って。するとその方が「ウグイスならしょっちゅう会うよ」と。そういって、口笛でホーホケキョと鳴きまねをしたの。それがまるで本物みたいに上手で、おまけに「僕が鳴くと鳴き返してくれるんだよ」っていうじゃないですか。え⁉ それはもう、ウグイスと会話しているってことじゃない⁉ と胸が高鳴って。私もいつか鳥と会話してみたい! って思うようになったんです。
猫八さんに突撃直談判
そんなときでした。江戸家猫八さんのウグイスの鳴きまねに感銘を受けたのは。江戸家猫八さんというのは代々、動物の鳴きまねをお家芸として受け継いできた芸人さんで、今は五代目が活躍しています。寄席で見た猫八さんの、指笛でするウグイスの鳴きまねが本当に素晴らしくて。透き通った、とっても綺麗な音色なんです。
あんな音色を聞いてしまったら、私もできるようになりたいなって、純粋に思うじゃない? それで、猫八さんのホームページの問い合わせフォームからメールを送ろうと思い立ちました。
「はじめまして、磯野貴理子と申します」から始めて、「私はウグイスと会話ができるようになりたいのです。つきましては、猫八さんにウグイスの鳴きまねを教えてもらうことはできませんでしょうか」というお願いを大真面目に書いて送りました。今思えば、ずいぶんと向こう見ずなことをしたなと思いますが。
数日後、猫八さんから返事が届きました。「ウグイスの鳴きまねは曽祖父の代より受け継いだもので、父の背中を見て会得したものだから、真剣な手ほどきは難しい」ということ。それから、「科学的根拠はないけれど、大きな音が出る指笛で真似るより、口笛で小さく吹いたほうが野鳥の反応がいい気がします。でも、鳥にストレスを与えないようやみくもに鳴きかけることはしていません」というような内容でした。教えていただくことは叶いませんでしたが、とても心のこもった文面から優しい人柄がにじみ出ていて、もうすっかり猫八さんのファンです。
シジュウカラは言葉を持っている
ともかくわかったのは、口笛が鍵だということ。私は口笛が吹けなかったので、YouTubeに上がっている口笛レッスンの動画を見ながら練習を始めました。
でも、難しいものね。吹けないなあ、でも鳥としゃべりたい……。なんて悶々としていたちょうどそのころです。一冊の本に出合いました。動物言語学者、鈴木俊貴さんのご著書『僕には鳥の言葉がわかる』です。もう、興奮しながら一気読みしましたよ。なぜって、私が鳥にハマるきっかけになったシジュウカラが言葉を持っていて、鳥同士で会話をしているっていう内容なんですから!
鈴木さんは昨年末にテレビ番組『情熱大陸』に出演されてましたが、番組内でこんなことをおっしゃっていました。「昔は、人間は鳥の言葉がわかったと思います」って。ハッとして、すぐにその言葉をメモしました。私も昔に生きていたら、きっと鳥の声がわかったのか。そう思ったら、なんだか無性にうれしかったし、ほんの少し希望が持てました。
太古の人間みたいに鳥の言葉がわかる、とはいかなくても、ピピピと鳴きまねをしたらピピピッと応えてくれる。そんな日が来るのを夢見て、くじけず口笛の練習をがんばりたいと思う今日このごろです。
これがウグイスです!

鮮やかな抹茶色のメジロとよく間違われるけれど、ウグイスは地味め。警戒心が強く茂みに隠れがち。
最愛のシジュウカラ

鈴木さんの著書によると「シジュウカラは20以上の単語を組み合わせて文をつくっている」そう。
【出演情報】
CSフジテレビTWO「はやく起きた朝は…」(新作エピソード毎月第2日曜日 6:30〜7:00)が放映中。
フジテレビ「ホンマでっかTV」毎週水曜日21:00〜21:54 出演中。
※構成/安井洋子 プロフィール写真撮影/三浦孝明
(BE-PAL 2026年4月号より)





